ベジタリアン、ヴィーガン、ペスカトリアンなど植物性の食事を中心にした生活を送る人は増えてきているかもしれません。さまざまな理由はあると思いますが、そのメリットとして指摘されてきたのが、がんを防ぐ効果があるということです。このたび海外研究によって、肉をほとんど食べないベジタリアンなどの人はたくさん食べる人よりがんになるリスクが低いと報告されています。
Contents 目次
英国50万人近くの調査結果を分析
肉類をはじめ動物性の食品をいっさいとらないヴィーガンから、魚と野菜や果物などを中心としたペスカトリアンなど、ベジタリアンといってもいろいろ。どれかにチャレンジしてみたことがある、または現に植物性の食品中心の生活を送っているという人も少なくないかもしれません。
今回、英国オックスフォード大学の研究グループが調べたのは、菜食の人とそうではない人で、がん全般と特定のがん(大腸がん、閉経後の乳がん、前立腺がん)のリスクに違いがあるかどうかです。英国全土の50万人近くを追跡して健康調査を行っている大規模研究から、2006〜2010年に行われたアンケートのデータを使用しました。
食生活に関するアンケートから、回答者をハム・ソーセージなどの加工された肉類や赤身の肉(牛、豚、羊)、家禽類(鶏や七面鳥など)を含めた肉を週に6回以上食べるグループ(全体の52%)、5回以下のグループ(44%)、肉は食べないが魚は食べるグループ(2%)、肉も魚も食べないベジタリアン(乳製品と卵も食べないヴィーガンを含む)グループ(2%)に分けて比較しました。平均11年以上の追跡期間に、約5万5000人(12%)ががんになりました。
菜食の女性に認められたがんの予防効果
一連の研究で確認されたのが、がん全般になるリスクは肉を週に6回以上食べるグループに比べて、5回以下のグループは2%低く、肉は食べないが魚を食べるグループは10%、ベジタリアン(ヴィーガンを含む)のグループは14%低いということです。
大腸がんについては、肉を週に6回以上とるグループに比べて、5回以下のグループはリスクが9%低くなりました。また、閉経後の乳がんについては、肉を週に6回以上とる女性に比べて、ベジタリアンの女性はリスクが18%低くなりました。研究グループによると、これは乳がんと体脂肪が関連するという最近の研究結果から、一般的に菜食の女性は肉を食べる女性よりBMIが低い傾向があるためではないかと考えられるそうです。
前立腺がんのリスクについても、肉を週に6回以上とる男性に比べて、肉は食べないが魚は食べる男性で20%、ベジタリアンとヴィーガンの男性で31%低い結果でした。
観察研究のデータを使った分析ですから、因果関係を確立するものではありませんし、1回の調査結果に基づいているために、長期間の食生活を反映していない可能性もありますが、肉をあまり食べない人は大腸がんのリスクが低いという以前の研究結果と一致すると、研究グループは指摘しています。
<参考文献>
Low-meat and meat-free diets associated with lower overall cancer risk
https://www.biomedcentral.com/about/press-centre/science-press-releases/24-02-22
Watling, C.Z., Schmidt, J.A., Dunneram, Y. et al. Risk of cancer in regular and low meat-eaters, fish-eaters, and vegetarians: a prospective analysis of UK Biobank participants. BMC Med 20, 73 (2022). https://doi.org/10.1186/s12916-022-02256-w
https://bmcmedicine.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12916-022-02256-w