「沈黙の臓器」と呼ばれる腎臓は、知らない間に機能が低下していることがあり、慢性的な腎臓病につながるため注意が必要。たんぱく質はフィットネスにおいて欠かせない存在ですが、とり過ぎると腎臓に負担がかかって機能低下のリスクが上がると考えられています。このたび同じたんぱく質でも植物性であれば、動物性よりも腎臓へのデメリットが少ないという報告がありました。
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たんぱく質は腎臓に負担になることも
日本では成人の8人に1人がかかっていると考えられている慢性腎臓病。生活習慣病やメタボとも関連していて、糖尿病の人は合併症としてとくになりやすいと知られています。筋肉をつくるなどして重要なたんぱく質ですが、このような腎臓の健康を考えたときには腎臓に負担をかけてしまうことが問題になると指摘されています。
なかでも糖尿病の人は糖をとれないので、その代わりにたんぱく質をとる量が増えがちです。そのため、腎臓への負担を考えてたんぱく質の摂取量が制限されています。たんぱく質については、最近、動物性たんぱく質が腎機能障害のリスクを高めるという研究結果が出ていますが、逆にいえば、植物性たんぱく質は腎臓への負担をかけづらいとも考えられています。
そこで今回、オランダの研究グループは、腎臓への配慮が求められる糖尿病の人の食事のアンケート結果に基づいて、動物性と植物性のたんぱく質の摂取量を計算して、それぞれの摂取量と腎機能障害との関連性を分析しました。
たんぱく源を変えるとリスクが低下
こうして確認されたのが、植物性たんぱく質を多くとっているほど、腎機能障害になりにくいことです。最も多くとっていたグループは、標準量のグループに比べて腎機能障害の人が半分以下でした。動物性たんぱく質については、摂取量と腎機能障害との関連性は見られませんでした。また、たんぱく質を動物性から植物性に替えたとして計算すると、多く置き換えるほど腎機能障害になりにくくなる結果でした。
研究グループは、さらに長期間の影響を調べる研究が必要としながらも、植物性たんぱく質のメリットはたしかだと見ています。今回は糖尿病の人を対象とする研究でしたが、健康な人にも参考になるかもしれません。
<参考文献>
Oosterwijk MM, Soedamah-Muthu SS, Geleijnse JM, Bakker SJL, Navis G, Binnenmars SH, Gant CM, Laverman GD. High Dietary Intake of Vegetable Protein Is Associated With Lower Prevalence of Renal Function Impairment: Results of the Dutch DIALECT-1 Cohort. Kidney Int Rep. 2019 Feb 21;4(5):710-719. doi: 10.1016/j.ekir.2019.02.009. PMID: 31080926; PMCID: PMC6506707.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31080926/