生涯のパートナーといっても大げさでないほど、ペットの存在はますます重要になっているかもしれません。一緒にいて和むというばかりではなく、心や体の健康につながることも続々と報告されているのです。このたび日本の研究からも犬を飼うことで将来的な体の衰えを防ぐことができると明らかにされました。むしろ飼い主がお世話されているといえるほど?
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都内の1万人以上を対象にしたペットの調査
SNSや猫カフェなどの影響もあって、ペットを飼うきっかけは増えているのでしょうか。一般社団法人ペットフード協会の調査によると、2021年に新しく飼われた犬は39万7000頭、猫は48万9000頭でした。最近ではペットを家族に迎え入れることで飼い主の健康につながるという研究報告が増えています。
今回、そんなペットと健康との関連を詳しく調べた研究が日本から報告されました。国立環境研究所などの研究グループが、犬や猫を飼うことによって年齢を重ねてからの体の衰えが予防できるかを分析したのです。対象は東京在住の1万1000人以上の男女(65〜84歳)。ペットを飼っているかどうかなどをアンケートで答えてもらい、およそ3年半追跡しました。
犬の飼育が体の不自由を防ぐ
一連の研究で確認されたのが、現在、犬を飼っている人は一度も飼ったことがない人に比べて、障害を抱えて体が不自由になる可能性が低くなること。そのリスクはほぼ半減するという結果でした。特にこうした効果がはっきりと表れたのは定期的に運動している人においてでした。
犬と猫の違いを見ると、効果が見られたのは犬を飼っている人だけで、猫ではこのような関連性は見られませんでした。犬を飼って世話をすることなどで、飼い主の活動は増えますから、短期的には疲労感があるかもしれませんが、長期的に見ると飼い主の健康につながっているというわけです。
ペットを飼い始めるときには、そんな将来にわたる元気を保つ効果も踏まえて、長い関係を築くことを考えるとよいでしょう。ペットにも飼い主にとっても意味がありそうです。
<参考文献>
令和3年 全国犬猫飼育実態調査
https://petfood.or.jp/data/chart2021/index.html
Taniguchi Y, Seino S, Headey B, Hata T, Ikeuchi T, Abe T, Shinkai S, Kitamura A. Evidence that dog ownership protects against the onset of disability in an older community-dwelling Japanese population. PLoS One. 2022 Feb 23;17(2):e0263791. doi: 10.1371/journal.pone.0263791. PMID: 35196354; PMCID: PMC8865647.
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0263791
Older Japanese dog owners may face lower risk of disability than non-dog owners
https://www.eurekalert.org/news-releases/943653