フィットネスや美容、健康のために日常の生活習慣で何に気をつけるとよいでしょう。海外では研究に基づいて特に注意すべきポイントについて整理したガイドラインがあります。具体的には、世界的にも影響力を持つ米国心臓協会が、心臓や血管の健康につながる生活習慣または健康にかかわるポイント「ライフズ・シンプル7(LS7)」という7項目が大切だと提唱してきました。この指標はアップデートされ、新たに1項目を加えた「ライフズ・エッセンシャル8」という尺度になりました。
Contents 目次
8つの生活習慣に注目
米国心臓協会は2010年からLS7を提唱していました。その7項目とは、食事、運動、BMI、血圧、コレステロール、血糖値、禁煙です。心臓や血管の病気の80%以上が、健康的なライフスタイルと危険要素のコントロールによって予防可能であるとする研究結果に基づいて考案されました。さらに、心臓や血管の健康は脳の健康にも関連していると考えられています。
今回、この12年間で2400件以上に上る新しい研究結果を検討し、ライフズ・エッセンシャル8として更新されました。新たに追加された項目は「睡眠」です。健康の意識が高い人にはもはや常識かもしれませんが、心臓や血管の健康にも直結する生活習慣として科学的にあらためてお墨つきを得た形です。
食事やコレステロールなども大切
こうして気をつけておきたい生活習慣や健康に関わる項目は8つにまとめられました。最新の研究を反映して評価のポイントは調整が加えられています。具体的には、食事は塩分の少ないDASH(高血圧を防ぐ食事方法の略語)食に加えてMEPAと呼ばれる地中海食のメニューが新たに高く評価されています。コレステロール(血液中の脂質)は総コレステロール値の代わりにnon-HDLコレステロール値と呼ばれる、善玉コレステロールであるHDL以外のコレステロールの値が健康と関連する項目として重要視されるようになりました。
また血糖値は血糖値の長期的な傾向がわかるヘモグロビンA1cに気をつけるとよいとされ、禁煙は電子タバコや受動喫煙にも気をつけるよう注意喚起されています。
睡眠については、全身の健康に影響する項目と位置づけられています。睡眠パターンが健康的な人は、体重や血圧などの管理状態もよいと示された研究結果が評価されました。米国心臓協会では、成人は毎日平均7〜9時間、18歳以下はより長い時間の睡眠時間を確保するよう提唱しています。
こうした8つの項目ごとに点数がつけられるようになっており、スコアが高いほど健康状態もよいと見なされます。米国心臓協会によると、さらにストレスなどのメンタル面のほか、収入および教育といった社会的な要素も健康に関連した項目として評価される可能性もあるといいます。ライフズ・エッセンシャルズ8に挙がっている点については、ふだんの生活や健康診断などで特に気をつけておくとよさそうです。
<参考文献>
American Heart Association adds sleep to cardiovascular health checklist
https://newsroom.heart.org/news/american-heart-association-adds-sleep-to-cardiovascular-health-checklist?preview=b773
Lloyd-Jones DM, Allen NB, Anderson CAM, Black T, Brewer LC, Foraker RE, Grandner MA, Lavretsky H, Perak AM, Sharma G, Rosamond W; American Heart Association. Life’s Essential 8: Updating and Enhancing the American Heart Association’s Construct of Cardiovascular Health: A Presidential Advisory From the American Heart Association. Circulation. 2022 Jun 29:101161CIR0000000000001078. doi: 10.1161/CIR.0000000000001078. Epub ahead of print. PMID: 35766027.
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIR.0000000000001078