ビタミンB6は、精神を安定させてやる気や幸福感をもたらす大切なホルモン「セロトニン」の生成に欠かせない栄養素です。このたび海外研究から、このビタミンB6をサプリメントで積極的にとると、不安感やうつ症状が軽くなるという報告がありました。まだ実験段階ですが、精神を癒すナチュラルな方法として応用される可能性もありそうです。
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1か月間の摂取量を増やして試験
脳の働きは、神経の興奮とその抑制のバランスの上に成り立ち、それが崩れると、うつ病などの気分障害や一部の精神疾患につながると考えられています。これまでの研究から、ビタミンB群はこのバランスを適切なレベルに保つようだとわかっています。
今回、英国レディング大学の研究グループは、ビタミンB群のなかでも特に脳内で乱れた神経活動を鎮める役割があるB6に着目。B6と似た作用のB12も含めて、実験的にサプリメントとして大量に(推奨摂取量の50倍以上)摂取した場合の効果を調べました。対象となったのは450人以上(平均年齢23歳)のボランティアで、3グループに分けて、B6(100mg)、B12(1000μg)、またはプラセボ(偽の薬)を毎日1錠、およそ1か月間、食事と一緒にとってもらいました。試験の前後に、不安感とうつ症状を調べるアンケート回答式の検査などを行いました。
B6のグループで効果を確認
一連の研究で確認されたのが、ビタミンB6をとったグループでは、アンケート回答で示された不安感が減り、うつ症状についても減少傾向が見られたことです。B12のグループでは、不安感への影響は見られませんでした。
今回の結果で見られたビタミンB6の効果は、通常の気分障害向け医薬品と比べればかなり小さいものですが、研究グループによると副作用は少なくて済むといいます。もっとも今回の研究は実験的なものですので、マグロ、ヒヨコ豆、果物や野菜などの食品から得られるビタミンB6よりも大量を摂取したものとなります。そのため気分障害に効果を出すにはサプリメントが必要ではありますが、今後、心の健康という面からビタミンB6の活用が注目されるかもしれません。
<参考文献>
Field,D. T., Cracknell,R. O.,Eastwood,J. R., Scarfe,P., Williams,C. M., Zheng,Y., &Tavassoli,T. (2022).High‐doseVitaminB6 supplementationreducesanxietyand strengthensvisualsurroundsuppression.Human Psychopharmacology:Clinical and Experimental,e2852.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/hup.2852
Vitamin B6 supplements could reduce anxiety and depression
https://www.reading.ac.uk/news/2022/Research-News/Vitamin-B6-could-reduce-anxiety-and-depression