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「マインドフルネス」という言葉、最近、よく耳にするのではありませんか? 数年前から流行り始め、車内広告に「マインドフル洗顔」なる言葉が使われるほど、一般的な言葉として広まってきています。
マインドフルネスとは仏教に由来する言葉で、「今、ここ」に心を向けて、ていねいに自分の内面、感じていることに目を向けてみること。心に浮かぶことや自分の体験に対して、「いいこと」「悪いこと」「合ってる」「間違ってる」などの判断をせずに、「ただ、見ること」などの解説が加えられることもあります。
具体的には瞑想をしたり、呼吸に目を向けたり、レーズンを一粒口の中に含み、自分が何を感じるかじっくり観察するなどの方法が使われます。その効能も大きく、ハーバード大学でストレス対処法としての研究が進められたり、Googleなどの企業で社員のパフォーマンスの向上などの目的で取り入れられるなど、今、最も注目を集めている健康法と見ることもできます。
このマインドフルネスの源のひとつが、坐禅。坐禅といえば曹洞宗と臨済宗です。ハワイ州内には曹洞宗のお寺が多数あり、ホノルルにも曹洞ミッション(正式名称は曹洞宗両大本山ハワイ別院正法寺)があります。
ここでは月・水・金曜日朝6:30からと月1回、第2水曜日の午後7時から坐禅が行われています。集まった参加者はそれぞれ座布(お尻の下に敷いて、姿勢を安定しやすくする座布団)を受け取り、壁に向かって座ります。
足を組み、姿勢を整え、 鐘の音とともに半眼で呼吸に注目するなどします。まずは約20分、鐘が鳴るまで呼吸や姿勢を整えながら、考えや感情にとらわれないように、頭のなかが空っぽになるような時間を過ごします。鐘の音の後は経行(きんひん)といって、歩きながらの禅。手を組み次の一歩を踏み出すときに、かかとがもう一方の足の土踏まずあたりにくるぐらいの歩幅でゆっくり歩きます。そしてまた20分ほど座ります。
坐禅の後にはお茶を飲んだり、談笑したり。新年には朝粥がふるまわれたり。ゆったり自分を空っぽにする時間を取ることで、頭がすっきりしたり、おだやかな気持ちになったり。坐禅は効果を求めてするものではないのですが、心地よさがついてきます。
ホノルルには禅センターもあります。こちらもどなたでも参加できますが、英語でのセッションです。月1回、初めての人には無料の3時間のオリエンテーションがあり、このセッションに参加してからメンバーとして加わる形になっています。
撮影・取材・文/袰岩なな、ホリ・コミュニケーション