18年連続で日本人が「よく食べる果物」1位のバナナ*。1年中食べられて、包丁も必要なし、手頃な価格で手に入るのもうれしいポイントです。エネルギーチャージだけでなく、腸活にもよく、ひいては自律神経の活性化、ストレス改善にもいいことがわかってきました。今回は、腸のスペシャリスト・小林弘幸先生の『腸を整えたければバナナを食べたほうがいいこれだけの理由 医師も実践している本気の腸活』からお伝えしていきます。
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やせる体質づくりにいいバナナ
バナナは栄養のバランスがいい果物です。バナナ1本(100g)には、食物繊維(レタス1/3)、カリウム(にんじん1本弱)、たんぱく質(豆腐1切れ)、マグネシウム(かぼちゃ1/8個)、ビタミンB6(アボカド1個)、ポリフェノール、ビタミンB2、ナイアシンが含まれています。
「バナナには突出した栄養素が少ない分、炭水化物、ビタミン、ミネラル、食物繊維と多くの栄養素がバランスよく含まれています。また、そこまで量は多くないですが、果物では珍しく、筋肉の維持に大切なたんぱく質が含まれているのも見逃せない点です。そして私がバナナ腸活をオススメするのは、バナナには、不溶性、水溶性(発酵性)の2種類の食物繊維を含むということと、ハイパー食物繊維“レジスタントスターチ”を多くとれるという点です」(小林先生)
レジスタントスターチは、「消化されない(レジスタント)」「でんぷん(スターチ) という意味で、その名の通り、食物繊維と同様、消化されずに大腸まで届いて作用してくれます。
「そのすごさは、“水溶性(発酵性)と不溶性、2つの食物繊維の機能を兼ね備えている”ところです。善玉菌がすみやすいように腸をきれいにし、なおかつエサとなり元気にさせる、まさに“腸活の二刀流”といった働きをみせてくれます。その効果から、食物繊維を超越しているという意味合いを込めて“ハイパー食物繊維”という異名をもっています」
レジスタントスターチは、大麦などの穀類、さつまいも、じゃがいもなどのいも類、米にも含まれていて、ご飯を冷やして食べるとレジスタントスターチが倍増します。
そのほか、バナナは血糖値が上がりにくい低G I食品であり、さらにやせやすい体質をつくる短鎖脂肪酸を生み出しやすくするフラクトオリゴ糖も含んでいます。
「甘いものが高GI値とは一概に言えません。たとえば、そんなに甘くないおせんべいのGI値は91で高GI値 。また果物ならスイカはヘルシーそうですが、GI値は80と高め。一方、バナナは41〜52と低く、バナナは消化吸収が穏やかで太りにくい食品といえます。そして基礎代謝を上げる短鎖脂肪酸のもととなるフラクトオリゴ糖、エネルギーの代謝を助けるビタミンB群も含んでいるので、やせやすい体質づくりに役立つといえるでしょう」
腸活によいバナナの選び方は?
「腸活に適しているのは、バナナ業界で“グリーンチップ”と呼ばれる、茎の部分に緑色が残っているバナナです。岐阜大学応用生物科学部食成分機能化学研究室が行った実験によると、バナナが成熟していくにつれて、レジスタントスターチの含有量が減少したという結果が出ています。全体が青めのバナナのほうがレジスタントスターチは豊富ですが、おいしさと手に入りやすさを考えれば、グリーンチップのバナナがベストです。ただ茎まで黄色くなったからといって、腸活効果がなくなるわけではないです」
バナナには成熟度により栄養も少しずつ変わってきます。
No.1 グリーンチップの ファイバーバナナ=レジスタントスターチが多い(整腸効果)
バナナは緑の状態で収穫され日本に輸入されます。店頭に並び始めたばかりは、まだ上下の先端部分に青みが見られる状態です。かためで甘みは少ないものの、分解・糖化される前の難消化性でんぷん=レジスタントスターチが3つのなかで多く含まれているため、整腸効果が特に期待できます。
No.2 黄色バナナ =よく見るおなじみのタイプ(美肌効果・脂肪燃焼効果)
十分な甘みがあってバナナらしい濃厚な味わいが楽しめます。肌荒れや皮膚の炎症を予防するビタミンB群(ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6)が多く含まれるため、 美肌効果が期待できます。ビタミンB群や必須アミノ酸には、脂肪の燃焼を促進する働きがあるものもあります。
No.3 茶色バナナ=完熟(免疫活性効果・胃潰瘍抑制効果)
茶色いシュガースポットが全体に現れた完熟の状態。やわらかい触感で深い甘みとコクがあります。「リン脂質」(卵黄、大豆、穀類などに含まれる)が含まれていて、免疫効果や胃潰瘍抑制の効果も期待できます。老化防止効果が期待できるポリフェノールが、これまで挙げたバナナのなかでいちばん豊富です。
見つけたら買っておきたいグリーンチップのバナナ。バナナはあっという間に熟してしまうので、長く持たせるには1本ずつに分けて、新聞紙でくるみ、冷蔵庫の野菜室で保存するといいそうですよ。いつも食べているバナナも、ちょっとした工夫で腸活の最強フードになります!
次回はダイエットに役立つバナナの食べ方をご紹介します!
*バナナ・果物消費動向調査(日本バナナ輸入組合)
参考書籍/
『腸を整えたければバナナを食べたほうがいいこれだけの理由 医師も実践している本気の腸活』(アスコム)
文/庄司真紀