友だちとの関係がうまくいかない、職場がギスギスしている。そんな問題の背景に睡眠不足があるのかもしれません。海外研究によると、睡眠が不足していると、人と協力しようという気持ちが低下してしまうといいます。自分中心主義になりがちで、注意が必要とのこと。あまり眠れていなくて、眠気が残る、頭が冴えない、イライラした気持ちがあるという人はチェックしてみては?
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睡眠不足だとどんな問題がある?
なかなか寝つけない、夜になると目が冴えて眠れなくなるといった悩みをもつ人もいるでしょう。結果として睡眠不足になり、その影響が昼の時間にも及んでいると自覚している人もいるかもしれません。睡眠不足は昼の眠気につながるだけではなく、健康にも好ましくない影響があるとわかっていますので気をつけたいところ。さらに、睡眠不足が自己中心的な言動にもつながりかねない可能性もあるようです。
今回、米国カリフォルニア大学バークレー校の研究グループは、睡眠不足が人の言動にどのように影響するのかを、ほかの人を助けようとする意欲という視点から検証しました。研究は3部に分かれています。第1部は8時間睡眠の人と徹夜した人の脳を分析して他人に共感したり理解しようとしたりするときに働く場所の働きを確認しました。第2部では100人以上を3~4日にわたって追跡調査し、他人を助けようとする行動に睡眠の状況がどう影響するかを調べました。さらに3部では多くの人が睡眠不足となるサマータイム開始の時期に慈善寄付がどう変化するかを300万件のデータベースから分析しました。
知らないうちに他人を思いやれなくなる…?
こうした研究からわかったのは、睡眠不足だと他人を思いやる気持ちがどうやら低下するということです。それはいわば自己中心的になりがちだということ。まず第1部の研究では、他人が何を求めているのか、何を考えているのか、助けを求めているのかといった、脳の働きが損なわれたことがわかりました。脳の分析から睡眠不足になると顕著な変化が現れることが確認されたのです。
さらに第2部の研究である100人以上を対象にした追跡調査からは、前日に睡眠不足だった場合には、他人を助けようという意欲が低下することも確認されました。また第3部の研究では、300万件の寄付のデータベースを調べた結果からサマータイムの開始直後には寄付が10%減少することがわかり、他人を助ける気持ちの低下に睡眠不足が影響していると研究グループは推測しました。
まだまだ因果関係は不明ではありますが、睡眠をとることで協調性や共感、寛大さが高まる可能性があると研究グループ。十分な睡眠が潤滑油のような役割を果たすことになります。友だちとの関係にひびが入りがち、職場がギスギスしているなどの問題があるときには、十分に眠れているか、ふり返ってみるのもよいのかもしれません。
<参考文献>
Sleepless and selfish: Lack of sleep makes us less generous
https://news.berkeley.edu/2022/08/23/sleepless-and-selfish-lack-of-sleep-makes-us-less-generous/
Ben Simon E, Vallat R, Rossi A, Walker MP. Sleep loss leads to the withdrawal of human helping across individuals, groups, and large-scale societies. PLoS Biol. 2022 Aug 23;20(8):e3001733. doi: 10.1371/journal.pbio.3001733. PMID: 35998121; PMCID: PMC9398015.
https://journals.plos.org/plosbiology/article?id=10.1371/journal.pbio.3001733