今年の夏の猛暑ですっかり夏バテした、夏老けしてしまったという人もいるかもしれません。「Fan!Fun!FYTTE」では、鍼灸師・国際中医師の岡尾知子さんをお招きして、東洋医学をもとにした体質チェックから夏から秋の食養生や過ごし方について教えていただきました。暑さでバテた体を放っておくとそのまま秋の老化、冬の体調不良に。ぜひ今から養生生活を始めましょう!
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夏バテしてしまった人の原因は熱と湿気
「東洋医学では夏の老化の原因は熱と湿気にあると考えます。夏の暑さで多量に汗をかくと体や肌、髪の毛が乾きます。気持ちもイライラし、紫外線を受けて体にも負担がかかります。もうひとつの原因である湿気は、湿度の高さに加え、冷たいものを飲んだり食べたりして消化機能が低下するとたまりやすくなり、体の冷えをもたらします。夏の老化には、暑さの熱と冷たいという正反対のものが原因なのです。今回は、アンチエイジング漢方と題して、漢方の中でも薬ではなく、もっとも身近な養生法についてお話ししようと思います」(岡尾先生)
それでは、さっそく体質チェックをしていきましょう。当てはまるものはいくつありますか?
熱タイプ、湿気タイプの体質診断
Aが多かった人は…
「Aが多かった人は熱に弱い人です。この夏を思い返してみてください。暑さにやられてダウンしたり、消耗して眠れなくなるのがこのタイプの方です。体の潤い成分がなくなり、不眠になることで、精神的な疲れがたまりやすくなるという特徴があります。夏の疲れをこのまま持ち越すと秋以降には肌の乾燥、紫外線によるシワ、抜け毛、白髪などが目立ちやすくなります」
Bが多かった人は…
「湿気タイプは冷えてむくんでだるくなるのが特徴です。体に湿気が入り込むと、必ずたまりやすいところに停滞します。多いのはお腹、そして足。下半身にたまり、むくみやすくなります。暑くてもお腹が冷たい、ぽちゃぽちゃと音がするような方が多く、アイスやかき氷で下痢や軟便に悩まされたりします。秋以降の寒い季節になると、はこの冷えが重くなり、女性の場合は生理の不調に直結していきます」
チェック項目がどちらも少ないという人は健康な状態といえるでしょう。同じくらい多いという人は両方の体質があり、年齢的なものなど体質の移行期といえるかもしれません。今の状態を見極めてケアをしていくことが大切になっていきます。
どう生活していくか、日々の過ごし方と食養生
Aの暑さに弱い人は…
「適度に汗をかくことは大事です。夕方などに軽く歩いて汗をさっとかく、入浴で汗をかくことも熱冷ましに良いです。夜は早く寝て、睡眠をしっかりとりましょう。夜は体温を下げ、活動を休息にリセットする時間なので、体の熱を冷ますには夜更かしは厳禁です。激辛料理が好きだったりする方が多いですが、ニンニク、唐辛子のとりすぎに注意。酸っぱい味のものにはエネルギーの消耗をとどめてくれる働きがあるので、意識してとると助けになります」
Bの湿気に弱い人は…
「湿気に弱い人は、まず水はけのよい体を作ることをおすすめします。麦茶、ハトムギ茶、小豆茶、黒豆茶、とうもろこしのひげ茶など、利尿作用の高いお茶を常温や温かくして飲みましょう。消化機能が弱い人は甘いものや冷たいものは控えめに。温かい料理やスープ、麺類、発酵食品で腸活もいいですね。下半身がむくみやすいので、適度に体に動かす必要があります。特にスクワットや座っているときのかかとの上げ下げなどで下半身に筋肉をつけてあげるのも効果的です」
〜夏から秋への食養生のお話〜
熱を冷ましてくれる野菜
◎きゅうり・瓜・ゴーヤ ・・・潤いを補い、水分代謝を高めて 尿の出をよくする
◎トマト ・・・体の熱をとり、胃の熱を冷ます 食べ過ぎ気味の人に
◎なす ・・・皮に含まれるポリフェノールと 血熱をとる作用から美肌に
「夏野菜は冷える人にも水分代謝が悪い人にもいいです。トマトのリコピンは胃の熱を冷ますといわれ、食欲を抑える作用があります。なすは皮も食べるのがポイントです」
水はけをよくするとうもろこし・枝豆
◎とうもろこし ・・・余分な水分を取り除き、消化機能を助ける
◎枝豆(大豆)・豆腐 ・・・利尿作用があり、消化機能の助けに
◎その他 はと麦、小豆、きゅうり、冬瓜なども余分な水分を取り除くのに◎
潤いを補う豚肉&乳製品
◎豚肉・・・肉の中では潤いを補う性質がある 油っこい調理は避けて
◎バター、ヨーグルト、チーズ ・・・乳製品は潤いを補い、肌の乾燥対策にも 調理や飲み物に
◎ナッツ類・・・良質な油を含み乾燥肌や便秘予防に
“甘酸っぱい”は潤す力をつける
「漢方には酸甘化陰という言葉があり、酸味+甘味は陰(潤す力・冷ます力)に変わるというものです。脱水予防には塩を加えてちょっとしょっぱくするのもいいですよ」
例えばレモン+はちみつ、梅干し+黒糖、いちご+練乳などがあります。
「夏のダメージが秋冬の不調につながりますので、夏のケアがきちんとできれば、相乗効果で冬の時期も体調が良くなっていきます。今から養生をスタートしてほしいと思います」と岡尾先生。
薬膳教室も主宰する岡尾先生ならではの食事のアドバイスに、参加者の皆さんも興味津々の様子で実践してみようという方も多くいらっしゃいました。ぜひ身近な食材や毎日の食事のなかで実践できる養生ライフをとり入れてみてはいかがでしょうか。
文/庄司真紀