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秋に頭痛や倦怠感がつらい…そんな人も「気象病」!? 自律神経を整える正しいケア方法

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自律神経を整える正しいケア方法

雨の日はなんだか体がだるい、頭が痛い…そのような不調を感じた経験はありませんか? じつはそれ、「気象病」の症状かもしれません。夏から気温の変化が激しく、台風の多い秋もまたそうした症状に悩まされる人が多い季節。そこで、気象病の原因や正しいケア方法について、先日『気象病ハンドブック』(誠文堂新光社)を出版した、せたがや内科・神経内科クリニックの久手堅司先生に教えていただきました。

監修 : 久手堅司 (くでけん・つかさ)

せたがや内科・神経内科クリニック 院長。医学博士。日本内科学会・総合内科専門医、日本神経学会・神経内科専門医、日本頭痛学会・頭痛専門医、日本脳卒中学会・脳卒中専門医。気象病、自律神経失調症など多数の外来を設置し、原因がわかりにくい不調の診療にあたる。雑誌やテレビ番組などメディアに多数出演するほか、講演などでも活躍中。
著書『最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方』クロスメディア出版、
監修本、『面白いほどわかる自律神経の新常識』宝島社。

Contents 目次

「気象病」ってなに? どんな症状が出るの?

「気象病とは、気圧や気温、湿度など気象変化によって起こる心身の不調のことです。雨の日の前日で気圧が下がりはじめる段階や、夜に向けて徐々に気温が下がっている時間帯など、3つの要素に急激な変化が生じているときに発症しやすく、なかでも気圧が体調に最も大きな影響を与えるとされています」(久手堅司先生)

「気象病」と聞くと、雨の日が多い梅雨時期~初夏をイメージする人も多いかもしれませんが、台風も多く夏から気温がグッと下がる秋口も気象病による症状が出やすく、対策が必要な時期といえます。

自律神経を整える正しいケア方法
気象病の代表的な症状に上げられるのは、頭痛。8割程度の人に頭痛が出て、いちばんつらいとされる症状です。
そのほか、肩こり、首こり、めまい、耳鳴り、倦怠感といった体の不調や、不安感などを感じるメンタルの不調まで多岐にわたります。

自律神経を整える正しいケア方法
「患者の7~8割が女性で、20~40代に最も発症が多いとされていますが、近年は若年化していて、10代の患者も増えつつあります。また遺伝的な要因も関係していると考えられ、気象病を発症した患者の半数以上に、同様の症状を発症する血縁者がいることがわかっています」

【気象病チェックリスト】
次の<1>~<18>のうち、あなたの症状に当てはまるものにチェックしましょう。
<1>天候が悪いときに体調が悪い
<2>雨が降る前や天候が悪化する前に、なんとなく天気の変化が予測できる
<3>頭痛持ち(緊張型頭痛、片頭痛など)である
<4>首こり、肩こりがある。首肩の持病や不調がある
<5>めまいや耳鳴りが起こりやすい
<6>倦怠感が強い。起床時、日中も常にだるい
<7>低血圧ぎみである。血圧が低くなると体調不良が出る
<8>精神的な不調(不安障害、適応障害、抑うつ、統合失調症など)がある
<9>姿勢が悪い。猫背や反り腰がある
<10>古傷があり、時折痛みが出る
<11>原因不明の動悸や消化器の不調がある
<12>パソコンやスマホの使用時間が長い(平均4時間/日以上)
<13>乗り物酔いをすることが多い
<14>運動習慣がなく、ストレッチや柔軟体操をすることが少ない
<15>歯の食いしばりや歯ぎしり、歯科の治療歴が多い
<16>温度設定が一定の場所(夏は冷房、冬は暖房)にいることが多い
<17>日常的に、主にメンタル的なストレスを感じることが多い
<18>更年期障害ではないかと考えることがある

判定1
<1>と<2>に該当する人は、高確率で気象病と考えてよいでしょう。どちらかひとつでも当てはまると、気象病の可能性は約 80%です。
判定2
<1><2>以外の項目は、該当する数が多いほど気象病になるリスクが高まります。
とくに<3>〜<11>は気象病の方が訴える典型的な症状です。
また、<3>〜<18>のうち、5項目以上に当てはまると、気象病の不調が起きやすいです。ただし、該当する項目が多い場合でも、必ず気象病というわけではありません。

*『気象病ハンドブック』(誠文堂新光社)より

気象病と自律神経の関係性

気象病を発症する有無に最も深く関連しているのが、自律神経です。自律神経には、交感神経と副交感神経があり、状況に応じてどちらかが優位に働くことで血圧や体温などの機能を調節します。

「雨の日など気圧が下がっているときは、血管が膨張しますが、自律神経がしっかりと機能していれば交感神経が優位に働くので、血管が正常な太さにまで収縮します。気象病では、自律神経がうまく機能しないため、血管の収縮が正常に行われず、体に不調が現れると考えられます」
また、気象病の発症には、胃の状態との関連も示唆されています。気象病の患者には、痛みや吐き気といった慢性的な胃の不調を感じる人も多く、近年の研究で、胃と脳のそれぞれの状態が影響を及ぼし合っていることがわかっています。

「胃と脳が密接に関係していることを『胃脳相関』といいます。例えばストレスを感じると胃が痛くなったり、胃の不調が起こると不安を感じたりします。気象病においては、自律神経の乱れが胃の不調の原因になることはもちろん、なんらかの要因によって胃に不調が出れば、自律神経が乱れて気象の変化の影響を受けやすくなる場合があります。つまり、自律神経の働きを整え、気象病の症状を改善するには、まず胃の調子を整えるのが有効だということです」

自律神経を整える4つの生活習慣

<1>耳のマッサージをする
鼓膜の奥の部位である内耳には、気圧の変化を感知して脳に信号を送る働きがあります。気象の変化による不調を感じたり、気象の変化が予想される場合には、耳たぶの中央をつかんでまわしたり、上下に引っ張ったりすると自律神経を調整できます。耳を手で覆って温めるだけでも効果があります。

<2>ヨーグルトを食べて胃をケアする

ヨーグルトの写真
ヨーグルトは、胃にやさしいといわれています。なかでも、LG21乳酸菌入りのヨーグルトには、胃の不快感を軽減させ、自律神経を整える効果があることがわかっています。胃の調子を整えて、気象病を改善するためにも毎日継続して摂取するように心がけましょう。
また、胃は圧迫にも弱いので、胃を圧迫するような悪い姿勢を続けるのもNG。できるだけ背筋を伸ばした正しい姿勢を心がけてください。

<3>睡眠時間を6~8時間とるように調節する
日中の疲れをとり自律神経をきちんと機能させるためには最低6~8時間の睡眠時間が必要です。いきなり睡眠時間を増やすとかえって自律神経が乱れる可能性があるため、まずは30分ずつ増やして、自分がすっきり目覚められる睡眠時間を探しましょう。睡眠をしっかりとることは、「胃」のケアにもつながります。

<4>作業中はこまめに2~3分の休憩をとる
デスクワークをしていると次第に骨格がゆがみ、脊髄のなかを通る自律神経や「胃」を圧迫することがあります。1時間に2~3分程度デスクから離れて肩をまわしたり、耳のマッサージをするとよいでしょう。

“なんとなくの不調”を引き起こす気象病。近年は、異常気象や長時間のパソコン、スマホ使用などと関連して患者数が増加し、全国的にも気象病外来のある医療機関が増えているそうです。なんらかの不調がベースにあると、気象変化の影響を受けやすくなりますので、台風や寒暖差のある今の季節はしっかりとセルフケアをしていきたいですね。

文/庄司真紀

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