女性ホルモンに関わる不調や悩みを解決するケアとして、注目を集めている「フェムケア」。でも何を、どうすればいいのか、迷う人も多いのでは? そこで、食べるという身近な行為から始められる「食べるフェムケア」を提案する管理栄養士の伊達友美さんに、女性の体も心も元気にする食習慣について、今回から3回にわたって教えていただきます。
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不調を改善する救世主となってくれたのが「油」
フェムケアとは「Feminine(女性の)」と「Care(ケア)」を組み合わせた造語。これまでタブー視されがちだった女性の生理や妊娠、性器などを含めた女性特有の悩みをサポートする分野で、さまざまな商品やサービスが登場しています。なかでも伊達さんが提案する「食べるフェムケア」は、食事から女性ホルモンを整え、女性特有の不調を改善へと導くメソッドです。
「ある調査によると、女性が快適に思ったように活動できる日数は『月に10日』と報告されています。つまり、残りの20日ほどは生理前や生理中などで、なにかしらの不調を抱えているということ。女性ホルモン系の不調には勝てない……とあきらめている人も多いかもしれませんね。でも、食事を見直すことで、女性ホルモンに振り回されない健やかな体を手に入れることはできます! それは、私が経験してきたことでもあるのです」(伊達さん)
じつは、10代の頃から“食べない”制限系のダイエットをくり返し、「超」がつくほどの生理不順になっていたという伊達さん。「たまにくる生理の前は腰が折れそうなほどの激痛と頭痛に襲われ、食欲も爆発して食べ続けていました」。そうした不調とともに体温が低いことも悩みで、35度に届かない日もあったそう。
「生理不順は30代後半まで続きましたが『自力で生理を来させるんだ!』と思い、ちょうどその頃に栄養学を学び始めました。ただ、当時の日本の栄養学は、食事を制限して健康を目指すという考え方しかなくて、1日に500kcalしかとっていなかった私は、これ以上、どうやって減らせばいいの? 減らすには限界があると悩んでいたんです。それで、海外の栄養学にも目を向け、カナダで有名な油の本を出版されている先生の講演を聞く機会を得て、今まで敵だと思っていた油が、救世主になると知り、衝撃を受けました! それ以来、考え方が180度変わり、油についてさらに勉強して、油が脳にも、女性ホルモンにも欠かせないことがわかり、食事に油をプラスするように。すると、生理周期が徐々に整いはじめ、体も心も元気になり、その後の更年期もトラブルなく、快適に過ごすことができました。また、パワーの源である油をとるようになってから代謝が上がり、冷えも改善。今は平熱が36度台になりました」
小さじ1杯のえごま油を食事にプラス
伊達さんは、どんな油を、どのようにとり入れているのでしょう?
「油にはいろいろな種類がありますが、女性ホルモンを整えるなら、オメガ3(n-3)系脂肪酸が重要です。オメガ3系脂肪酸は、体の中で作ることができないので、食事からとる必要がある油で、えごま油やアマニ油、しそ油に多く含まれています。私は、えごま油を小さじ1杯、お昼や夜ごはんのおかずやみそ汁にかけて、毎日とり入れています。えごま油はデリケートで酸化しやすいので、私が愛用しているのは分包タイプ。油をとる時間帯は、昼か夜がおすすめですね。朝は、胃腸がまだ整っていないので、お白湯をコップ1杯飲み、お腹が空いていれば朝食をとり、お腹が空いていないときは果物を少し食べています。また、えごま油に加え、目が疲れていたり、頭痛があるときには、エゴマオイル、チアシードオイル、モリンガオイルをブレンドしたサプリメント『ボタニカルオメガ3』を飲んで落ち着かせます」
フェムケアと言われると、難しく感じられますが「簡単に言うと、良質な油をちゃんととること」と伊達さん。
「不調だらけだった私が、こんなに元気に変われたんですから、油をプラスすることで、多くの女性が不調を改善してパワーアップできるはず。食べることで体は変わる、ということを、この機会に、ぜひ知ってもらいたいですね」
次回は、油をとると、なぜ女性ホルモンを整えることができるのか、その理由を解説します。
取材・文/野口美奈子
【参考書籍】『女性の不調は「油+(プラス)」でよくなる ~女性ホルモンに振り回されないための「食べる」フェムケア~』