食事に何を食べるかは大切ですが、最近ではインターミッテントファスティング(プチ断食)のように食事のタイミングも注目されることが増えています。今回、海外研究によると、食べるタイミングが狂うと、メンタル面に悪影響が出ることがわかりました。背景には体内時計の影響があるそうです。
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28時間周期で生活してもらったところ…
人の体には1日周期でくり返すリズムが備わっていることが知られています。そのメカニズムはノーベル賞の受賞研究にもなった体内時計です。もともと体がもつリズムを乱すと、時差ぼけをはじめ、心身に好ましくない影響が現れてくるとわかっています。夜勤の多い人のうつ症状や不安感のリスクは25〜40%高いという研究結果がありますが、これも体内時計の影響があるからだと考えられています。体内時計のリズムと毎日の行動や環境が合っていないと体調が崩れてしまうからです。
今回、ハーバード大学など米国の研究グループは、食事時間がメンタルに与える影響に注目しました。対象としたのは、健康な男女19人(平均年齢およそ27歳)です。それぞれ薄暗い部屋で14日間、1日28時間周期で生活してもらいました。部屋の明るさを28時間のサイクルで変化させます。このような生活を送っていると、4日目には昼夜が12時間ズレていきます。研究グループは、夜勤している状態を人工的につくったと説明。そのうえで、男女をランダムに2つのグループにわけました。ひとつのグループは28時間周期で食事をとり、もう一方のグループは24時間周期で食事をとるようにしたのです。
すると24時間周期で食事をとるグループは、見た目の明るさでは昼夜が逆転したなかで食事をとりますが、実際にはふつう通り昼間に食事していることになります。一方、28時間周期で食事をとるグループは見た目には明るい時間帯に食事をとるのですが、実際には定期的に夜中に食事をとっている形になります。
変則的な環境での生活と食事時間を続けてもらい、4日ごとにうつ症状と不安症状を調べて比較しました。
実際に昼間かどうかのズレが大切
このような研究からわかったのは、見た目の明るさが明るくても暗くても、実際の昼夜のリズムに合わせて昼間に食事をとれない場合に、メンタルに好ましくない影響が現れるということです。
具体的には、28時間周期で食事をとったグループ、つまりふつうであれば夜間の時間帯にも食事をとったグループでは、研究開始時に比べてうつ症状に似た気分になることが26%増え、不安感のレベルも16%増えました。一方で、24時間周期の食事、つまり実際の昼間にだけ食事をとったグループでは、このような増加は見られませんでした。また、体内時計とふつうの時間帯とのズレが大きいほど、気分が悪化する結果でした。
夜勤があるような環境でも、食事のタイミングを変えることで、メンタルへの悪影響を防ぐことができそうと研究グループは指摘しています。
<参考文献>
Daytime Eating May Benefit Mental Health
https://www.brighamandwomens.org/about-bwh/newsroom/press-releases-detail?id=4254
Daytime eating prevents mood vulnerability in night work
https://www.pnas.org/doi/full/10.1073/pnas.2206348119