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カチコチ血管は病気のもと! 専門家がアドバイスする、血管年齢を若々しく保つ4つの習慣

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動脈硬化

日本人の死因に大きく関わる動脈硬化。動脈硬化はすべての人に起こり、生活習慣が乱れている人はより悪化する傾向にあります。前回、「体のかたさ=血管のかたさ」ということをお伝えしましたが、今回は、血管年齢を上げてしまう生活習慣について見ていきましょう。立命館大学教授の家光素行先生の著書『体がやわらかくなると血管が強くなる』からお伝えしていきます。

Contents 目次

血管をサビさせる!? 活性酸素に注意

血管と病気

たとえば、切ったりんごを放置すると、どんどん変色していきますが、これは「酸化」によって起こる現象です。鉄が酸素にふれてサビるのも、同じく酸化です。

「こうした酸化現象が、血管を含めた体の細胞のなかで日々起こっています。その原因となるのが活性酸素。細胞を攻撃し、傷つけ、酸化させてしまいます。これが、血管の老化を早める原因にもなるわけですが、たばこ、ストレス、睡眠不足、大気汚染などは、この活性酸素を増やすことがわかっています。活性酸素を減らすためには、そのもととなる要因をできるだけ減らすこと。そして、酸化を防ぐ抗酸化力のある栄養をとることも意識するといいでしょう」(家光先生)

【環境のなかにある活性酸素のもと】…紫外線、排気ガス、大気汚染、電磁波 など
【生活習慣のなかにある活性酸素のもと】…たばこ、ストレス、睡眠不足など

【抗酸化力を高める食材に注目!】
〈ポリフェノールが豊富〉…ブルーベリー、赤ワイン、ぶどう、なす、ココアなど
〈ビタミンCが豊富〉…緑黄色野菜(トマト、 ブロッコリー、ピーマンなど)、果物など
〈ビタミンEが豊富〉…ナッツ類(アーモンド、ピーナッツ、くるみなど)、ごまなど

塩分をとり過ぎると、血圧が上がり、血管が傷つく!

塩

減塩することは、血管の柔軟性を保つうえでも重要です。

「血管のかたさと血圧は比例していますから、塩分のとり過ぎは“血管のかたさ”を助長してしまいます。塩分をたくさんとると、血液のなかの塩分濃度が高くなり、体はその濃度を調節しようとして、水分をため込みます。それにより、血管内の液体量が増えるため、血管を圧迫し高血圧になるのです。高血圧になるということは、当然、動脈硬化のリスクも高めてしまいますし、心臓にも負荷がかかります」

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、男性は7.5g未満、女性は6.5g未満を食塩摂取量の目標値としています。ところが、実際の日本人の食塩摂取量は、1日あたり男性が11g、女性が9.3g(厚生労働省平成30年『国民 健康・栄養調査』より)。目標値より、だいぶ多くなっています。ちなみにWHO(世界保健機関)が推奨する目標値は5g未満。世界基準から見ても日本人の塩分摂取量は高い傾向にあることがわかります。

「塩分は思いのほかさまざまな食品にたくさん含まれています。しょうゆやソースなど塩辛い調味料に多いことは想像がつくかもしれませんが、意外に多いのがハムやウインナー、かまぼこなどの加工食品です。また、6枚切りの食パン1枚でも0.7gほどの食塩が含まれているといわれています。このように実際の味覚では気づかない、隠れ塩分も多いので要注意です」

1日あたり1gの減塩により、上の血圧が1mmHg下がることも確認されています。血管の健康のために、塩分摂取量の見直しも意識しましょう。

糖質や脂質のとり過ぎも要注意!

砂糖

糖尿病や肥満、脂質異常症などは、動脈硬化を急激に促進させてしまうことに。動脈硬化が進行することで、心筋梗塞、脳梗塞、腎不全などの恐ろしい病も起こりやすくなります。

「本来、糖質は体の貴重なエネルギー源であって代謝をする過程で使われていくのですが、余った糖質は血管にとって、厄介者。血管内皮細胞に入り込んで、血管を傷つけ、機能を低下させてしまうのです。活性酸素も多く発生させてしまいますから、血管の老化の大きな要因になるわけです」

そして脂質のとり過ぎで起こる脂質異常症は、血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪が異常に増えた状態。コレステロールは血管壁を傷つけ、血管内にプラークというかたまりをつくります。それが、血管を詰まらせる原因になります。

「糖質も脂質も体に必要な栄養素です。ただとり過ぎれば血管に悪影響を与えます。これらを適度に抑え、栄養バランスのいい食事を心がけましょう」

一酸化窒素(NO)を増やせる食材を知ろう

ビーツ

一酸化窒素(NO)をはじめとした血管拡張物質の分泌が減ると、血管はかたくなってしまいます。NOの分泌は食事の面からもうながすことができます。そこに深く関わっているのが、シトルリンです。

「シトルリンはアミノ酸の一種でNO産生の促進に関与し、動脈硬化の予防や緩和に働くことがわかっています。このシトルリンをとりわけ多く含むのが、スイカやメロン、きゅうり、冬瓜、にがうり、ヘチマなどのウリ科の植物。特にスイカは100gあたりの含有量が約180gと多く、夏が旬にはなりますが、血管によい働きをする食材として覚えておきましょう」

またNOと深く関わる成分として最近注目されているのが、「硝酸塩」です。

「硝酸塩を特に多く含むのが、赤いかぶのような野菜のビーツです。ビーツに多く含まれる硝酸塩は、体内で亜硝酸塩に還元され、さらにNOに変換されます。NOがつくり出されれば血管を拡張させる作用が働き、血圧を低下させる、血流をよくする、動脈硬化を予防・緩和するといった一連の効果が期待できます」

ビーツのほかにもごぼうなどの根菜、キャベツやほうれん草、レタス、春菊、小松菜、セロリなどなどの葉物野菜、きのこ類などにも多く含まれているそうです。

血管年齢に大きく影響する生活習慣。前回お伝えしたストレッチとともに、乱れた食生活や運動不足などのリスク要因を排除して、血管のやわらかさと若々しさをキープしていきましょう!

文/庄司真紀

参考書籍/

『体がやわらかくなると血管が強くなる』(アスコム)

『体がやわらかくなると血管が強くなる』(アスコム)

 

著者/

家光素行

家光素行
立命館大学スポーツ健康科学部教授。国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所客員研究員。1996年、川崎医療福祉大学医療技術学部卒業。2003年、筑波大学大学院医学研究科博士課程修了。筑波大学先端学際領域研究センター客員研究員、国立健康・栄養研究所身体活動研究部客員研究員などを経て、14年より現職。

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