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CATEGORY : ヘルスケア |睡眠

睡眠専門医が答えます! 学力や成績に睡眠が関係する!? 即効性のある睡眠法とは? etc…[前編]

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勉強中に寝てしまった女性

今年のヘルスケア分野の動向を予想する「FYTTEヘルスケアトレンド2023」で、注目のトレンドワードのひとつになっている「リカバリータイム」。これまでも「睡眠負債」が注目されるなど、睡眠や休息は関心の高いテーマでしたが、コロナ禍での免疫力やメンタルヘルスへの影響が相まって、一気にメガトレンドになっています。
そこで今回は、リカバリー(休息・回復)が大切になるこれからのシーズンに向けて、睡眠でリカバリーする素朴な疑問を、睡眠の専門医である坪田聡先生に答えていただきました。

監修 : 坪田 聡

医師・医学博士。雨晴クリニック院長。日本睡眠学会のほか、日本医師会に所属。医師として診療にあたる中で、睡眠障害がほかの病気の発症や経過に深く関係していることに気づき、高齢者を中心に睡眠障害の治療を開始。その後、治療から予防に診療をシフトし、「快眠で健康な生活を送ろう」というコンセプトのもと、睡眠の質を向上させるための指導や普及に努める。著書に、『女性ホルモンが整う オトナ女子の睡眠ノート』(総合法令出版)、『朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」』(ダイヤモンド社)などがある。

Contents 目次

睡眠にまつわる素朴な疑問を解消して、良質な睡眠を手に入れよう!

授業中に寝てしまった少年

毎日の酷暑で、疲れがたまっている、なかなか疲れがとれないという人も多いのでは? そこで、今日からすぐにできる睡眠でリカバリーする方法などを教えていただきました。

Q.睡眠不足だと仕事や勉強で結果が出せないって本当?

A.「本当です。たとえば子どものテストの成績を見ると、ちゃんと寝ている子どもは成績がよく、反対に眠れていない子どもは成績が低めです。これは、記憶力だけではなく、運動能力にも影響があり、しっかり寝ている子どもの運動能力は高いです。睡眠不足はもちろん、睡眠の質が悪い人は、頭の回転が落ちてしまい、日中ぼーっとしてしまったり、眠気と戦うことになるので、どうしても生産力が落ちてしまいます。そんなことでは、結果が出せないのは当然です。自分の睡眠を見直しましょう」(坪田先生:以下同)

Q.トップアスリートも睡眠を大切にしてリカバリーに努めていると聞きます。体力の回復と睡眠の関係は深い?

A.「スポーツ界でよいパフォーマンスをするために大切とされている『心・技・体』。これは、心(メンタル)、技(テクニック)、体(フィジカル)の3つのバランスが整ったとき、最大限パフォーマンスが発揮できるという言葉です。それには休養も大事な要因で、休養の中には睡眠も入っているのですが、近年まであまり注目されていませんでした。しかし、最近はその研究も盛んに行われるようになっています。

たとえばトップアスリートと、運動部の大学生の睡眠時間を調べると、トップアスリートの方が、1時間ほど睡眠時間が長いという結果でした。また、アメリカでの最近の研究では、大学のバスケットボールの選手たちに、約2か月間、いつもより2時間ほど長く寝てもらったところ、足の速さやシュートの確率が1割ほど上がったという報告があります。

この研究を発表した先生の解説では、よく寝たから運動能力が伸びたというよりも、今まで睡眠不足だったため100%の実力が発揮できずにいたという解釈でした。しかし、アメリカ人の平均睡眠時間は、日本人よりも1時間くらい長いんですよ。ということは、日本人は、もう2~3時間以上長く寝ないと100%の実力が発揮できないということになります。

最近では、海外に行くときに枕やマットレスなど、持参されるトップアスリートの姿をよく見かけるようになりました。そのくらい、良質の睡眠をとることは、体力の回復につながると考えられているのです」

ストレッチをしている女性

Q.猛暑日続きで、疲れがとれない……
即効性のある睡眠でリカバリーする方法って?

A.「疲れをとるためには質のよい睡眠をとることが大切です。それには、生活習慣と寝室の環境の見直し、ストレスの軽減の3つの柱が重要になります。以下の項目をできるだけとり入れるようにしてみてください。日本人は世界的に見ても、睡眠時間が短く、睡眠への不満が多いといわれています。それなのにある調査では、睡眠への不満を解決するために何かしているかというと、なにもしていない人がいちばん多いという結果でした。

みなさん、自分の睡眠に不満を抱えながらも、何もしない人がほとんどです。ぜひ、全部は難しくても、できる範囲で、習慣化していきましょう。最低でも1週間続けてみて、それでも睡眠の質が良くならない場合は、その人には合わない方法だということになりますので、別の方法を試してください」

●生活習慣編
□平日は同じ時間に起きる
□休日でも平日の睡眠時間+2時間以内に起きる
□布団を出たら、すぐに太陽の光を浴びる
□朝食は必ずとる
□午後3時までに20分の昼寝をする
□夕方に軽い運動をする
□夕食後にカフェインはとらない
□寝る1~2時間前に入浴する(38~40度のぬるま湯に10~20分浸かる)
□寝る1時間前は明るい光やスマホやテレビの画面を見ない
□寝る前に、翌朝の起きる時間を強く念じる

●寝室の環境編
□寝室の室温は夏なら25~28度、冬は15~18度、湿度は40~60%前後にする
□寝室は暗く静かにする
□寝室の色は、心身をリラックスさせるグリーンや、睡眠ホルモンのメラトニンの分泌を促す黄色、明るく元気な気分になるオレンジ、おだやかな気分になる青を選ぶ
□寝返りしやすい枕やマットレスを選ぶ
□部屋着ではなく、通気性、吸水性、速乾性の高いパジャマを着る
□睡眠効果のあるラベンダーや、森林浴の香りのセドロールなどの香りをとり入れる

●ストレスの軽減
□寝床の中では悩まないこと
□「エクスプレッシブ・ライティング」をする:ネガティブな悩みやイライラをノートに書き出し、書き終わったら、「はい、今日はこれでおしまい」とはっきり口に出して、ノートを引き出しにしまう。そうすることで、気持ちがひと段落して眠りやすくなる
□「スリー・グッド・シングス」をする:その日1日を振り返って、よかったことを3つ書き出すことで、心の緊張がほぐれる

ベッドの上でだるそうに寝ている女性

「ストレスを軽減させるには、入浴や軽い運動もおすすめです。とくに夏は暑いのでシャワーだけですます人も多いと思いますが、ぬるめのお湯でいいので、入浴することが肝心です。人は体温が下がるときに眠くなるんですが、入浴で深部体温を上げておくことで、入浴後は急速に深部体温が下がり、深い眠りへと誘われます。また、入浴で体を温めることは、筋肉がほぐれて心身がリラックスし、良質な睡眠につながります。入浴は、寝る1~2時間前までに、夏なら38度くらいのぬるま湯に10~20分浸かりましょう」

睡眠に満足していない人は、まずは入浴を1週間続けてみては?
次回は、睡眠でリカバリーするための素朴な疑問の後編をお届けします。

取材・文/奥沢ナツ

ヘルスケアトレンドの詳細は下記をご覧ください。
*FYTTEヘルスケアトレンド2023特設サイト:https://fytte.jp/trend2023/

 

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