コンブチャをご存じでしょうか? 紅茶や緑茶をベースとした発酵飲料で、かつて日本では「紅茶キノコ」と呼ばれてブームになりました。最近では北米を中心にふたたび注目を集めています。さまざまな健康効果が伝えられていますが、このたび海外研究では、糖尿病の人がコンブチャを飲むと、血糖値を下げる効果があると報告されました。腸活ブームの折、発酵食品のひとつとしてトレンドが再燃するかもしれません。
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コンブチャの健康への効果とは?
コンブチャは甘くしたお茶を体によい働きのある菌で発酵させて作ったもので、長年にわたり世界各地で愛飲されてきました。免疫力や活力の増強、体内の炎症を抑える効能が伝えられていますが、人を対象とした科学的研究はごくわずかしか報告されていないといいます。
ただし、コンブチャの血糖値への効果が一部の研究からわかってきています。動物実験では、糖尿病や肥満のネズミで血糖値を下げたという結果がいくつか出ているのです。また、健康な人を対象とした最近の研究(1件)でも、血糖値の上昇を防いだそう。
そこで、今回、米国の研究グループは初めて糖尿病の人を対象としてコンブチャの血糖値低減効果を調べてみました。糖尿病の12人にコンブチャまたは別の飲み物(各240ml)を毎日夕食と一緒に4週間飲んでもらい、その後に8週間の間を空けて(飲んだものの影響を打ち消すための期間)、今度は飲み物を交代して同様に4週間飲んでもらいました。別の飲み物は見かけとフレーバーをコンブチャに似せたもので、どちらを飲んでいるか、参加者は教えられていません。
血糖値は毎日の朝食前に参加者に測ってもらい、メンタル面も含めた全身的な健康状態についても、アンケートを複数回行ってデータを収集。さらに培養や遺伝子解析により、コンブチャに含まれる微生物についても分析しました。
乳酸菌、酢酸菌、酵母が主役
こうして研究で確認されたのが、コンブチャを飲んだ4週目には研究開始時に比べて空腹時血糖の平均値が下がったことです(165mg/dLから116mg/dLへ低下)。別の飲み物では統計的にたしかな減少は見られませんでした。参考として、米国糖尿病協会(ADA)が推奨する食事前の血糖値は70〜130mg/dLとなっています。
また、微生物は乳酸菌と酢酸菌、酵母菌(最も多いのはデッケラ属と呼ばれる酵母)が主体。これまでの研究では、使用されているコンブチャのメーカーやブランドによって微生物の種類や量に若干違いが見られますが、主な微生物は機能的に同様と考えられるものだそうです。
研究グループは、今回の研究について決定的な結論を導くには参加者数が少なく、あくまでも将来の大規模研究にデータを提供する予備的な研究と位置づけたうえで、コンブチャは糖尿病の人で血糖値を下げる効果を示す可能性があると述べています。
こうした研究をきっかけにコンブチャが一層注目されるのかもしれません。
<参考文献>
Drinking Kombucha May Reduce Blood Sugar Levels in People with Type 2 Diabetes
https://health.georgetown.edu/news-release/drinking-kombucha-may-reduce-blood-sugar-levels-in-people-with-type-2-diabetes/
Mendelson C, Sparkes S, Merenstein DJ, Christensen C, Sharma V, Desale S, Auchtung JM, Kok CR, Hallen-Adams HE, Hutkins R. Kombucha tea as an anti-hyperglycemic agent in humans with diabetes – a randomized controlled pilot investigation. Front Nutr. 2023 Aug 1;10:1190248. doi: 10.3389/fnut.2023.1190248. PMID: 37588049; PMCID: PMC10426908.
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnut.2023.1190248/full
今さら聞けない……紀元前から存在する発酵食品、「コンブチャ」って何モノ?! #Omezaトーク
https://fytte.jp/news/diet/145849/
紅茶なの?キノコなの? 初挑戦のヘルシードリンク「コンブチャ」の味とは #Omezaトーク
https://fytte.jp/news/diet/111128/