コロナ禍を機に、心身を整えて体の機能を回復させる「リカバリータイム」を重視する流れが一気にアップ! 「FYTTEヘルスケアトレンド2023」でも注目のトレンドワードとして選ばれています。あわせて、心身のリラックスをうながす成分を含む食品も「ムードフード」と呼ばれて注目度が上昇中。そこで、FYTTE読者の関心が高い「睡眠」「疲労回復」をテーマに、リカバリータイムに役立つ食品を管理栄養士の浅野まみこさんにインタビュー。今回はその前編。「睡眠」について教えてもらいました。
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ホットミルクは、寝る前よりも朝に飲むほうが効果的!
リカバリータイムと聞いていちばんに思い浮かぶのが睡眠ではないでしょうか。「眠れないときにはホットミルク」というイメージがあり、牛乳は安眠に導いてくれる食品といえそうです。浅野さんによると、乳製品に含まれているトリプトファンという成分が重要な働きをするのだそう。
「乳たんぱく質に豊富に含まれている必須アミノ酸のトリプトファンからセロトニンが作られ、夜になると睡眠ホルモンといわれるメラトニンが生成されるため、眠りにつきやすくなるんです。トリプトファンは、乳製品だけでなく大豆製品などにも含まれています。
ただ、『寝る前にホットミルクを飲むといい』と思っている人が多いと思うのですが、じつは、トリプトファンは午前中にとるのがおすすめなんです。トリプトファンからセロトニンを作るためには、「光」そして「ビタミンB6」「鉄」が必要です。さらにセロトニンがメラトニンに変化するには、暗条件(光の当たらない、暗い場所)が必要です。消化されてメラトニンが作られるまでの過程を考えて、朝に摂取して夜の睡眠に向けて準備しておきましょうという考え方です」(浅野さん:以下同)
「睡眠の質向上」に効果があると「Yakult(ヤクルト)1000」が大人気になったことも記憶に新しいところ。急激に注目を集めるようになったのには理由があるのだとか。
「菌の研究が進むなかで、菌の種類によって『血糖値を下げる』『血圧を下げる』といった効果があることがわかってきたためです。Yakult1000などは、乳酸菌の中の、睡眠の質改善に効果のある種類が使われています。いろいろな商品がありますけれど、『睡眠に効果』などと表示されているので、自分に合ったものを選ぶといいと思います」
腸内環境の改善に大活躍する短鎖脂肪酸に注目!
最近は、腸内環境の改善が睡眠の改善につながるということも広く知られるようになってきました。腸内環境の改善にも乳酸菌が効果的なのですが、浅野さんによると、ビフィズス菌の効果も注目されているのだそう。乳酸菌もビフィズス菌も腸内環境を整える善玉菌の代表として知られていますが、正直いってどちらも似たようなイメージ…。じつは、乳酸菌とビフィズス菌は細菌の種類が異なり、腸内での働き方も違うのだとか。
「いちばん違うのは腸内での活動場所です。乳酸菌は小腸で、酸素が苦手なビフィズス菌は大腸で活躍します。また、ビフィズス菌には『短鎖脂肪酸』を生み出す働きがあって、最近、この短鎖脂肪酸に注目が集まっているんです。短鎖脂肪酸というのは酢酸、酪酸、プロピオン酸などの総称です。短鎖脂肪酸が増えると、基礎代謝が上がる、腸のバリア機能が高まる、体脂肪が減る、精神的に安定するなど、さまざまな効果が期待できるといわれているんです」
ビフィズス菌というとヨーグルトくらいしか思い浮かばないのですが、やっぱりヨーグルトが効果的? ほかにはどんな食品に?
「やっぱりビフィズス菌入りヨーグルトがいちばん手軽だと思いますね。そのほかにおすすめなのは、酪酸菌が豊富なぬか漬け。ぬか漬けは、食べるだけでなく、ぬか床を手で混ぜることでリラクゼーション効果が得られるところもいいんです。私も家でぬか床を育てているのですが、ぬか床を作ってこねこねすると、なんともいえない癒し効果を得られるんですよ(笑)」
次回は「疲労回復」をテーマに、精神的な疲労と肉体的な疲労、それぞれに効果が期待できる食品などについて教えてもらいます。
取材・文/小高 希久恵
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