海の近くに住んでいる人は注意しておくとよいかもしれません。海外研究によると、皮膚がんの一種であるメラノーマのリスクが高まると報告されました。仕事や休みの日などに強い日差しを浴びたり肌を焼いたりする機会が全般的に増えがちであることが関係するようです。紫外線はそもそも肌の美容にとっても大敵ですから、対策の大切さをあらためて認識するきっかけにするとよいかもしれません。
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紫外線を浴びる影響とは?
紫外線を浴びるのは美容や健康によくないといわれます。それは日焼けやシミが問題になるほかに、皮膚のがんのリスクにつながる心配もあるためです。特に見た目がホクロのような皮膚がんである「メラノーマ」の増加が海外では報告されています。
たとえば、今回の研究報告によると、カナダでは3人に1人が生涯で何らかの皮膚がんにかかるといわれています。また、カナダにおいて、州によって異なるものの、全体的な傾向としてメラノーマは大西洋沿岸で多く見られるそうです。
そこで今回、カナダのマギル大学などの研究グループは、大西洋に面した4州の住人を対象としたがんの研究に参加した人たちとその友人や家族に対して、紫外線を浴びる状況や日焼け防止に関する調査を行い、皮膚がんの発生状況と地域差について探ってみました。
メラノーマの発生が全国平均より高い2州と低い1州の間で(ほかの1州は全国平均)、紫外線や日焼け防止、皮膚がん発生率などについて比較したほか、性別、収入、学歴の点でも比較をしました。
紫外線を浴びないことが大切
研究からわかったのは、メラノーマの発生が多い2つの州の住民は、低い州に比べて、日焼けしたり強い陽射しを浴びたりすることが多いということです。また、休暇の間に肌を焼く割合も高いとわかりました。さらに、メラノーマの発生が多い2つの州は、日焼けしやすい肌質の人が多いという違いもありました。
一方で、これらの2つの州では日焼けサロンのユーザーが少なく、ホクロができたかどうか気を配ったり紫外線防止策をとったりする皮膚がんを予防するための行動はむしろ多く、紫外線に関する対策には前向きであることもわかりました。
これらの結果より、紫外線防止の意識や対策よりも強い陽射しを浴びる頻度や割合が多いことが皮膚がんにとっては問題になる可能性があると研究グループは推測しています。
このほかにも高収入の人は休日に太陽の光を楽しむ機会が多く、皮膚がんのリスクが上がる可能性があると判明。また、男性は日焼け止めをあまり使わないためにリスクが高いこともわかりました。特に女性の場合、長袖を着ることが少ないことから手足にメラノーマができやすい原因になっている可能性もあるようです。
日本人においては欧米よりも皮膚がんが少ないのですが、紫外線はシミや肌の老化にもつながる肌の大敵です。このような研究結果を参考に、特に日に当たる機会が多い人は、夏に限らず一年を通して紫外線対策を一層しっかりするようあらためて気をつけるとよいかもしれません。
<参考文献>
Why men, wealthy people and maritime residents are more likely to develop skin cancer
https://www.mcgill.ca/newsroom/channels/news/why-men-wealthy-people-and-maritime-residents-are-more-likely-develop-skin-cancer-349697
Lagacé F, Noorah BN, Conte S, Mija LA, Chang J, Cattelan L, LeBeau J, Claveau J, Turchin I, Gulliver W, Gniadecki R, Netchiporouk E, Miller WH Jr, Salopek TG, Rahme E, Peláez S, Litvinov IV. Assessing Skin Cancer Risk Factors, Sun Safety Behaviors and Melanoma Concern in Atlantic Canada: A Comprehensive Survey Study. Cancers (Basel). 2023 Jul 25;15(15):3753. doi: 10.3390/cancers15153753. PMID: 37568569; PMCID: PMC10417242.
https://www.mdpi.com/2072-6694/15/15/3753