足から全身に働きかけることで健康的な毎日を生み出す「足ウェルネスⓇ」というライフスタイルを提唱している足のひと 鈴木きよみさん。足裏に表れる表情を読み解き不調の原因を見出す、先生の足相診断をレポートします。今回のモニターさんは、仕事と子育てで毎日忙しく、体の疲れがたまっています。産後の回復ケアにも役立つ、疲れを解消し体を温める足刺激テクニックをご紹介します!
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仕事と子育てでめまぐるしい毎日…。たまった疲れを示す足相とは?
今回のモニターは、会社員をしている40代前半のSさんです。
Sさん:「最近ストレスが多いことが気になっていて、そのせいか肩こりや腰痛に悩まされています。冬は冷え性もひどく、足先が冷た過ぎて感覚がなくなってしまいます。ウエストや腰回りなどが太りやすくなったことも気になっています」
きよみ先生:「足が冷たく冷え性がありますね。とてもお疲れのようですが、もしかして、小さいお子さんがいらっしゃいますか?」
Sさん:「2歳の子どもがいます。産後は1年ほどで仕事に復帰したので疲れはありますね」
きよみ先生:「生殖器のゾーンであるかかとにくっきりとした横じわがたくさん出ています。このしわは、出産を経験した人にしか表れないので、Sさんにはお子さんがいらっしゃるのだろうとわかります。このしわがある人は、子宮の働きが心配なので、足刺激でケアをしていきましょう。また、脳も疲れているようです」
Sさん:「毎日考えることがいっぱいあって、自分でも脳の疲れは感じますね。実家が遠いので子育てを手伝ってもらうことも難しくて…。夫も手伝ってくれますが、2人ともいっぱいいっぱいになっています」
●かかとの横じわ
きよみ先生:「出産を終えて子育てが始まったと思ったら、またたく間にお仕事に復帰もされた、ということですね。Sさんが思っている以上に体や脳が疲れている状態だと足相が教えてくれています。足刺激をして、自分のための時間を作ってほしいですね」
まさに疲労困憊している状態だというSさんですが、その疲れは指全体の力のなさにも表れているのだそうですよ。
きよみ先生:「指全体が頼りない印象で、親指が内側に傾きやすく、上に反り気味なのもSさんの足の特徴です。これはストレスを受けやすく脳疲労が強い状態を表しますが、意外とストレスに耐えてしまうほうではないですか?」
●内側に傾き、上に反り気味の親指
Sさん:「親指が上に反り返ってしまうことは以前から自覚があり、ストッキングが破れやすいので気になっていました。たしかに疲れていても結構、頑張れてしまうタイプかもしれません。仕事もチームの中心となってやることが多いです」
きよみ先生:「Sさんのように足の爪のカーブが丸い人は、自分に負荷をかけ過ぎる人が多いのです。気持ちは頑張れてしまうのですが、その分、自分の体を置きてきぼりにしてしまうようなところがあるのですね。親指がこれだけ上向きになり、爪が丸くなるということは、脳疲労が強く、脳が膨張した状態だとイメージしてみてください。頭痛なども起きやすいのではないでしょうか」
Sさん:「首や肩こりがありますし、ひどいときは顔や頭が痛くなることがあります」
きよみ先生:「根性があるので、少々痛みがあっても頑張れてしまうから、疲れがどんどんたまってしまうのですね」
目まぐるしいほど忙しい日が続くと、疲れがあっても無理をしてしまうことってありますよね。そんなときは足に疲労のサインが出ていないかをチェックして、時には忙しさにブレーキをかけることも健康を守るためには必要かもしれません。
きよみ先生:「Sさんは産後に太りやすくなった、と感じているようですね。Sさんはとても細い指をしていますが、指が細い人は本来太る体質ではないのですよ。もともと細い体だったのに、出産によって腰回りに肉がついたため、太ったと感じているのだと思います。また、腰痛が起きているのはお産によって骨盤が開いた状態になっているためですね」
Sさん:「朝は腰が痛くて、すぐには起き上がれない日もあるほどです。子どもが小さく目が離せないので、追いかけているうちに腰にピキッと痛みが走ることがあります」
きよみ先生:「朝寝た状態で足を上にあげ、自転車をこぐような動きをしてみてください。くり返すうちに骨盤が閉じやすくなっていきますよ」
Sさんは、出産経験や子育て生活によって、疲れがたまったり痛みが出たりといった体の不調が起きやすくなっているようです。自分の体をいたわる時間はなかなかとれないそうですが、短時間でも足刺激をして、不調をケアしてあげたいですね。
たまった疲れを解消し、体を温める足刺激テクニック
冷え性を改善して体の巡りをよくすることは、体質改善の基本です。たまった疲れを解消するのにおすすめの足刺激テクニックとともにご紹介します。
【腎臓~輸尿管~膀胱のゾーンをプッシュ】
はじめに、足裏の反射区の基本的な部位である腎臓・輸尿管・膀胱のゾーンを流れで刺激します。体の不要な毒素を排出する働きを高めることで、全身の巡りをよくします。オイルやクリームをつけ、指圧棒や指の関節の角を使ってしっかりと刺激しましょう。
●腎臓・輸尿管・膀胱のゾーン
体が冷えている人や疲れがたまっている人は、腎臓のゾーンに強い痛みを感じたり、かたさを感じたりすることがあります。痛みが和らぎ、肌がやわらかくなるまで、くり返し足刺激を続けましょう。
【親指の腹を刺激】
親指の腹には脳のゾーンが集まっています。巡りをよくするために、脳のゾーンをしっかりと刺激しましょう。脳疲労が多い人は、この部分に老廃物がたまってゴリゴリとした手ごたえを感じます。指圧棒の先や指の関節の角でつぶすようにして、指の腹をやわらかく保ちましょう。
【足の指先を刺激】
足の指先は、指圧棒の先や指の関節の角でこするようにして、まんべんなく刺激します。指先が温まると、全身もぽかぽかと温まり、冷え性の改善につながります。
【足首の正面を刺激する】
足首の正面には股関節のゾーンがあります。手をグーにした指の関節を足首の正面に当てて、上下にゴシゴシとこするように刺激します。
【腰椎のゾーンを刺激する】
腰痛がツラいときは、足の内側側面にある腰椎のゾーンを刺激します。指圧棒や指先、指の関節の角を使って刺激しましょう。
●腰椎のゾーン
産後のケアは長い目で続けることが大切。足刺激で体を温めよう!
Sさんは、きよみ先生の足刺激で特に痛いところがあったようです。
Sさん:「足首正面の刺激は想像以上に痛みがあって、びっくりしました! 腰椎のゾーンもめちゃくちゃ痛いです。強く押していないのにこんなに痛いのですね! 体はだんだんと温まってきたのを感じます」
足刺激前後の足裏の変化を確認してみましょう。
足刺激前の足色は、かかとや足裏の外側は紫がかった色でしたが、足刺激後は足裏全体の赤みが強くなったので、巡りがよくなったことがわかりますね!
●足刺激前
●足刺激後
きよみ先生:「体の細胞が生まれ変わるには7年かかると言われています。出産を経験した体がもと通りになるには、本来そのくらいの年月が必要なのです。とくに冷えの改善は欠かせません。長い目で体のケアを続けてみてくださいね」
Sさん:「骨盤の開きの影響なのか、足をまっすぐにしたときに右ひざが傾いて曲がってしまうのも気になっています」
きよみ先生:「流れるプールや湯船の中でゆらゆら浮かんだりすると、体が自由な状態になって、骨盤の開きやひざの傾きがもとの位置に調整できることがあります。機会があれば試してみてくださいね」
最後にSさんに、足相診断を受けた感想をお聞きしました。
Sさん:「自分の足裏をじっくり見たことはなかったのですが、ひとりひとりに違った特徴があり、体調のことがいろいろいとわかるのですね! 足刺激のあとは足首がやわらかく、よく曲がるようになりました。今までも腰痛がひどいときに自分で足刺激をしていましたが、今回でゾーンの押し方がわかったので、自分でもそのようにやってみます」
3週間の足刺激体験で、体の疲れが少しずつでも解消するといいですね! 次回記事では、モニター体験の様子をくわしくお伝えします。
取材・文/牧内夕子 イラスト/湯沢知子
鈴木きよみ先生の足相学が1冊にまとまりました! 足をチェックするときに欠かせない、ゾーンMAPをはじめ、足の形、色、しわ、温度などのチェックポイント、各症状別の足相、そしてそれを解決すべきゾーンセラピーの方法などがわかりやすくまとまっています。初めてご自分の足裏を見るという方にも、足裏のケアを続けてきた方にも、すぐに役立つ1冊です。ご自身の体調管理を、足裏から始めてみてはいかがでしょうか。全国の書店、ネット書店で販売しています。