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乳がんマンモグラフィ検査の「偽陽性」に要注意! 海外研究がその後の発症リスクを指摘

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乳がん検査

乳がん検診で一般的に行われているマンモグラフィ検査。この検査では、「がんの疑いあり」と診断されたものの、その後の精密検査などでがんではないとわかる「偽陽性」のケースがあります。このたび海外研究によれば、マンモグラフィ検査の結果が偽陽性だった場合、その後20年にわたって乳がんになるリスクが高くなると報告されました。当てはまる人は気をつけておくとよさそうです。

監修 : 星 良孝 <ステラ・メディックス>

ステラ・メディックス代表取締役社長 獣医師/ジャーナリスト
専門分野特化型のコンテンツ創出を事業として、医療や健康、食品、美容、アニマルヘルスの領域の執筆・編集・審査監修を担っている。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BP社において「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年に会社設立。YouTubeステラチャンネルでもヘルスケアの話題を発信。
YouTube:https://youtube.com/@stellach

Contents 目次

スウェーデンの50万人のデータを分析

乳がん検査

従来の研究によると、1回のマンモグラフィ検査で誤ってがんがあると判定される「偽陽性」が出る割合は国によって異なり、米国ではおよそ11%、日本ではおよそ10%。欧州は2.5%と比較的低いようですが、それでも検診を10回くり返すと、20%の人が少なくとも1回は偽陽性の結果を経験することになります。

マンモグラフィ検査でがんの疑いありと診断されると、さらに精密な検査を受けることになり、検査によっては体に負担もかかりますし、結果を待つ間の不安や心配といったストレスも加わります。そのため、たとえ最終的な結果がよくても、その後の検診受診率に影響を与えかねず、偽陽性の診断は短期的に乳がんのリスクを高めるという過去の研究結果もあるそうです。

そこで今回、カロリンスカ医科大学などスウェーデンと中国の研究グループは、偽陽性診断が長期的にも乳がんのリスクを高めるのかどうか、またデンスブレストなどの特性や乳がんのタイプによって違いがあるかどうか、スウェーデンの50万人近く(そのうち偽陽性診断を受けた人は約4万5000人)の検診データを使って調べてみました。脂肪より乳腺組織の割合が多いデンスブレストの人は、マンモグラフィ検査でがんが見落とされやすいとされています。

年齢や乳腺濃度によってリスクが異なる

乳がん

こうして研究で確認されたのが、偽陽性の結果が出たことがある人は、出ていない人に比べて、その後の20年間における乳がんのリスクが平均して60%高いということです。

具体的には、リスクは検査時の年齢、乳腺濃度、精密検査で生検(病変部の一部をとり出して行う組織検査)を受けたかどうかで異なります。40〜49歳の女性よりも60〜75歳の女性のほうが、リスクが高い傾向にあります。またデンスブレストではない人、マンモグラフィ検査後の精密検査で生検を受けた人では、リスクが高まることがわかりました。

さらに、偽陽性の結果が出たあとの4年間で乳がんになるリスクが最も高まることが判明。偽陽性だった側の乳房で腫瘍が見つかる確率が高く、見つかった腫瘍は比較的大きいことが多いこともわかりました。発症した乳がんのタイプについては、偽陰性の結果が出たケースと出なかったケースでは統計的な違いはありませんでしたが、偽陽性の結果が出たケースでは、乳がんによる死亡リスクが84%高くなることが明らかになりました。

研究では、マンモグラフィ検査で偽陽性の結果が出た場合、その後に乳がんを発症するリスクは個々のケースによって異なるとわかりました。そのため、特に偽陽性の結果を受けた直後の数年間は、乳がんのリスクに応じて注意深いフォローアップが必要であると研究グループは指摘しています。

なお、この研究では、デンスブレストではない人のほうが、長期的に見てリスクが高いと示されましたが、これは研究グループにとって予想外の結果だったといいます。一般的にデンスブレストの人において乳がんのリスクが高いとされるからですが、デンスブレストではない人は逆に検査から遠ざかるなどしてリスクが高まるのかもしれません。そこについては気をつけておくとよさそうです。

偽陽性をはじめ、今回の条件に当てはまる人は乳がんにあらためて気をつけるのがよいと考えられます。

<参考文献>

Mao X, He W, Humphreys K, Eriksson M, Holowko N, Yang H, Tapia J, Hall P, Czene K. Breast Cancer Incidence After a False-Positive Mammography Result. JAMA Oncol. 2023 Nov 2:e234519. doi: 10.1001/jamaoncol.2023.4519. Epub ahead of print. PMID: 37917078; PMCID: PMC10623302.
https://jamanetwork.com/journals/jamaoncology/fullarticle/2811409

Higher risk of breast cancer in women with false positive mammography result
https://news.ki.se/higher-risk-of-breast-cancer-in-women-with-false-positive-mammography-result

乳がん検診(がん情報サービス)
https://ganjoho.jp/med_pro/cancer_control/screening/screening_breast.html

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