いちごやブルーベリーなどのベリー類は、食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養素に加え、強力な抗酸化や抗炎症作用をもつポリフェノールの一種、フラボノイドが豊富に含まれています。これらのベリーがさまざまな病気から私たちを守ってくれると知られていますが、また新たな発見がありました。海外研究によると、ベリー類とフラボノイドを多くとっているほど、死亡リスクが下がると報告されたのです。
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全米規模の健康栄養調査データを分析
これまでの研究からベリー類は、心臓病や血管疾患などの病気のリスク低下と関連性が示されており、特に注目されるのが豊富に含まれるフラボノイドの効果です。フラボノイドは、慢性疾患や早期死亡の原因となる酸化ストレスと炎症を軽減する力を有しているため、ベリー類とフラボノイドをたくさんとることで、さらに死亡リスクまで下げる可能性もあるのではないかと考えられています。
ただ、ベリー類はそれほど頻繁に食べられている食品ではないため、調査などで一般的に使われる食事アンケートに含まれることが少なく、健康効果について大規模には調べられていませんでした。
そこで今回、米国ペンシルベニア州立大学の研究グループは、全国的な全国健康栄養調査(NHANES)のデータを基に、3万7000人以上の米国人の食生活を分析しました。ここからベリー類およびフラボノイドの摂取量と死亡リスクとの関連性を調べてみました。
合計摂取量に加えて、ベリー類はブルーベリーやクランベリーなどの種類ごとに、またフラボノイドもアントシアニンやイソフラボンなどの種類ごとに調べ、8年間の追跡期間中の死亡記録と照らし合わせています。ベリー類はフルーツサラダなどのように混ざっていたり、加工食品の一部になっていたりする場合を含めて詳しく分類。また、食事の質や年齢、性別、人種・民族、アルコール摂取量などの要素も考慮して分析しました。
フラボノイドをとる量が多いほど好ましい効果
こうして研究で確認されたのが、ベリー類を食べることで長生きにつながることです。
具体的には、ベリー類とフラボノイドの摂取量が多いほど、死亡リスクが低下していました。ベリー類をとらない人に比べて、何らかのベリー類をとっていた人は21%の死亡リスク低下。また、いちごでは14%、ブルーベリーでは21%、クランベリーでは31%など、種類によっても低下の程度に若干の違いが見られました。
フラボノイドも、さまざまな種類を合計した摂取量が多い人は、少ない人に比べて死亡リスクが15%低く、アントシアニンでは15%、フラボノールでは11%など、やはり種類によって若干の差がありました。
死因別では、心臓病や血管疾患による死亡のリスクは、何らかのベリー類をとっていた人で25%、クランベリーで51%低下。ブルーベリーをとっていた人は、とっていなかった人に比べて呼吸器系の病気による死亡リスクが59%低下しました。
今回、研究対象となった人のうち、定期的にベリー類をとっていた人は17%にとどまったのが課題になるようですが、ベリー類とフラボノイドは全体的な健康状態を改善して、早期死亡を防ぐ可能性があると研究グループはいいます。
ベリー類とフラボノイドを意識的に食生活にとり入れるとよいことがありそうです。
<参考文献>
Zhang L, Muscat JE, Chinchilli VM, Kris-Etherton PM, Al-Shaar L, Richie JP. Consumption of Berries and Flavonoids in Relation to Mortality in NHANES, 1999-2014. J Nutr. 2024 Jan 5:S0022-3166(24)00021-X. doi: 10.1016/j.tjnut.2024.01.002. Epub ahead of print. PMID: 38184200.
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S002231662400021X