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リベンジ夜更かしや過集中…自律神経の名医が解説、日常的にしていると危ない「集中力を低下させる生活習慣」5つ
現代の私たちが失いがちな集中力。1日中途切れることのない安定した集中力があれば、仕事や勉強がはかどり、生活の質も驚くほど上がります。しかし現代生活は自律神経を乱し、集中力を下げてしまうことばかり。リベンジ夜更かし、過集中…こんな行動をくり返していませんか? 今回は、順天堂大学医学部教授・小林弘幸先生の著書『自律神経の名医が教える集中力スイッチ』から、集中力を低下させるNG習慣について見ていきましょう。
Contents 目次
1.翌日のパフォーマンスを下げる、リベンジ夜更かし
日中忙しくて自由な時間を得られなかった人が、夜更かしをして不満足感を解消する“リベンジ夜更かし”。
「リベンジ夜更かしは睡眠時間を削る行為です。その瞬間、おそらく心は満たされるでしょうが、良質な睡眠をとらないと心身にさまざまな悪影響が生じます。体内時計の夜型化が進み、疲労、倦怠感、無気力などにつながっていきます。もちろん睡眠不足は脳の活動を減退させるので、集中力や注意力の欠如、情緒不安定、判断力の低下などメンタル面にも多大な影響を与えます」(小林先生)
ポーランドのオンライン調査によると、男性よりも女性、高齢者よりも若者、働いていない人よりも働いている人、非学生よりも学生が夜更かしをしがちだそうです。まずはしっかりとした睡眠をとること、それが持続集中力の土台になります。
2.マルチタスクで脳が疲れる
スピード化が進む世の中。仕事でもプライベートでも効率よく進められることが求められています。果たして複数のことに対して同時に集中することはできるのでしょうか。
「結論からいうと、マルチタスクは集中力の低下を招き、作業効率のアップ、生産性の向上にはつながりません。複数のことを同時に行おうとすればするほど、そしてその時間が長くなればなるほど、集中力が途切れ、生産性は下がるということがわかっています」
マルチタスクは同時に作業をこなしているようでいて、じつは脳がものすごいスピードで複数のタスクを瞬時に切り替えているだけ。
「脳が疲れると自律神経が乱れます。そして自律神経が乱れると集中力や判断力が低下し、結果的にミスやもの忘れが多くなり、作業効率が落ちるというわけです」
3.夕食後の仕事
リモートワークが当たり前になり、時間を自由に使えるようになりましたが、その分メリハリが失われて、仕事に集中しにくいと感じる人は多いようです。
「好ましくないのは、夕食後に仕事や勉強などをすることです。集中しようとするとおのずと交感神経の活動が活発になり気持ちが高ぶります。その状態が就寝前まで続いたら、寝つきが悪くなってしまいます」
寝る直前までメールチェックをしているという人もいるかもしれません。できれば、寝る1時間前からスマホなどを見ないこと。スマホの光と刺激の波状攻撃で、脳が覚醒して目が冴えてしまいます。
4.集中し過ぎで迷走神経が暴走
集中し過ぎると「迷走神経反射」という気になる症状を引き起こすことがあります。
「迷走神経反射とは長時間の同じ姿勢、強い痛み、疲労やストレスなどが引き金となって迷走神経が反射的に働き、心拍数の減少や血圧の低下を起こすこと。これによって貧血状態になり、気分が悪くなったり、お腹が痛くなったり、めまいが生じたりという症状が続き、最終的に失神に至ることもあります」
迷走神経は副交感神経のひとつなので、刺激されるとリラックス状態になり、急激な心拍数の減少と血圧の低下をもたらす→意識を保つための十分な脳への血流量が減る→意識を失う、これがメカニズムです。
満員電車で立ち続けているときやへとへとに疲れきっているときなどは要注意。集中し過ぎると迷走神経反射を起こしやすい状態を自ら招く可能性を高めてしまうかもしれません。
5.同じ姿勢で長時間仕事をする
自律神経はストレスによって大きく乱れます。同じ姿勢で長時間仕事をすることによって起こる首・肩のこりや、パソコンのモニターを見続けていることからくる目の疲れも、自律神経のさらなる乱れを誘発します。
「運動はストレスを発散させる効果があるので、運動不足はすなわちストレスをため込む要因になるのです。特に女性の場合は産後や更年期にホルモンバランスが乱れ、自律神経に悪影響をきたすことがあるのですが、運動するとこれらのホルモンの分泌が促進されるので、自律神経の安定をもたらしてくれます」
運動といってもそんなに身構える必要はありません。エレベーターの代わりに階段を使うなど、今の生活に体を動かすプラスアルファの行為を少し加えるだけでも十分に効果があります。
安定した集中力を維持するには、自律神経を乱さないこと。日常的になっているNG習慣を見直していきましょう。
文/庄司真紀
参考書籍/
『自律神経の名医が教える集中力スイッチ』(アスコム)
著者/小林弘幸
順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。1960年埼玉県生まれ。順天堂大学医学部卒業後、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手などのパフォーマンス向上指導に関わる。順天堂大学に日本初の便秘外来を開設した”腸のスペシャリスト”でもある。『医者が考案した「長生きみそ汁」』、『最高の体調を引き出す 超肺活』(アスコム刊)などのほか、「世界一受けたい授業」(日本テレビ)などメディア出演も多数。