胃はストレスと密接な関わりがあります。生活や環境が変わりやすい春はストレスを感じやすいことも。今回は、六本木・寺林治療院の寺林陽介先生が胃の調子が悪い患者さんには必ずマッサージするという胃のツボ「中脘(ちゅうかん)」をご紹介します。寺林先生の著書『死ぬまで楽しく食事をしたけりゃ胃をもみなさい』からお伝えしましょう。
Contents 目次
胃の調子のよし悪しは、中脘をさわればわかる
胃の特効薬的なツボである「中脘」。お腹の中間に位置したツボで、ここを刺激することにより、食物の消化に必要な胃のぜん動運動をうながし、お腹の膨満感や胃もたれ、胃下垂、胃炎といった症状を改善することができます。
寺林先生いわく、本人に自覚症状がなくても胃に問題を抱える人は、施術中に中脘をさわると必ずわかるのだそうです。
「胃が健康で正常に機能している状態なら、中脘を押したとき、指がスッと入っていきます。ところが、胃が不調できちんと働いていないと、中脘を押したときにこりを感じたり、指が押し返されるような感じがしたりするのです。また胃の不調を抱えている人は、中脘を押した(押された)ときに、ズーンと重くなるような、鈍い痛みを感じます」(寺林先生)
胃は加齢によって機能が低下しやすいため、若い人よりも年齢を重ねた人のほうが中脘にこりを感じることが多いようです。
「中脘のマッサージによって、胃の不調だけでなく胃の不調からくる肩こりや腰痛が解消したり、内臓全体の機能が高まり、体のだるさが解消したりすることもあります。さらに長い間の便秘が解消し、便意をもよおす人もたくさんいます」
胃の動きを高める中脘のマッサージ
【ツボの位置を確認しよう】
中脘はへそとみぞおちの真ん中あたりにあります。ツボの位置はへそから指5本目。小指をへそに当て、ちょうど親指がくる位置です(個人差あり)。 親指が当たるあたりを少しさわってみましょう。軽くへこんでいる場所が中脘です。
「押してみて少し痛みを感じるようであれば、ツボを正しく押していると考えて間違いありません。食べ過ぎたとき、脂っこいものを食べたときなどは、より痛みを感じることがあります」
【中脘のマッサージのPOINT】
1.マッサージの時間は1回あたり1~2分を目安に。
2.人さし指、中指で中脘を刺激します。胃のムカつき、吐き気、だるさ、重さ、痛さなど、さまざまな症状の改善が期待できます。
3.息を吸ったり吐いたりしながら行います。慣れるまでは力を加減しながら、ゆっくりやってみてください。ツボの位置をしっかり確かめて。
【中脘のマッサージ】
<1.中指と人差し指で押していく>
(1)中脘に対しできるだけ垂直に中指と人さし指を立てます。中指、人さし指、どちらが中脘に当たっていても構いません。
(2)2本の指を中院に当てたら、息をふーっと吐きながら、ゆっくりと押していきます。押していくと「ズーンとした、鈍い痛み」や「強い痛み」、「かたさ」を感じることがあります。3秒から5秒、ゆっくり深く息を吐きながら押してください。
(3)息を吐ききったと思ったところで、指を止めましょう。なお、奥まで押し過ぎないようにします。痛みが強い場合は、浅いところで止めてください。
<2.指で押したまま(深)呼吸をする>
(1)指でツボを押さえたまま、鼻からゆっくり息を吸い込み、お腹を膨らませていきます。
(2)お腹が膨らんでいくときも、指は中脘をしっかり押す気持ちで行いましょう。お腹が膨らむ力に対抗するように指を押し続けることで、中脘を効果的に刺激できます。
(3)十分に息を吸ったら、ゆっくり口から吐きましょう。
中脘のマッサージは<1>と<2>の2つで1セット。計5~8セットほどが、いちどに行うマッサージの目安です。
「最初は痛みが強くても何日もマッサージを続けるうちにこりがとれるように。痛みも軽くなり、胃の不調が改善していきます」
※内臓に疾患のある人や妊婦は、医師に相談のうえ行ってください。
※効果には個人差があります。
胃のぜん動運動をうながし、内臓全般の効果を整えるなど、知っておいて損はない中脘のツボ。中脘をマッサージすると、体の筋肉が活発に動き出し、すぐにお腹がグーとなります。胃の調子がよくなり、食欲がわいてくるのを実感できるでしょう。
次回は、食前に行うのがオススメの胃のマッサージをお伝えします!
文/庄司真紀
参考書籍/
『死ぬまで楽しく食事をしたけりゃ胃をもみなさい』(アスコム)
著者/寺林陽介
てらばやし・ようすけ 六本木・寺林治療院院長。1996年にあんまマッサージ指圧師、鍼師、灸師の国家資格を取得し、父の治療院で本格的に修行を開始。24歳のときから1人で治療院を運営。2014年4月、東京都港区六本木に移転し現在に至る。どこに行ってもラクにならなかったという患者ほど違いを実感する「疲れとりマッサージ」を行い、多くの著名人から評判を得ている。著書『疲れをとりたきゃ腎臓をもみなさい』(アスコム刊)は35万部のベストセラーになり、テレビ、雑誌など多数のメディアで注目を集めている。
監修/内野勝行
うちの・かつゆき 帝京大学医学部医学科卒業。都内病院の神経内科外来や千葉県の療養型病院副院長を経て現在金町駅前脳神経内科院長。日本神経学会会員。日本内科学会認定医。鍼伮や漢方といった東洋医学も取り入れ、患者さんの体全体の調和がとれるようアドバイスを行っている。著書『記憶力アップ×集中力アップ×認知症予防 1日1杯脳のおそうじスープ』は14万部のベストセラー。テレビ出演多数で、さまざまな医療情報番組の医療監修も務める。