目のエイジングを気にしたことはありますか? 見え方だけではなく、目そのものの“見た目”も年齢とともに変化します。肌や顔のパーツなどは、年齢を重ねて衰えを感じたら、メイクや美容医療で若く見せることができますが、目もケアをすることでアンチエイジングができるのでしょうか。YouTubeで目の病気について発信する、メディアでもおなじみの眼科専門医、二本松眼科病院副院長の平松類先生が解説します。
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白目のくすみ、黄味がエイジングの危険信号
じつは、目もエイジングで変化していきます。鏡で顔を見たとき、白目がくすんで見えたら、要注意! “目の老化”が進んでいるのかもしれません。
「目はとても老けやすい部分です。年齢とともに、白目が黄色っぽくなったり、くんできたりします。例えば、シワを目立たなくするためにボトックス注射をするなど、アンチエイジングで美容医療を受ける人は増えていますが、目のアンチエイジングをする人は少ないと思います。肌をきれいにしても、目の老化をケアをしないことで、外見がアンバランスな印象になってしまうこともあります」と、平松類先生。
昔の少女マンガでは、目がキラッと描かれていたものですが、あながち大げさな表現ではなく、「本来、目というのは輝いて見えるもの」だと言います。「なぜかというと、涙の成分は水と油で、それが混ざって光が反射するからです。その涙の質が悪くなると、乾燥してしまい、光が反射しなくなるため、輝きが失われ、くすんで見えるようになってしまうのです」
また、赤ちゃんの白目はきれいな白色をしていますが、年齢とともに黄色っぽく変化してくるそうです。「原因は紫外線です。肌にシミができるように、白目にもシミができてしまうのです」と平松先生は指摘します。
目の輝きは今からでもとり戻せる
では、輝きのある、きれいな目をとり戻すには、どうしたらよいのでしょうか。
「目に輝きを与えるには、涙の質をよくしてあげることです。油を分泌するマイボーム腺は、上下のまつげの生え際よりもやや内側にあります。ホットタオルなどで目を温めると、油の分泌がよくなります。また、質のよい油をとることも大事です。DHA・EPAなど青魚に多く含まれる油がおすすめです。あわせて、質の悪い油を避けること。コーン油、ジャンクフード、ポテトチップスなどのスナック菓子は、なるべく控えたいですね」
では、白目のエイジング対策は、どうすればよいのでしょうか。
「紫外線対策が有効です。白内障という病気の予防にもなります。紫外線が強くなる初夏から夏にかけては、サングラスをかけることをおすすめします。それ以外の季節でも、UVカットのクリアグラスを活用してもよいでしょう。そして、紫外線の影響を低減するために、抗酸化物質の摂取を。ルテイン、ビタミンACEを積極的にとることをおすすめします。それから、目をこすると白目に色素沈着を起こすので、こすらないようにすることも大事です」
目の老け見えが加速するアイメイクがある!?
一方で、せっかくのメイクで目のエイジングや老け見えが加速してしまうこともあります。いつまでも目を美しく保つために気をつけたいポイントを、平松先生は次のようにアドバイスします。
■アイメイクは綿棒を使ってすみずみまでしっかり落とす
「まつげの生え際にアイメイクが残ってしまっている人を見かけます。綿棒を使って、きちんと落としましょう。まつげの生え際にメイクが残っていると、炎症が起こり、1mm程度まつげが短くなるといわれています。まつげの生え方や形がいびつになってしまい、目もとの老け見えの原因になってしまいます。また、まつげダニも発生しやすくなるので、気をつけてください」
■アイラインはまつげの外側に
「アイラインをまつげの生え際の内側に引くと、油を分泌するマイボーム腺がふさがれてしまい、涙の質が悪くなり、目がくすんでしまうもとに。アイラインはまつげの生え際よりちょっと外側に引くようにしましょう」
■まつげを長く見せたいなら、エクステよりマスカラを
「まつげにエクステをすると、まつげは長くなりますが、その分重くなることで、抜けやすくなり、地のまつげが短くなってきます。そこで、エクステをやめると、もともとのまつげより貧相になってしまい、またエクステをしたくなる。その悪循環から抜けられなくなることもあるので、要注意です。まつげを長く見せたいなら、マスカラのほうがおすすめです」
■カラーコンタクト(カラコン)は医療用のものを
「カラコンは医療機関で購入を。ファッション雑貨として売られている安価なカラコンは、酸素透過率が低く、目が充血しやすくなります。目を魅力的に見せたいために使うものなのに、充血によりかえって黒目が小さく見えてしまうリスクもあります。まつげのエクステと同様に、小さく見える黒目をなんとかしようと、またカラコンを使ってしまい、さらに充血する……という悪循環になることも。バリエーションは少ないものの、医療用のカラコンを選ぶと安心です」
ふだん何気なくしているメイクにも老け見えの落とし穴があるなんて!
これから気をつけたいですね。
取材・文/海老根祐子