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今年はこれで風邪知らず⁉ 漢方養生指導士に聞いた「秋冬の風邪対策」におすすめのお茶とは?
気温が下がり寒さが本格化する11月下旬。まだまだ薄手のコートでも大丈夫…と油断していると、うっかり風邪を引いてしまうことも。そんな寒さで体調を崩しやすい秋冬は、風邪対策として「お茶」が効果的なのだとか。今回は、漢方養生指導士のロン毛メガネさんに、風邪対策におすすめのお茶を教えてもらいました。秋冬の健康管理も、これを読めばバッチリです!
Contents 目次
秋冬はなぜ風邪を引きやすくなるの? 風邪を引く仕組みとは
そもそも寒くなると、なぜ風邪を引きやすくなるのでしょうか。季節と体調の関係についてロン毛メガネさんに解説いただきました。
「風邪を引きやすいときは免疫力が低下していることが多いですが、そもそも“免疫力”とは、東洋医学でいう、体の中にある “氣”を指します。氣は日々の活動によって少しずつ消耗していきますが、食べ物や飲み物、睡眠をとることで自然と補っています。しかし、生活リズムが崩れていたり、連日の疲れなどで消耗した氣を補うスピードが間に合わないと、そのバランスが崩れた体に病気の原因となる“邪気”が入り込んでしまいます。特に晩秋~初冬は “乾燥”という邪気の力が強い季節。まだ夏の疲れが残っている時期に乾燥することで、弱った体が邪気に対抗できず風邪を引いてしまうのです(以下、ロン毛メガネさん)」
寒い季節は要注意! 秋冬に風邪を引きやすい「風寒タイプ」とは?
風邪の引きやすさや体調を崩す原因は、季節によって傾向が分かれるそう。秋冬に引きやすい風邪のタイプについて教えてもらいました。
「秋冬に引きやすい風邪のタイプは、東洋医学では“風寒タイプ”が多いです。風寒タイプの風邪は、以下のような特徴があります」
そんな“風寒タイプ”の風邪を引きやすい人にロン毛メガネさんがおすすめしているのが、「お茶」による対処方法。日本でお茶といえば、緑茶や抹茶、ほうじ茶などが身近ですが、香港では漢方の材料となるなつめやクコの実をはじめ、いろいろな素材をお茶にして飲む習慣があるのだそう。
「なつめやクコの実などは薬として飲むだけでなく、お茶で飲んでも有効です。特に近年は薬を飲むこと自体に抵抗がある人も増えているので、味の好みはあってもお茶として飲むほうが日常的にとり入れやすく、継続もしやすいと考えます。また、東洋医学には“薬食同源”という言葉がありますが、この言葉は『薬』と『食』の源は同じで、すべての食物には薬と同じような効能があり、間違った食事をすると病を引き起こし、逆に体質に合った食材は健康を保ってくれるというものです。食事も大切ですが、乾燥にはうるおいが欠かせないため、食材を“お茶”としてとり込むほうがいいのではないかと思い、お茶による風邪対策をおすすめしています」
「風寒タイプ」には温かい紫蘇茶が効果的! 体を温めて氣を巡らせる万能茶
それでは、冷えによる風寒タイプの風邪にはどのようなお茶がおすすめなのでしょうか。
「風寒タイプの風邪を引いてしまった人に飲んでみてほしいのは、紫蘇(しそ)茶です。東洋医学では、辛味のある紫蘇茶には発汗作用や氣を巡らせる作用があり、寒気を追い払って体を温めるのに効果的だといわれています。ただし、本格的に風邪の症状が進行してしまっている場合だと効果は感じにくいので、風邪初期の段階に飲むのがベストです。また、ルイボスティや緑茶といった体を冷やす作用がある種類はおすすめしません」
お茶は種類のほか、じつは、飲むときの温度も大切なポイントだとロン毛メガネさんはアドバイスします。
「熱すぎない60~70度が理想的、最低限でも常温か40度前後。紫蘇茶に限らず、体温よりも冷たい物は飲むことはおすすめしません。冷たい飲み物は発汗作用を低下させ、胃腸に負担もかかります。そのため、症状が悪化する恐れもあるのです。また、もともと体温に近いものであれば消化吸収がしやすくエネルギー消費も少ないので、体への負担もかかりにくいですが、冷たいものを飲むと、入ってきたものを体が体温と同じになるまで温めようとしてエネルギーを多く消費することになり、負荷も大きくなります。逆に、極端に熱すぎる場合もよくないため、適温まで冷ましてから飲むようにするといいでしょう」
ほんの少し加えるだけで効果UP! 「紫蘇茶」にはショウガやハッカを合わせると◎
寒さで冷えやすいこの季節におすすめの、紫蘇茶。単体で飲むだけでなく、食材をプラスしてアレンジを加えると、より効果が高まるそうです。
「もちろん紫蘇茶だけでも効果はありますが、ハッカやショウガを加えるとさらに効果的。ハッカは発散作用があるので、同じく発散効果のある紫蘇とは相性がよく、氣を巡らせる力が増しますし、発汗作用があるショウガは、冷えて風邪を引いた人におすすめです。加える割合はお好みで。きっちり量るような飲み方は続かなくなってしまい、結果的に効果を実感しにくいため、おいしく飲める割合で調整すればOK。継続できることのほうが大切です」
お茶なので薬のように飲んですぐ効果が出るということはないそうですが、作用がゆるやかなので、安心して続けられるのもお茶のいいところのようですね。しかし、毎日頻繁にとり過ぎると体質が偏ってしまうことがあるようなので、ほどほどにしたほうがよさそうです。
実は食事中に飲むのはNG! 正しいお茶の飲み方は「食後30分空けて」
せっかく飲むならより効果的なタイミングで飲みたいですが、そもそもお茶を飲むのに適したタイミングはあるのでしょうか。
「紫蘇茶に限らず、香港では食事と一緒にお茶を飲むことはとても少ないです。食事中にスープを飲むことや、飲茶などの油っこい物を食べるときにウーロン茶やプーアル茶といった脂の分解を補佐してくれるお茶を飲むことはあっても、家庭では食後に飲むのが一般的です。食事の際にお茶を飲むと胃酸が薄まり消化吸収を妨げてしまうため、食後30分程度時間を空けてから飲むのがおすすめです。また寝る前に飲むお茶はリラックス効果もあり、睡眠の質を高めてくれます。しかし、カフェインに敏感な人は、寝る前にカフェインを含むお茶を飲まないよう注意してください」
紫蘇茶は寒気を感じたときにすぐに飲むほうが効果的だそう。漢方と同じで、風邪の引きはじめに飲むのがGood!
薬に頼らない養生をするなら、秋冬はお茶を飲むのが効果的ということがわかりました。続くPart2は「乾燥タイプ」の人、必見の内容です。のどをうるおすお茶の種類や飲みかたについてロン毛メガネさんに解説していただきます。お楽しみに!
取材・文/番匠郁 構成/FYTTE編集部