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3つの感染症が同時流行! 専門家が解説。注目の「免疫食」で感染症対策! レシピつき

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免疫食をイメージする画像

気温が一気に下がり、インフルエンザなどの感染症シーズンが到来。しかし、コロナウイルスの感染拡大が話題となった昨今と比較すると、今年はマイコプラズマ肺炎が急拡大しているとか。その原因には日本人の免疫力の低下が考えられています。そこで、今回は、食品が持つ健康機能や免疫機能などを長年研究してきた九州大学大学院の広瀬直人(ひろせ なおと)教授解説のもと「免疫食」についてお届けしていきます! 後半では免疫強化におすすめの「免疫食」レシピもご紹介。

Contents 目次

インフルエンザ、コロナウイルスに加えてマイコプラズマ肺炎が猛威!

のどの調子がイマイチな女性

インフルエンザ、コロナウイルスの感染症が流行する冬。今なぜ「マイコプラズマ肺炎」が急拡大しているのか、その原因は…。
感染症の拡大にはさまざまな原因が考えられますが、根本的な原因は、“日本人の免疫力低下”があげられるのだそう。
※ 参考:東京都感染症情報センター
https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/mycoplasma/mycoplasma/

また、MyVoice社の調査によると5年前と比べて免疫力が向上したと感じる人は約9%、低下したと感じる人は約34%という結果が出ています。その結果「疲れやすくなった」だけでなく、「風邪などウイルス感染しやすくなった」と自覚している人も多いそうです。
その理由には、コロナ禍でのマスクや手洗い、行動自粛など徹底的な感染症予防をしてきた結果、免疫の対象となる病原体にさらされない生活をしてきたことが原因のひとつ。そこに、冬という季節的な免疫力の低下が重なり、さらに、訪日外国人の増加やポストコロナで日ごろの感染症対策ケアが行われにくくなった結果として、感染症が拡大しやすい土壌ができている可能性があるとのこと。
まず、感染症予防の前提として、以下のことを対策する必要があります。
免疫力が下がっているかも、調子が悪いな、と感じたら対策として大切なのはウイルスを体内に入れない予防(マスク着用、うがい、手洗い)を強化することと、入ってきたウイルスに負けない対策をすることです。
ほかにも、睡眠や食事、運動などさまざまな角度からできることはありますが、今回は、毎日の食事から免疫を高める「免疫食」について。
食品免疫のエキスパートである九州大学大学院の広瀬直人教授の解説のもとご紹介していきます。

ウイルスに負けない体を作る「免疫食」とは?

スープを飲んでいる女性

今回ご紹介する「免疫食」は、免疫機能を整えることが科学的に証明されている成分を豊富に含んだ食材をとり入れる食事法で、食品免疫学のエキスパート、九州大学大学院の広瀬直人教授が推奨しています。
ウイルスや細菌から体を「守る力」=免疫力を高めるサポートをしてくれる状態を目指す食事です。

では具体的に、どのような食事を心がければいいのでしょうか。
広瀬教授の解説では、「免疫食」におすすめの食材は以下の3つ。
これらの食材には、免疫力の向上が科学的に認められている成分を豊富に含んでいるのだそう。毎日の食事に積極的にとり入れていきましょう!

「免疫食」におすすめ「海藻類」

地中海の海藻類

海藻類には食物繊維が多く含まれており、免疫力アップの効果があるとされています。海藻の中でもとくに、わかめやもずくなどには、ネバネバ成分である水溶性食物繊維「フコイダン」が含まれています。「フコイダン」は摂取することで免疫をつかさどる細胞が活性化され、免疫機能が向上することが九州大学で実施された研究で確認されています。 中でもオキナワモズクはフコイダンを豊富に含んでおり、その含有量はわかめや昆布の5〜10倍です。

沖縄もずく

細胞が活性化して免疫機能が向上する、水溶性食物繊維「フコイダン」について知識を深めよう!
海藻由来成分「フコイダン」とは、もずく、めかぶ、昆布などの褐藻類(茶褐色の海藻)に含まれる特有のヌメリ成分で、水溶性食物繊維のひとつ。腸内環境を整えて、免疫をサポートしてくれます。ほかにも、中性脂肪抑制やコレステロール低減などのメタボ・肥満対策などの健康効果や、老化防止、美肌など美容・アンチエイジングの面でもうれしい効果が期待できます。
人が本来持っている自然治癒力を高めてくれるので、化粧品や健康食品などさまざまな分野で活用されています。
「フコイダン」の含有量がとくに多いのが、オキナワモズクです。
日本で食べられているもずくのほとんどがオキナワモズクで、「沖縄もずく」「太もずく」とも呼ばれています。太さがあってやわらかく⻭切れがよいことが特徴。水溶性食物繊維を多く含み、糖質含量が低く、低エネルギーの海藻です。便通を改善する作用や免疫力をアップさせる作用があり、含まれる成分のうちの約1/4がフコイダンであると言われているスーパーフードです。
次に多いのが、めかぶ、ガゴメコンブ。そして、わかめとマコンブは同等です。
「フコイダン」の免疫機能向上作用
「フコイダン」を含んだ海藻類を食べると、「フコイダン」は消化酵素でほとんど分解されず、多くはそのまま小腸まで届きます。

食事などと一緒に口から入った病原菌も小腸に侵入するため、小腸には免疫細胞が集中しています。「フコイダン」はこの免疫細胞の司令塔である樹状細胞を活性化し、攻撃部隊であるNK細胞(ナチュラルキラー細胞)やキラーT細胞の働きを高めます。また、ヘルパーT細胞の機能を調整し、免疫応答を適切にコントロールしてくれます。
※ 「フコイダン」の免疫作用の特徴は、九州大学の研究実験により確認されています。

「免疫食」におすすめ「乳酸菌」配合食材

発酵食品

乳酸菌を豊富に含む発酵食品(みそ、漬けもの、ヨーグルト、発酵乳飲料など)は、腸内環境を整えるほか、免疫機能を調節する効果があるとされています。プロバイオティクスである乳酸菌は、そのエサとなるプレバイオティクスであるフコイダンなどの食物繊維と併せてとるとシンバイオティクスにより、整腸作用や免疫機能の調節すなわち感染症予防対策に、より大きな効果が期待できます。
※参考:一般社団法人 全国発酵乳乳酸菌飲料協会発酵乳乳酸菌飲料公正取引協議会「乳酸桿菌による腸内 フローラのバランス改善作用」、「乳酸球菌による風邪・インフルエンザの予防」 より

「免疫食」におすすめ「きのこ類」

きのこ

古くから漢方薬としても利用されているきのこ類には、免疫増強効果を持つβ−グルカンが豊富に含まれています。きのこの免疫増強成分であるβ−グルカンは、ふだんの食生活でもなじみのあるしいたけやまいたけなどにも含まれており、とても有用な「免疫食」のひとつです。学術研究では、フコイダンとの相乗効果も見出されています。

海藻類に含まれる「フコイダン」と乳酸菌配合食材ときのこ類を組み合わせた食事が相乗効果を発揮し、免疫力がより高まりそうですね!
広瀬先生の解説では、食べ方にもポイントがあるようです。

「こまめに決まった量を摂取することで、免疫力の低下を防ぐ効果が見込めます。とくに季節の変わり目や冬は、免疫力が低下しやすいタイミングであり、インフルエンザやそのほか感染症の流行もありますので、免疫食を実践することでウイルスに負けない対策をしましょう」(広瀬教授)

続いては、海藻類、乳酸菌配合食材類(今回はヨーグルト)、きのこ類を使った「免疫食」におすすめのメニューをFYTTEのレシピの中よりご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

免疫強化におすすめ! 「免疫食」レシピ

めかぶととろろのぶっかけごはん

【めかぶととろろのぶっかけごはん】 
<材料 2人分>
山いも 150g
みょうが 2個
[A]
・だし汁 80ml
・しょうゆ 大さじ1
ごはん 2杯分
めかぶ 2パック
<作り方>
(1)山いもはすりおろし、みょうがはせん切りにする。
(2)ボウルに(1)、[A]を加えよく混ぜ合わせる。
(3)器にごはんを盛りつけ、その上に(2)を半量ずつかけてめかぶを盛り合わせる。

トマトもずく

【トマトもずく】 
<材料 2人分>
トマト 2個
もずく酢(味つき) 小2カップ(140g)
みょうが 1個
<作り方>
(1)トマトはひと口大の乱切りにして器に盛り、もずく酢をかけ、せん切りにしたみょうがをのせる。

ヨーグルトミネストローネ

【ヨーグルトミネストローネ】
<材料 2人分>
セロリ 1/2本
エリンギ 2本
オリーブ油 小さじ2
ミックスベジタブル 100g
トマトジュース 15ml
コンソメスープの素 小さじ1
塩・こしょう 少々
水切りヨーグルト 100g
<作り方>
(1)セロリはすじを取り1cmの角切りに、エリンギはひと口大に切る。
(2)鍋にオリーブ油を中火で熱し、(1)を炒め、油がなじんだらミックスベジタブルを加える。
(3)水100mlとトマトジュースとコンソメスープの素を加え、煮立ったら、4~5分コトコト煮る。
(4)塩・こしょうで味を調えて器に盛りつけ、上に水切りヨーグルトを添える。

きのこのマリネ

【きのこのマリネ】
<材料 2人分>
しめじ 小1パック(80g)
まいたけ 小1パック(80g)
にんにく(薄切り) 1/2かけ分(30g)
オリーブ油 大さじ1/2
白ワイン・水 各大さじ1
レモン汁・粒マスタード・しょうゆ 各小さじ2
砂糖 小さじ1/2
レモン(スライス) 2枚
<作り方>
(1)しめじとまいたけは小房にほぐす。フライパンにオリーブ油、にんにくを入れて中火にかけ、しめじとまいたけをしんなりするまで炒める。
(2)白ワインと水を入れて煮立ったら火を止め、レモン汁、粒マスタード、しょうゆ、砂糖を加える。最後にいちょう切りにしたレモンを加え混ぜる。

まだまだ寒い日が続きますし、春に向けて花粉症などのアレルギー症状に関しても免疫力が関係しています。少しでも軽い症状で済ませたいなど健康状態を高めたい人は、今日から「免疫食」をとり入れて健康管理に役立てていきましょう!
「免疫食」はいいことがたくさんなので、習慣化できるといいですね。

 

広瀬教授

■記事監修■
九州大学大学院 農学研究院 食品免疫機能分析学寄附講座 教授
広瀬 直人 (ひろせ なおと)
大阪府立大学農学部卒。1990年にカゴメ株式会社入社、食品加工技術の研究開発に従事。大阪府立大学大学院農学研究科において酵母の分子育種研究に携わり、1999年3月に博士号取得。同年4月に沖縄県農業試験場着任、農産物の発酵・加工利用および鮮度保持に関する研究に従事。2018年に沖縄県工業技術センター着任、食品加工技術の研究および指導に従事。2022年に鹿児島県立短期大学生活科学科食物栄養専攻教授就任。2024年4月より、ヴェントゥーノ社が九州大学に持つ寄附講座にて、共同で幅広い食品の免疫機能に関する研究を実施している。

文/FYTTE編集部

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