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CATEGORY : ヘルスケア |女性ホルモン

「ピル=避妊薬」だけじゃない! 知っておきたいピルの正しい知識とメリット・デメリットを医師が解説

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OC・LEPの画面

一般社団法人日本フェムテック協会(以下、日本フェムテック協会)が、フェムテックやフェムテラシーをテーマにした「ランチタイムウェビナー」を毎週火曜12:00~12:30に定例開催中。今回は、そのアーカイブの中から、「正しい知識はヘルスリテラシー向上の第一歩~医師2人から学ぶピルのお話~」をピックアップ。日本フェムテック協会の代表理事関口由紀さんを進行役に、女性医療クリニックLUNA横浜元町、副院長産婦人科医師の小野寺真奈美先生に、ピルの基本知識や服用方法、メリットやデメリットについて解説していただきました!

監修 : FYTTE 編集部

ダイエット専門誌として1989年に雑誌創刊し、2016年よりWEBメディアに。ダイエットはもちろんのこと、ヘルスケア、ビューティなど体の内側からも外側からも美しくかつ健康でいるための体づくりのノウハウを、専門家への取材とともに紹介。“もっと、ずっと、ヘルシーな私”のキャッチフレーズとともに、編集部員も自らさまざまなヘルシーネタを日々お試し中!

Contents 目次

ピルについてー基礎知識ー

登壇者の画像

関口: 今回は、当院の女性医療クリニックLUNA横浜元町の副院長で、産婦人科医師の小野寺 真奈美先生をお招きしております。小野寺先生は、産婦人科医師として世の中に普及し始めたピルのオンライン診療を行っているんですよね。

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小野寺:はい! 私はピルの診療も日常的に行っております。思春期から更年期までのエストロゲンの濃度はこれぐらい上がるのですが、ここでピルを使います。
ピルは世界的に広がってきているとは言えども、日本のピル使用率は2021年の段階で2.9%とかなり低いのが現状です。ですので、今後もピルの普及が広がっていくといいなと思っているところです。

OCLEPについて

OC・LEPについて

ピルはOC・LEPと表され、薬の説明としては、EというエストロゲンとPというプロゲステロンの合剤によります。OCは主に避妊目的で使う自費診療の薬のこと、LEPは月経困難症などの治療を目的とする保険診療の薬です。
OCもLEPも基本的には同じものですが、日本では便宜上、自費診療(OC)と保険診療(LEP)に分かれています。
こちらは、OC・LEPピルによるホルモンの変化についての図です。

OC・LEPによる変化の図

正常の図は上のものですが、月経によって女性ホルモンが乱攻撃していることでエストロゲンが増減し、生理痛がひどくなったりという症状が表れますが、ピルを服用することで、エストロゲンとプロゲステロンのホルモンバランスが安定し、月経痛やPMSの症状が緩和されるほか、避妊効果も得ることもできます。

OC・LEPの種類

また、ピルの種類については、ホルモンの含有量によって「超低用量ピル」低用量ピル」中用量ピル」に分かれ、一般的にピルと呼ばれるものは「超低用量」と「低用量」です。

超低用量は保険適用のものがあり、自費のものはありません。低用量は保険適用のものと自費(避妊目的)のものがあり、一方で中用量は保険適用と自費のものがあり、かつては主流でしたが、副作用が強いため現在は一時的な月経移動やホルモン調整に使用することが多いです。

そしてポイントなのは、ピルの効果や使用目的によって、保険が適用されるものと適用されないものがあるということ。保険を適用するためには、病名(診断名)が必要になるため、月経困難症や生理の出血が多い、子宮内膜症などは保険適用の薬を使います。一方で、生理前の症状(PMS、PMDD)、生理不順、生理前の肌荒れ、避妊などは保険適用のための病名がないため、保険適用外となります。

実際のピルの服用方法については「1日1回1錠を毎日同じ時間に飲む」ことが基本です。ただし、種類によって飲み方が異なります。

21日間服用+7日間休薬するタイプや、28日間連続服用するタイプなどの服用方法がありますが、実際にピルを処方してもらうためには、病院に行くか、オンライン処方を受けるという方法があります。

病院とオンライン診療の違いは?

病院とオンライン診療の違い

心臓の状態や体重、持病の有無などを確認する一般的な問診は病院でもオンライン診療でも同じで、さらに体質や副作用が出やすい合併症、喫煙、肥満、乳がんの既往歴などピルの問診も同様に行います。

診療に関しては、病院では、内診やエコーで子宮や卵巣の状態を確認できますが、オンライン診療ではこれらの診察ができません。これは大きな違いのひとつです。

では、オンライン診療ではどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
まず、いちばんのメリットは場所や時間を選ばずに診療可能という手軽さです。さらに薬を郵送で受けとれたり、保険診療対応のクリニックなら、近くの薬局で受けとれるのもポイントです。

デメリットとしては、どうしても直接診療ができないので、例えば生理痛の原因などを詳しく調べられなかったり、薬の郵送費がかかるため、費用が割高になることがあります。また、副作用やリスクがある人はピルを処方できないケースもあり、必ずしも希望する人が薬を処方してもらえるわけではないという場合もあります。

オンライン処方をおすすめする人としては、すでにピルを服用している人、Webや電話での診察に抵抗がない人、さらに婦人科疾患や肥満、喫煙、40歳以上、片頭痛、乳がんなどの疾患がない人にもおすすめです。
ピルの服用に際してリスクがある人は、事前に医師と相談したうえでオンライン診療を利用するか判断することをおすすめします。

ピルの長期服用で更年期に支障が出る?

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関口:ありがとうございました。ここで、ピルに関する質問がきています。
「ピルは自発的なホルモンは出なくなりますか? 長期間服用することで、更年期に何か支障が出ますか?」とありますが、出なくなるということはないですよね?

小野寺:そうですね、基本的になくはならないですね。長年服用することで更年期に何か障害が出るというのも、じつはそうでもなく、今までずっとコントロールしているので、次は更年期の治療に切り替えることができます。ピルを40歳前からずっと飲まれている人は、大体50歳ぐらいにかけて、1度ピルをやめて、ホルモンの値を見て、更年期の治療をしていく形になります。ですので、ピルをやめたからといって更年期の症状が強くなることはないので、そこは心配しなくていいかと思います。

関口:なるほど、わかりました。では次の質問です。
「ピルは人口ホルモンなので体への負担、とくに肝臓への負担が多いと聞きます。自然な方法でホルモンバランスを整える方法はありますか?」こちらはどうでしょう?

小野寺:基本的にはピルだけでなく、毎日飲むことで一般的な薬全体的にも肝臓や腎臓に負担がくると考えています。ただ、やはり肝機能異常の人も稀にいるため、1年に1回血液検査をおすすめしています。

関口:薬に頼らない自然な方法でホルモンバランスを整える方法というと、基本的な規則正しい生活をするしかないですよね。

小野寺:そうですね、あとは冷え対策など、基本的なことですね。

関口:私はなるべくお酒を飲まないようにしていますが、やはりストレスがかかったときに飲酒したりします。1日2杯の酎ハイと、1日1錠のピルでは、どちらが肝臓に負担がかかるのか?と議論になれば、お酒のほうが悪かったりとかするわけです。個人の選択のひとつとして、ピルは女性が自由に生きていくための重要な選択肢かなと私は思いますね。

小野寺:そうですね、ピルのイメージがまだまだ悪いものだったりするかもしれませんが、それこそ自分の体の治療や生活のコントロールができるものなので、選択肢のひとつとして覚えておくことで、今後ますます女性が活躍する世界になるかなと思っております!

※本記事の内容は、2023年5月に配信された内容です。最新情報は公式サイトよりご確認お願いします。

【登壇者】※2023年5月時点

小野寺 真奈美 女性医療クリニックLUNA横浜元町 副院長 産婦人科医師

関口由紀 日本フェムテック協会 代表理事 女性医療クリニック・LUNAグループ 理事長 女性泌尿器科医師

【クレジット/協力】

一般社団法人 日本フェムテック協会 スペシャルコンテンツ
https://j-femtech.com/special_contents/

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>>>https://j-femtech.com/femcare-l/certificate/l3/FYTTE

文/FYTTE編集部

 

 

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