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CATEGORY : ヘルスケア |女性ホルモン

“更年期”のイメージが変わる! 更年期の悩みを、産婦人科と泌尿器科の医師がお答えします!

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更年期のイメージ画像

一般社団法人日本フェムテック協会(以下、日本フェムテック協会)が、フェムテックやフェムテラシーをテーマにした「ランチタイムウェビナー」を毎週火曜12:00~12:30に定例開催中。今回は、そのアーカイブの中から、「医師から学ぶ更年期。気になる質問や素朴な疑問にお答えいたします!」をピックアップ。日本フェムテック協会の代表理事 女性泌尿器科医師の関口由紀さんを進行役に、Naoko女性クリニック院長 女性ヘルスケア/産婦人科専門医の髙宮城直子さんに「更年期について」を解説していただきます。

監修 : FYTTE 編集部

ダイエット専門誌として1989年に雑誌創刊し、2016年よりWEBメディアに。ダイエットはもちろんのこと、ヘルスケア、ビューティなど体の内側からも外側からも美しくかつ健康でいるための体づくりのノウハウを、専門家への取材とともに紹介。“もっと、ずっと、ヘルシーな私”のキャッチフレーズとともに、編集部員も自らさまざまなヘルシーネタを日々お試し中!

Contents 目次

医師から学ぶ、更年期の基礎知識

医師から学ぶ更年期の画像

関口先生:みなさん、こんにちは。本日は沖縄のNaoko女性クリニック院長の髙宮城直子先生をお招きしてお伝えいたします。よろしくお願いします。

髙宮城先生:よろしくお願いいたします。まずスライドで簡単に更年期の基礎知識について解説していきます。

~女性のWell-beingを目指して~
Well-beingというのは、社会的にも身体的にも精神的にも元気ということです。

私は、Naoko女性クリニック(婦人科・漢方内科)をやっています。婦人科って行きにくいな、といった思いに対してのハードルを下げたくて、受付や壁を私の好きな赤色にして病院らしくない雰囲気にしました。業者の人には「ここ何のお店ですか?」と言われたこともあります。併設して、美と健康のサロン「レディース鍼灸」も行っています。女性の居場所作りとして統合医療を目指しています。サロンには足湯やサウナもあります。

女性ホルモン変化の画像

これまでに約2万名を診察して、更年期症の人は4,000名ほどいました。女性ホルモンの変化をグラフに書くと、生理が始まり、ホルモンが毎月変化して、妊娠・出産のくり返し。更年期は女性ホルモンが乱高下して、閉経後はほとんどゼロになります。女性は毎月変わるので変化が激しいですね。一方、男性はゆるやかに変化していきます。

髙宮城先生ホルモン変化の画像

私の人生を女性ホルモンのグラフで見るとこんな感じです。
14歳で生理が始まり不順でしたが、ひとり目、2人目、3人目と産んで、産後は不調でした。その後、アメリカで3人の子どもを抱えて仕事をしていました。日本に帰国してからは元気でしたが、42歳ぐらいからすごい疲れが出始めて46、7歳ぐらいに自律神経が乱れ、せきや尿もれ、下痢症などの不調が表れました。体も全身痛くて、これでは働けないと思い病院に回っていました。
それで、一生勤めようと思った病院を46歳で退職してしまいました。

ある日、女性ホルモンを入れると関節痛がよくなるという情報を知り、低用量ピルを飲みはじめました。すると、すごく調子がよくなり、半年後に開業しました。50歳からはホルモン補充療法に切り替えています。60代になった今、振り返えると女性ホルモンに振り回させていたことがわかりました。

更年期の症状の画像

更年期はさまざまな症状が出ます。
200~400種類とも言われていて、のぼせ・ほてり・発汗などのホットフラッシュは有名ですけど、動悸・息切れ、意外と関節痛・筋肉痛があります。患者さんに整形外科をすすめることもありましたが、今は漢方やホルモン療法で対応できます。頭がぼーっとする、集中力が低下するという人も多いですね。

これらの症状はホルモン値で決まるかというと、そうではなくてホルモンの乱高下(変化)、家庭や社会の環境ストレス、個人的な性質の3つが要因と言われています。

女性のヘルスケアの画像

女性のヘルスケアは体的、心的、社会的なことが関わってくるので、さまざまな症状が起こってきます。PMSやプレ更年期も同じですが、これに対応して薬物療法(ホルモン療法や漢方、エクオール、男性ホルモンを入れるなど、自分に合うものをとり入れるという考え)、心理療法(受容と共感)、働き方・考え方のクセなどの見直しが大事です。

必ずしもホルモン治療だけがいいというわけではなく、個人に合った治療に加えて、鍼灸や運動など、統合医療的に行う必要があります。目標は生活の質を上げる(QOL/クオリティオブライフ)。そして、健康寿命を延長させることです。

女性は、寝たきり平均12年と言われていますから、そうならないように、骨粗鬆症や高脂血症などの対策が閉経後に重要になってきます。

更年期の症状って、経験してみないとわからないですよね。つわりや思春期と一緒で、個人差が大きいです。すごいキツい人と、症状がほとんどなかったという人もいます。ストレスフルとかムリしていたなど、ほかの要因による影響は大きいと思います。

気になる質問や素朴な疑問にお答えいたします!

髙宮城先生と関口先生の画像

関口先生:ありがとうございました。ここからは質問にお答えしていきす。

ホットフラッシュと汗の判別方法はありますか?

髙宮城先生:ホットフラッシュの場合、上半身だけ血がさかのぼってくるような感じがして、その後、大量の汗がドバーッと噴き出すような感じがありますね。また、汗をかきます。とにかく暑い!という症状がある場合、じつは甲状腺機能亢進症バセドウ病だった人もいます。汗といってもいろいろな病気が隠れている可能性がるので、医師に相談したほうがいいですね。

関口先生:一度は、TSH値(甲状腺刺激ホルモン)や甲状腺の病気も疑いましょう、ということですね。

髙宮城先生:そうですね。あとは、ホルモン剤や漢方薬で治る場合は、汗かきではなくてホルモンによるものだったんだ、とわかりますよね。人によりますけど、45歳過ぎの汗の症状は気にしてみるといいですね。

更年期症状があり、血液検査でわかるとすすめられて外来受診しました。結果は更年期と判断できる数値が出ず、違うという診断。本当に更年期ではないのでしょうか?

髙宮城先生:更年期症状は血液検査ではわかりません。ホルモン値もそのときによって変動があるので、数字で決めてはいけません。本人が日常生活で困るほどキツければ更年期障害に当てはまると考えていいです。

関口先生:FSH(卵胞刺激ホルモン/卵巣の予備能力を推測する検査)が11であったら、低くはないので試しにホルモン補充してみてもいいということですかね。

髙宮城先生:そうですね。私は11でしたが、低用量ピルを飲んだら元気になりました。ときどき採血するとエストラジオール(女性ホルモン/卵胞の成熟度や卵巣機能を評価するための検査)は、生理中30で排卵日は200ですけど、1,000とか出る人もいます。ホルモン値が高すぎたり、乱高下することで、気持ちが悪くなる人もいます。ですから、外からホルモンを入れることによってフラットな状態になり、体調が落ち着くのかなと思っています。

プレ更年期と言われました。何かできることはありますか?

関口先生:プレ更年期の人は卵巣機能が衰えている人もいますが、体力のほうが衰えていて、卵巣機能が過剰すぎ(女性ホルモンの過剰)で調子が悪い人もいるんだろうな、と思っているのですが、どうですか?

髙宮城先生:そうですね。生理の量が多すぎる人、過多月経の人たちは貧血で体調が悪い人が多いので治ると改善すると思います。フェリチンが低い人(隠れ貧血)、経血に親指の頭より大きな血の塊が多く出る人は要注意です。

ホルモン治療は怖い、体に悪いというイメージがあるけど実際はどうですか?

髙宮城先生:自分が持っていたホルモンを戻すだけなので怖くはないです。
例えば、ピルは天然ではない合成ホルモンなので、体質によってはまれに血栓症が起こります。ホルモン補充は、天然のホルモンでジェルやシールなどを肌に使用する経皮投与があります。皮ふから投与すると安全に行えますし、元々自分が持っていたホルモンを戻すことなので、まったく怖くはないです。

みなさん、乳がんになるから怖い、って言いますけど、乳がんは8~9人にひとり、一生に一度はかかる病気。ホルモン補充をやったから乳がんになるということはありません。もし乳がんになった場合は、がんを育ててしまうのでホルモン補充はやめましょう。

今、天然の黄体ホルモン(プロゲステロン)のカプセル剤も発売されています。乳がんの発症率がほとんどなく、子宮を守ることもできます。長期服用(3か月処方)が出せるので、連続投与するのがおすすめです。このカプセルはよく眠れますよ。

また、子宮がない人(手術で切除された人など)がとり入れる場合は、ジェルやシールなどの経皮投与を行うのがいいですね。

男性ホルモンを入れたらよい、ということもあるのでしょうか?

関口先生:女性ホルモン治療を行い、それでも生きる意欲が上がってこない、または性欲が上がらない、この2つの重要な兆候があると男性ホルモン補充が適用されます。

女性ホルモンで元気が湧いて、セックスに対しての意欲が改善されるなら、女性ホルモン補充だけでいいと思います。問題は65歳をすぎると全身のホルモン治療を行う際の選択期が来るのでそのときにどう考えるかですね。

私の場合は、全身は男性ホルモンを使い、GSM(閉経関連尿路性器症候群)対策のために局所に女性ホルモンを投与しています。女性ホルモンの血中濃度を上げずに、男性ホルモンやTHA(経皮ホルモン投与)という弱いホルモンを使ったりしています。

45~65歳くらいまでの間、第一選択は女性ホルモン。次に考える時期がきたときに、第二選択として、男性ホルモンというのが標準だと思います。

髙宮城先生:男性ホルモンも女性ホルモンも最近は、学会やマニュアルでも一生行ってもいいとはなってはいるので、量を調整しながら60代向けにジェルなど経皮投与ができるものを活用するとか、閉経後の骨粗鬆症用の薬に変えていくとか、なんらかをつづけていくことはいいとは思います。70代で続けている患者さんもいますし、私自身も少しずつやっていこうかな、と思っています。

更年期症状が理解されないのでは、と思い話せずにいます。どのように話せば伝わりますか?

関口先生:これは、家族や夫などの身近な人たちに対しての理解ですよね。

髙宮城先生:今、少しずつマスコミなどで話題にされはじめているので、社会的認知度が上がることで、話しやすくなってくるはずです。私たちも発信して、更年期について語りましょう! という雰囲気にしていきたいと思います。

関口先生:先生は直近のパートナーに対しては、どう伝えていましたか?

髙宮城先生:私は「更年期だから仕事を辞めるくらいキツかったんだよ」と後からわかりましたが、そのときは「なんで元気ないんだろう?」という感じだったと思います。

なかなか理解を得るのは難しいと思うので、自分と対話して、どこかにヘルプを求めること。病院や更年期関連のカウンセリングなど、いろいろな選択肢を調べて、理解されるところを探してください。

関口先生:私のクリニックでは、尿もれの悩みが多くて、自分のことで人に言えない場合は、自分のことを人ごとで話してみる、のも方法ですよね。

セックスの話は、夫にいっても仕方ないと諦めている女性が多いのですが、試しに1~2回は言ってみてもいいと思うんですよね。最初から諦めずに、長い間コミュニケーションをとっていない場合、夫も変わっているかもしれないので、「ちょっと私、更年期かもしれない…」という会話を試みて、ダメならほかの方法を探せばいいと思います。

更年期は、“いい人生に変わるチェンジの時期”だと考えてがんばりましょう!

髙宮城先生:更年期は、“ツラい・苦しい”というイメージが強すぎるので、ハッピーになるように、“人生のチェンジの時期”です。更年期の“更”は、更衣の更なんですね。

“入れかわる・かえる”という意味なので、いい人生に変わるセカンドライフに向けて、60代から元気な時期が待ってますので、がんばりましょう。

関口先生:そうですね。先生も私も元気ですね!

※本記事の内容は、2023年9月に配信された内容です。最新情報は公式サイトよりご確認お願いします。

【登壇者】※2023年9月時点
髙宮城直子 Naoko女性クリニック院長 女性ヘルスケア/産婦人科専門医

関口由紀 日本フェムテック協会 代表理事 女性医療クリニック・LUNAグループ 理事長 女性泌尿器科医師

【クレジット/協力】
一般社団法人 日本フェムテック協会 スペシャルコンテンツ
https://j-femtech.com/special_contents/

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>>>https://j-femtech.com/femcare-l/certificate/l3/FYTTE

文/FYTTE編集部

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