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CATEGORY : ヘルスケア |女性ホルモン

顔のたるみ・腰痛・ひざの痛み…じつは“骨の変化”が原因だった! 医師がすすめる簡単「骨活習慣」

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肩、腰、ひざの不調

女性ホルモンが低下すると起こる、さまざまな不調、骨密度の低下もそのひとつ。また、骨の健康は生活習慣や食生活の影響も大きく受けるそう。そこで今回は、女性の骨の健康「骨の不調・部位別」と「骨活強化のための習慣(セルフケア)」について、整形外科医の矢吹 有里(やぶき ゆり)先生に伺いました。

監修 : 矢吹 有里 (医師)

ゆりクリニック院長
整形外科医として23年間治療に当たる中で閉経後の女性に多い骨粗鬆症による骨折を目の当たりにし治療と予防を目的としたクリニックを開院。強い骨作りで健康寿命を延ばし、美しさをアップする「骨美容Ⓡ」を提唱。
ゆりクリニック

Contents 目次

よくある骨の不調(病気)・部位別。初期症状は?

手の違和感を感じているイメージ

前回の記事では、40~50代の骨折しやすい場所を教えていただきました。
今回は、よくある代表的な骨の不調(病気)を部位別に教えてください。

「骨の変形では、手の指の第一関節が変形する“ヘバーテン結節”があります。女性ホルモンの影響が関与するとされ、更年期に起こりやすい変形の代表例です。

腕や肩周囲では、手首やひじの“腱鞘炎”(テニスひじ・ゴルフひじ)、また五十肩・四十肩などの肩関節周囲炎がよく見られます。肩や筋肉を柔軟に保つことが大切で、この部位も女性ホルモンの影響が指摘されています。

顔の頭蓋骨は、骨が薄くなったり、目の周りの骨が広がることで窪みが生じます。あごの骨も萎縮し、皮ふが余ることでフェイスラインが平坦に。こめかみの萎縮によりほお骨が突出してゴツゴツした印象になり、鼻の穴も広がります。こうした変化で脂肪や靱帯がゆるみ、全体的に皮ふが下垂します。原因は骨の変化です。

お尻や骨盤は、骨そのものより背骨とつながる筋肉のバランスの影響が大きいです。首のうしろから骨盤まで背骨を支える筋肉が弱ると、反り腰や前傾姿勢になり、腰痛を招きます。

ひざや脚(足裏まで)なども筋肉が減ることでひざの痛みが発症します。ふくらはぎから足までの筋肉が弱ると足裏のアーチが失われて扁平足や外反母趾に。かかとの痛み足底腱膜炎を発症しやすくなります。

体はすべてつながっているため、どこか一部を鍛えればよいわけではありません。骨の不調は関節や筋肉が低下とも深く関係しています」(矢吹先生、以下同略)

ホルモンの影響を受けるヘバーテン結節は、頻繁に使う部位だけに不快で痛みがあると聞きます。女性は腹筋が弱く反り腰になりやすいので、支えている周りの筋肉は重要ですね。

今日からできる「骨活強化」習慣!

骨粗鬆症を予防するケアのイメージ

骨活強化のための習慣(セルフケア)について教えてください。
骨の健康に効果的な栄養素の組み合わせ、食生活で意識したい食材やおすすめ習慣などありますか。

「食事は骨の健康だけでなく体の基本を作るものなので、バランスを重視してください。とくに不足しやすいたんぱく質は、体を構成する土台であり十分にとることが大切です。そのうえでカルシウム・ビタミンD・ビタミンK・マグネシウム・亜鉛などのミネラルを加えると、丈夫な骨が作られます。

また、よくかむこと=咀嚼もおすすめです。たとえば、ガムや硬い食べものをよくかんで食べるなど。骨は刺激を与えると丈夫になる性質を持っているので、顔の筋肉が鍛えられることで骨によい刺激が入ります。ガムをかむことが顎骨に与える影響を調べた研究では、あごがやや細くなり、下あごと上あごの骨密度が増加していることが明らかになっています」

運動習慣では、具体的にどんな運動・エクササイズを行ったら効果的でしょうか。

「全身に体重がかかる運動が効果的です。たとえば、ジャンプ運動や体重の6~7割くらいの重さを扱う筋トレ。かかと落としも、体重がかかとにゴツんとかかると頭の上のほうまで刺激が入るのでよいと言われています。体の部位では大腿骨の骨密度を上げるのに効果的な運動です」

ふだんの姿勢や動作習慣についてはどうでしょうか。座り方・立ち方、荷物の持ち方など気をつけたほうがいいことは?

「現代人は座り姿勢がとても長く、デスクワーク作業でPCをずっと見ている姿勢は体にとっては大きな負担です。座るときは坐骨といって骨盤のいちばん下で支えること。また、姿勢が崩れると、肩のこりや猫背がひどくなり顔が前に出てくることで背中に負担がかかりやすくなります。そういった姿勢には気をつけて、同じ姿勢で長時間過ごさないことです。
立っている姿勢も同じです。お腹に力が入らないと反り腰になり腰痛の原因になります。お腹に力を入れて立つことが大切です。
荷物の持ち方は、片方だけに負担がかからないようにバランスよく持ちましょう」

どうしても治療が必要になってしまったとき、骨の健康維持のためにできる医学的なケアにはどんな方法がありますか。

「骨粗しょう症の治療が必要な場合は、骨が壊れるのを防ぐ薬や新しく作る薬などを処方してもらい服用します。骨粗しょう症のいちばんの目的は、将来の骨折を予防して寝たきりを防ぐことに尽きます。現在処方される保険適用の薬は骨折(腰の骨折や大腿骨の骨折)を予防する効果が備わっているものがほとんどです。これらの薬は骨粗しょう症の診断がついた人に限り処方されるので、診断がつく前段階ではホルモン補充による骨ケアも可能です」

[コラム] 日光を浴びることで骨活になる? 方法や1日の目安時間は?

日光を浴びる女性のイラストイメージ

日光を浴びることでビタミンDが作られると思うのですが、「手のひらの日光浴」は本当に正しいのでしょうか。効果的な方法を教えてください。

「ビタミンD生成には日光浴が有効ですが、直射日光は日焼けや皮ふへのリスクもあるため注意が必要です。顔を日焼け止めで保護しつつ手のひらに日光を浴びるだけでも十分。木陰でも反射光で紫外線を吸収でき、夏なら10分程度でも効果的とされています。

ただし季節や天候によって必要な時間は異なり、冬はより長い日照が必要です。

日光とビタミンD生成については、国立環境研究所のサイトで1日に必要な日光照射時間・肌の露出部分(速報値)、地域ごとの紫外線量やビタミンD生成の目安時間を公開しているのでそちらを参考にしていただくとわかりやすいと思います。

■国立環境研究所 地球環境研究センター ビタミンD生成・紅斑紫外線量情報https://db.cger.nies.go.jp/dataset/uv_vitaminD/ja/mobile/yokohama_now1.html

続いては、「骨の健康リスク因子・骨活チェック」と「先生のおすすめ骨活アイテム」について教えていただきます!

取材・文/FYTTE編集部

 

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