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毎日の歯磨きで歯周病を増やさない。歯科医師で歯学博士に聞いた「ブラッシング法と口腔内ケアアイテム」

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歯ブラシ

日本人の成人約8割が歯周病、またはその予備軍であるといわれている口腔内の病気。進行すると全身病、がんの発症リスクを高めてしまう可能性も…。前回の記事では「腸内環境を整えて免疫力を高める方法」をお届けしました。3回目となる今回は「歯周病とさよならするブラッシング法と口腔内ケアアイテムの選び方」」について歯科医師で歯学博士の石川佳和先生に伺いました。

監修 : FYTTE 編集部

ダイエット専門誌として1989年に雑誌創刊し、2016年よりWEBメディアに。ダイエットはもちろんのこと、ヘルスケア、ビューティなど体の内側からも外側からも美しくかつ健康でいるための体づくりのノウハウを、専門家への取材とともに紹介。“もっと、ずっと、ヘルシーな私”のキャッチフレーズとともに、編集部員も自らさまざまなヘルシーネタを日々お試し中!

Contents 目次

歯周病を遠ざけて、免疫力を上げる、生活習慣パート3

歯磨きは毎日の習慣。食後は必ず磨いているという人は多いのではないでしょうか。しかし、忙しさや面倒だからと、とりあえず歯磨きをしているという人もいるかもしれません。

今回は、「歯周病とさよならするブラッシング法」、「口腔内ケアアイテムの選び方」について教えてもらいました。

歯周病とさよならするブラッシング法

歯磨きをしている女性のイメージ

前回までは、歯周病を予防して免疫力を高めるには、毎日の食事や腸内環境を整える生活習慣が大切というお話でした。今回は歯周病を予防するブラッシング法について教えてください。

基本はスクラビング法です。
一般的な歯ブラシを、鉛筆を持つ持ち方で持ちます。手の甲に歯ブラシの毛先を当てて、手の甲が白くなり歯ブラシをとるとすぐに元に戻るくらいの圧力(200~250gの圧)で磨きます。磨く順番を決めて、順番通りに磨くことで、磨き残しを防ぎます。

歯ブラシを歯の表側、ほお側に90度(直角)にあてて、歯ブラシの毛先がわずかに動く程度(1~3mm位)の振動を加えて30回磨きます。今度は歯の裏側を磨きます。歯の裏側は、かみ合せの面と舌の面に45度の角度で歯ブラシをあてて、1mm位の細かい振動を30回与えて磨きます。

この磨き方のポイントを説明しましょう。
歯ブラシの毛先がわずかに歯肉(歯周ポケット)に当たるような感じで注意深く振動させます。力が強すぎると、歯肉から出血したり、ヒリヒリ痛くなったり、ひどい場合は潰瘍を作ったりします。長年強い圧で磨いていると歯ブラシの刺激で歯肉が下がって歯の根が露出することがあるので注意が必要です。そうなると歯がしみてきたり、歯の根が虫歯になったりします。逆に力が弱すぎる場合は、汚れが落ちませんので、十分気をつけて磨くことが大切です」(石川先生、以下同略)

つい力を入れて磨いてしまうのですが、強すぎず弱すぎず、絶妙な力加減がポイントですね。歯磨き粉の選び方についてはどうですか。最近は炭酸歯磨きや温感歯磨き、ジェル状歯磨き、粉歯磨きなど、多種多様に種類が増えていて、新しい商品を試してみたくなります。

「私もそうでしたが、歯科医師は歯科医師が行った研究で効果を判断します。それが医科的にみて体に不都合があっても歯科的に判断しがちです。口の中だけをみて全身をみないからです。逆に医師は口腔をみないので口腔が原因の病気を見逃すことがあります。こんなことをいうのでユニークな歯医者とか言われますが、実際歯科での常識は医科での非常識でもあるのです。

歯磨き粉には、フッ素をはじめとして多くの薬効成分が入っています。この薬効成分は一見すると口腔内の悪玉菌を除去して歯を強くしてくれるように思います。ところがこの薬効成分は、口内フローラを乱し口腔ディスバイオーシスを起こすだけでなく、全身病の原因にもなるとしたらどのように思いますか?

口の中がどうして赤いか知っていますか?
口の中は口腔粘膜という薄い膜で覆われていてその内側は血管が多く張り巡らされているので、血管の赤血球がすけて見えるので赤いのです。
歯を磨いたあとは、薬効成分を止めておくためになるべくうがいを控えるように指導する歯医者さんがいます。薬効成分を口の中にとどめておくということは、薄い口腔粘膜を通過して薬効成分が血管から吸収されることを意味します。血管を通して薬効成分が全身にばら撒かれることになります。当然、腸内環境も悪化します。

とくにフッ素は脳(とくに松果体)に蓄積し脳を石灰化させるので脳神経に悪影響を及ぼし認知症、多動性、睡眠障害、老化促進などの原因とされています。このことはハーバード大学の研究でも実証されています。また、フッ素は甲状腺への悪影響も指摘されています。フッ素入りの歯磨き剤を毎日使うことで、歯磨き中にフッ素を唾液と一緒に飲み込むことになります。

とくに小さなお子さんは歯磨き中にどうしても飲み込んでしまいます。たとえ歯磨き剤のフッ素は低濃度だとしても、長い時間をかけて蓄積するので将来的にみるといろいろな障害が出る可能性があります。界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)の影響も無視できません。

できることなら、なるべく市販の歯磨き粉を使わずに磨き、1週間に1回程度少量の歯磨き粉を使うようにしてみてください。歯ブラシの毛束2つくらいに少量つけて、口の中が唾液でいっぱいになったら、吐き出しながら磨き、磨き終えたら十分うがいをして歯磨き粉成分を吐き出すようにしましょう」

フッ素入りの歯磨きは、意見が分かれますが、石川先生のお話を聞いて見直そうと思いました。歯磨き粉がなかった時代は薬草などで磨いていたとも言われていますし、糖質の多い食品や加工食品などが増え、オーラルケアアイテムも増えたように感じますね。

歯周病を増やさない。おすすめ口腔内ケアアイテム

歯間ブラシ、フロスなどのアイテムイメージ

続いて、使用したほうがいい口腔内アイテムについて教えてください。

「歯ブラシのほか、歯間ブラシとデンタルフロス、舌ブラシです。
歯間ブラシ:歯周病になると歯間にすき間ができて歯ブラシではとりきれない程のプラークがたまります。歯間ブラシは、虫歯や歯周病などの原因となるデンタルプラーク(歯垢)を効果的に除去する専用清掃用具のひとつです。歯と歯のすき間がせまいときにはデンタルフロスが、広いときは歯間ブラシがおすすめです。歯間ブラシを選ぶときは、歯と歯の間のすき間よりも若干小さめのサイズを選ぶようにします。歯間に入らない場合は、ムリに挿入しようとしないでサイズを小さくおとして、試してみてください。

歯の間のすき間が広いところ、虫歯の治療をしたところ、いちばん奥の歯のうしろ側、ブリッジの下、歯が抜けたままになっているところなどに歯間ブラシを使うと効果的です。また、歯の外側と内側の両方から使いましょう。そのとき、L字型のものが使いやすいです。

使い方
1. 鉛筆を持つように持ち、必ず鏡を見ながら使うようにしてください。
2. 歯肉を傷つけないように、ゆっくりと歯のかみ合わせの方向に挿入して、歯面に沿わせて前後に2~3回動かして清掃します。先端を歯肉方向に向けると歯肉を傷つけるだけでなく、歯周病菌のついた歯間ブラシで歯肉を突き刺すことになるので、歯肉が腫れる原因になります。
3. 使用後は流水ですすぎ風通しのよい所で保管しましょう。
4. 歯間ブラシの毛が乱れたり、短くなったらとり替えましょう。
5. 歯間ブラシは、歯ブラシの毛先が届きにくい部分のデンタルプラーク(歯垢)を除去するためのものなので、食べカスが歯と歯の間にはさまったときだけに限らず、1日1回歯磨きの前に使うようにしましょう。

デンタルフロス:歯磨きで除去できるデンタルプラークは全体の60~80%位です。きれいに磨いたつもりでも20~40%はとり残されていることになります。そこで、とり残されやすい歯と歯の間を磨くために、デンタルフロスを活用します。デンタルフロスには、指巻きタイプと持ち手(ホルダー)付タイプがあります。かみ合わせの面から歯と歯の間に前後に動かしながら、ゆっくりとやさしく入れます。歯と歯が接している部分を通すときは、きつく感じる場合もありますが、勢いよく入れると歯肉を傷つけてしまうので注意しましょう。歯肉に少しふれるまで挿入したら、歯の側面それぞれに沿わせて上下に左右に動かし、歯垢や食べカスを取り除きます。歯と歯の間から抜き出すときも、ゆっくりと前後に動かしながら抜いてください。歯の裏側などの取り切れなかった食べカスは、かき出すようにします。

舌ブラシ:舌には、舌苔(ぜったい)といって舌の表面に着く白い苔状のものが付着することがあります。これは、食べカスや細菌がはがれ落ちてできる白い付着物です。この中に歯周病菌が残っている場合があります。そのため放っておくと口臭や歯周病の原因になりますので、舌ブラシを使って舌苔を落とすようにしましょう。
使い方は舌ブラシで軽くなでるようします。力を入れすぎると舌が傷つくので注意が必要です」

ありがとうございました!
ふだん行っている歯磨きのやり方、使用アイテムの再確認ができました。

次回も、「自宅でできる改善法9つ」についてお届けします。

著書:『歯周病ががんの原因だった 』歯ぐきの腫れに注意! 歯周病菌が全身に病気をつくる仕組みと自宅でできる回復法 /ユサブル

■取材協力/監修者:石川佳和(いしかわ よしかず)先生
歯科医師、歯学博士、日本補綴歯科学会専門医・指導医 鶴見大学歯学部卒業、同大学大学院修了 鶴見大学歯学部助手(現:助教)医療法人愛和会桜川歯科医院理事長
Manaka Dental Clinic副医院長
鶴見大学歯学部口腔リハビリテーション補綴学講座非常勤講師 すべての人があたり前に口から食事ができ健康で楽しく長生きできる『健康寿命130歳プロジェクト』主催
1)インプラントと同程度にかめて美しい入れ歯「ミリングアタッチメント金属床義歯」、
2)分子栄養学と血液検査を応用した再発の少ない歯周病治療、歯周統合医療を開発 国際学会でアワード受賞、鶴見大学同窓会論文奨励賞受賞など多くの賞受賞
TOKYO MXTV ドクターズアイほかメディア出演 医科と歯科が協力して治療を行う本来の医科歯科連携を模索して活動中 

取材・文/FYTTE編集部

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