スーパーに並ぶピーマンは身近な野菜ですが、皮の部分のビタミンCはレモンの3倍にもなり、夏場には積極的に摂りたい野菜の一つ。
今回は、ピーマンの栄養を逃さない食べ方について、書籍『その調理、9割の栄養捨ててます!』(東京慈恵医科大学付属病院 栄養部 監修/世界文化社)から、お伝えしていきます!
Contents 目次
赤、緑、オレンジ…栄養価の高いピーマンは!?
ピーマンといえば緑ですが、それ以外にも赤、黄色、オレンジとカラフル。
栄養価に違いはあるのでしょうか。
じつはピーマンの中で、いちばん栄養価が高いのは赤ピーマン。
ピーマンは、 熟すにしたがって緑から赤(品種によっては黄色やオレンシ)へと色が変化しますが、その過程で独特の青っぽい香りが消えて甘く、やわらかくなっていくそうです。
完熟するとビタミンCは緑ピーマンの2.4倍、β−カロテンは約3倍 ビタミンEは5.4倍に。ただし、血液サラサラ効果があるとされるピラジンはなくなってしまいます。ピラジンは緑のピーマンに含まれる成分。
独特の苦みがある緑ピーマンは加熱調理に、苦みのない赤ピーマンはサラダなどの生食におすすめです。
ワタも一緒に食べたい緑ピーマン
緑ピーマンの苦味こそ体にうれしいポリフェノール「クエルシトリン」です。毒素排出や高血圧予防効果があるそう。同じく苦みをつくる「ピラジン」も、 血液をサラサラにし、頭皮の血行をよくするとされます。
緑のピーマンの独特の成分「ピラジン」は、ほぼワタにしか含まれない成分。調理の時にほとんど捨ててしまうワタにこそ、栄養価の高い成分が含まれていたのです。一般的にはこのピラジンには血液をサラサラにして、血行をよくする効果があるとされ、薄毛予防や美肌効果、代謝促進も期待できるとか。ワタにはむくみなどに効果のあるカリウムも豊富なので、丸ごと食べたほうが絶対お得!
「加熱してから切る」と苦味が抑えられる
ピーマンの細胞は縦に並んでいるので、 ピーマンを切るときは縦に切るとそのまま成分を残すことができます。
栄養を残したまま苦味を抑えるには加熱してから切ること。
レンジで丸ごとチンして加熱してから切ると、ピーマンの甘みを引き出してくれ、それから縦切りにすれば、細胞を壊さないので栄養素はそのまま摂取することができます。
ビタミンCは本来加熱にはあまり強くありませんが、ピーマンにはビタミンCを熱から守るビタミンPが含まれるため、加熱してもほとんど栄養成分が変わらない貴重な野菜です。 油分と一緒にとればビタミンAの吸収率も上がるので、 炒めたり、オイルを塗って丸ごとグリルするのも良い方法です。
栄養価を保つには野菜の細胞を壊さないこと。
ピーマンとよく似た野菜にパプリカがありますが、 ピーマンとの違いは 「大きさ」と「果肉の厚さ」だそう。ピーマンと同様に緑は未熟果、赤や黄色、オレンジが完熟となります。完熟のものは栄養価もたっぷりで、β−カロテンは緑ピーマンの約7倍にもなるとか。日焼けをした時には特に赤ピーマン、日常的には緑というように選んでもいいですね。
文/庄司真紀
参考書籍
東京慈恵医科大学付属病院 栄養部 (監修)『その調理、9割の栄養捨ててます!』(世界文化社)