毎日続く厳しい暑さ。どうしても冷房に頼る毎日になってしまいますよね。しかし冷房は快適な涼しさを与えてくれる一方で、長時間あたり続けると、さまざまな体の不調の原因にもなってしまうのです。今回は、婦人科医・成城松村クリニックの松村院長先生に、女性の不調を引き起こす「冷房病」とその対策法について教えていただきました。
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体が冷えすぎる「冷房病」が引き起こす不調
私たちの体は、暑くなると汗をかいたり血管を拡張させたりして体内の熱を外へ逃がし、体温を一定に保っています。ところが、長時間冷房のきいた部屋にいて体が冷えすぎてしまうと、熱を逃さないようにする機能が働いて、血管が収縮し、血液の循環が悪くなり、代謝も低下します。
それによって、手足の冷え、むくみ、頭痛、肩こり、腰痛などを引き起こしてしまうのです。また冷えによってホルモンバランスも乱れ、女性は生理不順や肌荒れも起きやすくなります。こうした冷房の影響による、さまざまな体の不調を総称して、一般的に「冷房病」と呼んでいます。
屋外と室内の気温差は、自律神経の乱れの原因に
私たちの体温調節機能は、自律神経がコントロールしているのですが、暑い屋外から涼しい部屋への出入りを頻繁にくり返すと、この自律神経が混乱してしまいます。自律神経が乱れると、汗をかきにくくなり、乳酸などの疲労物質がたまって、慢性的に体がだるい、夏バテのような状態になることも…。自律神経が変調をきたした状態が続けば、冷房病にかかりやすく、また快復しにくくもなってしまうので注意が必要です。
「冷房病」にならないためには?
夏場のエアコンの設定温度は、28℃が標準と言われています。ですが、気温の感じ方には個人差があるので、自分が「寒くない」と感じる温度に設定すること。屋外と屋内の気温差は5℃以内になるのが理想的です。
<「冷房病」にならないための対策3つ>
(1)体を温める食べものを積極的にとる
⇒冷蔵庫でキンキンに冷えた飲みものではなく、常温やあたたかい紅茶、しょうが湯などで体を内側から温めます。冷えた室内にいるときには積極的に飲むようにしましょう。
(2)適度な運動で血行促進
⇒オフィスなどでずっと立ちっぱなし、座りっぱなしでは、血液の流れが滞り、冷えも悪化します。トイレで体を伸ばしたり、移動するときに階段を利用して、足を積極的に動かしたりなど、こまめに体を動かしてみましょう。
(3)シャワーで済まさずきちんと入浴
⇒寝る前には、ゆるめのお湯に10分間でもいいので入浴しましょう。血行が促進され、冷えにくい体になります。
文/鈴木みずほ