もし、あなたが、「最近、些細なことでイライラしがち」という自覚があるなら、もしくは、「気分が落ち込んで何もする気にならない」という状態に陥っているとしたら、すぐに実践してほしいことがあります。それは、ナイトケアアドバイザーの小林麻利子さんが推奨する、ストレス状態から抜け出すための2つのステップ。数多くの自律神経の不調を抱える女性を救ってきた、シンプルかつ効果的な方法なのです。
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イライラは性格ではない!
高等動物である人間は、脳の「前頭連合野」という部分がほかの動物に比べて発達しています。論理的思考ができるのもここが発達しているから。感情のコントロールや人間らしい行動ができるのも、すべてここの働きです。
ところが、睡眠不足が続くと、最初にダメージを受けるのが「前頭連合野」なのです。すると、家族や恋人とケンカをしやすくなる、通勤中や会社で些細なことにイライラしてしまう、SNSを見ていてつい他人と比べてしまって憂鬱な気分になる……といった、心の状態につながりやすいのです。
もちろん、寝不足の場合、体の機能面でも、十分に内臓などが修復されず、代謝が滞ってしまうことで、疲れが蓄積されたり、不調が出ている可能性は大。けれど、若いときはそれに気づかないケースも多いのです。
いちばん気づきやすいのが、心の面の変化。もし、最近、イライラしがち、憂鬱な気分になる……。そう感じるのだとしたら、睡眠不足など生活習慣からくるものの可能性が大です。性格ではないのです。
STEP1 声や体に出してイライラ状態を認識する
イライラする、憂鬱な気分が続く、と気づいたら、まずやってほしいことがあります。両手をゆらっとふったり、体を軽くたたいたりしながら、「あ、ストレス状態だ!」と声に出して言うのです。
なぜ、こんなことをするかというと、人間は意外と鈍感にできているため、ただ「ストレスがあるなぁ」と、心で思うだけでは、しっかり認識できないからです。腕をふって骨格筋を活動させ、さらに言葉に出してまた耳からインプットするという、アクションを行うことで、ようやく自分自身に気づかせることができるのです。ここで、ストレス状態に気づくことが最初の一歩。「ヤバイ! 何か対処しなくちゃいけない」と、次の行動につながってきます。
STEP2 呼吸法で副交感神経を優位に
ストレス状態だと自覚したら、次に行うのは呼吸を整えること。小林さんがすすめるのは、「3秒吸って、2秒息を止めて、5秒吐く」呼吸法。このスピードの呼吸は、心拍数と呼吸が共鳴してゆっくりになるということが研究でわかっています。1回にかかる時間は、3秒+2秒+5秒で10秒。つまり1分間で6回のペースで行います。この呼吸を行うと心拍数がゆっくりになり、筋肉は弛緩し、呼吸も深くなってきます。
慣れてくると、電話をしながらでもこの呼吸法はできるそうですが、まず行いたいのが寝る前のタイミングです。
寝る前の15分をうっとりタイムに
健康な人の場合、自律神経は、自然と、日中は交感神経が優位になり、夜は副交感神経が優位になります。ところが、イライラが続くときは、夜になっても交感神経が優位のまま。心臓の鼓動は早く、手足は冷たく、頭が熱い状態で、呼吸は浅く、筋肉は萎縮したままでいます。これでは、よい眠りが得られるはずがありません。だからといって、心を静めてイライラをなくそうと思っても、コントロールできるものではないのです。このとき、効果的なのが呼吸。呼吸により副交感神経神経を優位にすることができます。
小林さんが推奨するのは、寝る前15分のうっとりタイム。行うのは10秒でも1分でもよいのですが、自分と対話する時間を15分くらい用意することが重要。このときポイントとなるのが行う空間で、リビングのテレビの前ではなく、寝室で行いましょう。いつでも寝られる状態にして、ベッドの上で行うのです。もちろん、15分たたなくても自分が眠いというタイミングでスーッと眠りに入ってしまってOKです。
このとき、ライトを落としてアロマをたきながら、あるいはストレッチをしながら行うと、さらに効果的です。
もっとくわしく小林さんのナイトケアを知りたい人はこちらをチェック!
『あきらめていた「体質」が極上の体に変わる』(ダイヤモンド社)
取材・文/野上郁子<オフィスhana>