10月に入ると、からりとした秋晴れの日が多くなります。蒸し暑さも収まり、旅行やスポーツなどに出かけたくなるのではないでしょうか。過ごしやすくなる一方で、この時季、体調を崩している人も多いよう。寒暖差の激しい時季は、風邪をひきやすいので注意が必要です。今回はそんなときに食べるといい秋のフルーツについてお話します。
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秋は肺のトラブルが起こりやすい時季
東洋医学では、体の機能を「肝・心・脾・肺・腎」の5つの臓器に分類して考えます。秋に関連が深いのは「肺」。肺は、体の表面にある皮膚や呼吸器粘膜までを含むと考えられ、病気の侵入を防ぐ防衛機能を果たしてくれる重要な臓器です。
肺の特徴は、非常にデリケートな臓器であること。しっとりとうるおっていることでその機能を果たしますが、乾燥に弱く、傷つきやすい性質があります。そのため、急激に湿度が下がる秋は、肺のトラブルが起こりやすい季節なのです。
10月になって、風邪が流行ったり、空咳をする人が増えたりするのはこのため。冬に向かってますます外気の乾燥がひどくなってきますから、今の時期からしっかり肺の乾燥対策を始めてください。
梨と柿は、肺をうるおし、咳を止める
ではどんなものを食べればよいか。おすすめは、秋のフルーツの代表格、梨と柿です。梨も柿も、薬膳ではうるおいを与えて咳を止める力があるとされているフルーツ。どちらも体を少し冷やす性質がありますが、みずみずしい果汁によって呼吸器粘膜をうるおしてくれます。
梨は、水分をたっぷり含んでいることからもわかるように、うるおいを補うパワーが抜群。のどが乾燥してイガイガするときは、同じく肺をうるおしてくれるハチミツをかけて食べるのがおすすめです。空咳が出るときは、梨、大根、れんこんを下ろし、しぼり汁を飲むという方法も。
一方、柿は、肺の熱をとってうるおいを与える力が。口内炎やお酒の飲み過ぎのときにもいいとされています。生で食べれば咳止めや乾燥対策に、干し柿なら、肺をうるおすほか、止血、下痢止めにもいいと伝えられています。また、柿のヘタは「柿蔕(してい)」と呼ばれ、煎じて飲むとしゃっくりが止まるとも。果肉は食用、葉はお茶、ヘタは薬と、さまざまな使い方ができる柿は、まさに“おくすりフルーツ”といえそうです。
秋の乾燥から肺を守るのに、秋のフルーツが有効とはうれしいかぎり。おいしい時季でもありますから、毎日食べて、肺にうるおいを補ってください。