近年の研究によって明らかになりつつある「納豆菌」の価値。大豆から納豆に変化する過程で重要な役割を担う「納豆菌」には、納豆の品質（味、におい、豆のやわらかさ、ねばり）や、納豆の栄養と健康作用に違いをもたらす作用があることがこれまでの研究で明らかになっています。

そのなかでも「S-903納豆菌」は、通常の納豆菌以上に免疫力を高める作用やインフルエンザウイルス、ノロウイルスに対しての予防効果が確認されるなど、冬に流行る感染症シーズンに注目したい納豆菌なのだとか。

この研究を行ったのは、タカノフーズ株式会社の納豆研究開発部 小林知世研究員。最新の研究では、「S-903納豆菌」が「腸管」通って腸内に届くことにより、全身の免疫力を高めるほか、口腔内の環境もよくする可能性があると、日本大学松戸歯学部助教 歯学博士の小林良喜先生も教えてくださいました。

また、中部大学大学院工学科 薬学博士の林京子先生は「S-903納豆菌」の免疫力を高める作用が、インフルエンザウイルスやノロウイルスなどの感染症予防になるなどの検証試験の結果について解説いただきました。

一体どんな研究なのでしょうか。

まず「S-903納豆菌」について
タカノフーズが日本各地から分離・採集した納豆菌は2,200株以上。そのなかで、納豆の免疫に対する機能性に着目し研究を行ったのが「S-903納豆菌」。アレルギーや感染症、腸内環境に対する効果の研究を行っているそう。
※特許登録や学会発表では、「S-903納豆菌」はTTCC903として報告。

試験の内容は、マウス実験で８週間毎日、チューブでマウスのお腹の中に納豆菌を入れるというもの。その結果、腸内環境が改善。口腔内では歯周病に影響を与える菌が減少し、口腔内環境も改善されたと示唆。この結果から人間も同様な効果が得られるのではないかというものでした。「ただ、口腔内の環境は改善されるけれど、虫歯がなくなるというわけではありません」と小林先生。

さて、この納豆菌がどうして、口腔内改善やウイルス感染症予防になるのでしょうか？　次に林先生に教えていただきました。

そもそも、人がウイルスや感染症にかかるときってどんな状態でしょう。

以下の２つが考えられています。
・ ウイルスの力を抑える免疫力が弱くなっている
・ 体力（生体）自体の力が弱くなっている

「私たちは冬になるとインフルエンザウイルスに感染しないように、ワクチンや抗ウイルス薬などに頼るのですが、生体の力が弱まっていればこれらの対策をしても限界があります」と林先生。
そこで、生体の力＝「免疫力」を強めることが大事なのだそう。

また、なぜ感染症対策に免疫力が重要かというと…
現代社会の高齢化やストレスの多彩化、生活習慣病の増加、臓器移植者などの増加など感染防御機能が低下している人たちが増加している傾向にあり、感染症にかかれば病気の重症化にもなりかねないという時代背景。

病気の重症化って考えたくありませんね…。しかも、人の体は20代前半から免疫力が低下し、感染リスクは上昇傾向にあるそうです。

でも、大丈夫！　人の免疫機能（免疫細胞）は約70％「腸管」に存在しているので、口から摂取した物質によって免疫力を高めることができるそうなのです！

そこで、今回ご紹介している「S-903納豆菌」でつくられた納豆を１日１パック以上食べれば免疫力が高まり、風邪やウイルスなどの感染症予防が期待できるというわけです。しかも、ウイルス菌だけでなく、アレルギー症状の緩和も期待できるとのことで、春に流行る、花粉症にもおすすめなのだそう。

会場では、納豆を使ったおすすめレシピもご紹介いただきました！

写真左上：「納豆のアボカドクリチ和え」
食物繊維が豊富なアボカドとらっきょう、クリームチーズを刻んで、納豆と混ぜ合わせたレシピ。腸内環境の改善におすすめ。発酵食品のクリームチーズも体調を整えて代謝を高める働きがあり、疲労回復に。

写真左下：「ふわふわ納豆鶏つくね」
生姜や木綿豆腐、刻んだ玉ねぎなどとよく混ぜ合わせて作った鶏つくねの上に納豆をトッピング。アミノ酸が豊富な鶏肉は筋肉疲労を改善し、疲労回復におすすめ。納豆と組み合わせることで風邪予防に！

この冬は、納豆をたくさん食べて免疫力アップ！　風邪・インフルエンザ対策はバッチリですね。（編集 マチ）

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