お腹に冷えがあると、疲れやすかったり、やせにくくなります。特にこれからの季節は気をつけたい体の「冷え」。今回は理学博士の山口勝利さんの著書『死ぬまで元気でいたければとにかく内臓を温めなさい』から、内臓冷えを招く食生活を見ていきましょう。
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まずは“内臓冷え”を防ぐことから
「毎日1万歩、歩いている」、「太らないよう食事に気をつけている」、「サプリメントをとっている」…。何かしらの健康法を実践している方も少なくないのではないでしょうか。
ですが、いつまでも健康な体でいたいなら、どんな健康法を始めるよりもまず先に、やらなければならないことがあります。
それは内臓を温めることです。
内臓温度が低いまま、ウォーキングやマッサージなど、健康にいいことに取り組むことは、エンジンに不調があってうまく走らない車を無理矢理なんとか動かそうとしているのと同じです。
日本人の8割が内臓冷え
20数年、6万人以上の血流と内臓温度を調べてきた山口さんが、研究を重ねるうちに、気づいたことが2つあります。
ひとつは、手足の先端や首もとなどが冷たい、いわゆる「冷え症」の人のほとんどは、 内臓温度が低いこと。
もうひとつは、手足が温かい、体温が正常な人でも6割くらいの人の内臓が冷えていることです。
むしろ、来院する患者さんをみると、最近は、後者の人が増えています。
これまでの経験から考えると、日本人の約8割の内蔵は冷えているように感じます。
それだけ多くの人が内臓を冷やしてしまう原因は、私たちの日常の生活習慣にあります。
内臓温度の低下は実感しにくいために、自分の生活習慣や行動が悪影響を及ぼしていることに気づかないまま、過ごしてしまうことがよくあります。
意外と多い!? 見直したい食生活
1 生野菜中心の食生活
「ダイエット難民」は、内臓を温め代謝を上げれば健康的にやせることができます。必要な栄養素をとりながら健康的にやせる。そう思って昼食をカロリーの低いサラダだけなどで済ませてしまうと、体を中から冷やしてしまうことになります。なぜなら、生野菜は体を冷やす食材の代表格だからです。
特に、トマトやレタス、きゅうり、なすといった夏野菜、それから南国でとれる野菜や果物は要注意。夏が旬だったり、暑いところでよくとれたりするものは、水分が多いなど体を冷やす作用があるといわれているからです。 少し食べる程度なら問題ありませんが、とりすぎると、内臓温度をどんどん下げることになります。
さらに、過度な食事制限をしてしまうと、それがストレスになり、自律神経が乱れてしまいます。それによって、体を温める機能が乱れてしまい、どんどん内臓温度が冷えてしまうのです。
内臓温度が下がると、ダイエットには逆効果。 山口先生が調べたところによると、内臓温度が1℃下がると、基礎代謝が約10~15%落ちるようです。
基礎代謝は体が消費するエネルギーの6~7割を占め、成人女性の平均値は1日で約1200キロカロリー。つまり、内臓温度が1℃下がると、約180キロカロリー、 おにぎり1個分のカロリーを消費できなくなる計算になります。 それが1か月、2か月続くと考えると、莫大なカロリーになります。
せっかく、カロリーの低い野菜を食べていても、基礎代謝が落ちることによって逆にカロリーを蓄積してしまうことになるのです。
2 毎朝必ずヨーグルトを食べる
ヨーグルトは、体を冷やす作用があるといわれている牛乳が原料です。ヨーグルトを食べると腸内の善玉菌が増えるのは事実ですが、食べすぎは注意が必要ですし、特に食べるタイミングには気をつけなくてはなりません。
ヨーグルトは朝に食べる人が多いと思いますが、タイミングがよくありません。
朝は1日のうちでいちばん体温が低い時間帯です。
内臓が冷えているときに、ヨーグルトを食べてさらに冷やすことはありません。
ヨーグルトに含まれる乳酸菌の効果は、昼に食べても、夜に食べても同じ。どうしても朝にヨーグルトを食べたいなら、ヨーグルトを食べたあとに体を温める食べものや飲みもので、内臓を冷やさないようにしましょう。
3 野菜ジュースやスポーツドリンクで栄養補給する
野菜ジュースは、てっとり早くおいしくビタミン補給ができるので、重宝しがちです。
しかし、体にいいからといって、ついつい飲みすぎてしまうとNG。おいしいと感じるものには甘いものが多いもの。本当に野菜をしぼっただけで、あんなに甘いはずはありません。
飲みやすさを考えて、多くのものが「果汁」をたくさん加えています。 そして、果汁の中にたくさんあるのが「糖分」。
果物でビタミン・ミネラルをとる場合は、繊維や酵素なども一緒にとれるので吸収を穏やかにしてくれますが、これをジュースという形にすると、繊維がないため糖分がすぐに体に吸収されてしまうのです。
糖分をとりすぎると、血液はドロドロになって、「熱」が運ばれにくくなります。
さらに、冷たいということで、大量に飲むと、内臓を冷やすことになるのです。 運動に必要な栄養を補給するスポーツドリンクも同じです。
飲むなとはいいませんが、体にいいからと野菜ジュースやスポーツドリンクを摂取し続けるのは、内臓温度の観点からいうと、あまりおすすめできません。
冷えのもととなる食生活を取り除くと、冷えによって起こっていたさまざまな体の不調が解消されていきます。
参考書籍
山口勝利著『死ぬまで元気でいたければとにかく内臓を温めなさい』(井上宏一監修、アスコム)
文/庄司真紀