風邪の季節がやって来ました。年末年始を控え、仕事やイベントに多忙な人も多いことでしょう。この冬を“風邪知らず”で乗り切るための予防法や、風邪を引いてしまったときの対策について、感染症に詳しい医療法人社団鉄医会理事長・ナビタスクリニック立川の久住英二医師に伺いました。
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風邪で病院へ行かなくてもいい!?
私たちが“風邪”と呼んでいるのは、風邪症候群のこと。「主にウイルス感染によって、熱、咳、痰、のど痛、鼻水、鼻づまりなどの症状が出ます」とナビタスクリニック立川の久住英二医師は話します。
風邪を引き起こすウイルスにはいくつかあります。
●ライノウイルス……風邪の原因の30~40%を占めるといわれるウイルス。主に鼻風邪を引き起こします。
●コロナウイルス……ライノウイルスに次いで多く、鼻やのどに症状を起こします。
●アデノウイルス……咽頭炎や気管支炎を引き起こします。夏に流行する「プール熱」と呼ばれる風邪も、このウイルスが原因です。
くしゃみ、鼻水、咳、痰といった風邪の症状は、実は、体内から異物を追い出そうとする防御反応。発熱も、体がウイルスと戦って、免疫機能が活発化しているサインです。
「ウイルスに感染した場合、症状は4~5日でピークを迎えます。発熱があっても、だいたい4日目には解熱し、放っておいても治るものです。病院へ行こうかどうしようか迷ったときは、この4~5日間の体調の変化で見極めるといいでしょう。日常生活の大きな妨げになるような症状がなければ、市販の風邪薬で対処してもOKです。咳で眠れない、のどが痛くてご飯が食べられないといった場合は、病院へ」(久住医師)
風邪を予防する3つの習慣
そもそも、冬にはなぜ風邪が流行するのでしょう。
「気温の低下や空気の乾燥で、ウイルスがアクティブな状態で滞在できる時間が長くなるからです。吸い込んだ外気と常に触れている鼻やのどの粘膜には、吸い込んだゴミや病原体を体外に排泄する仕組みがあります。しかし、粘膜が冷たい空気にさらされると、その能力が低下し、風邪を引きやすくなるのです」(久住医師)
風邪を予防する対策として「マスクそのものにはかぜ予防効果はないが、冷たい空気を吸うと鼻が詰まる方は保温目的でマスクをするのも手だ」と久住医師は言います。
また、風邪予防には日頃の生活習慣も大切です。心がけたいのは次の3つです。
●十分な睡眠
●栄養バランスのとれた食事
●ストレスをためない
「“風邪を引きやすい人”がいるとしたら、日頃から睡眠不足、運動不足の人といえます。十分な睡眠は、人によってそれぞれ。休日に目覚まし時計をかけずに、自然に目が覚める時間が、その人にとっての十分な睡眠量といえます。ストレスをためないことも大事ですが、避けられないストレスは運動で発散しましょう。 運動不足だと、体も疲れやすくなります。そして、栄養バランスの良い食事を心がけましょう」(久住医師)。
万が一、風邪を引いてしまったときの対処法は、“安静・保温・栄養”が三原則。久住医師は、「とにかく、よく眠ること」とアドバイスします。