「血糖値が高め」と指摘されたら、気になりますよね。年齢とともに「太っていないのに血糖値が気になる」という人もいるでしょう。血糖値を下げるにはとにかくカロリー制限と思っていませんか。しかし、「血糖値を下げるにはカロリー制限よりも、エネルギーを燃やす代謝力を上げること」と糖尿病専門医の田中俊一先生は話します。今回は、管理栄養士の浅野まみ子さんとの共著『血糖値は食べて下げる寝て下げる』(アスコム)から、血糖値を下げる食事についてお伝えしていきます。
Contents 目次
■カロリー制限では血糖値は下がらない
血糖値がしっかりコントロールできていない人は、代謝がうまくできていません。
まずとり組むべきは、意味のないカロリー制限ではなく、消化吸収がスムーズに行われる食べ方を身につけ、代謝力を上げていくことです。
代謝が上がると、体の調子はよくなり、内臓もしっかり機能してきます。食べたものを効率よく燃やしてエネルギーに変えられるようになります。あなたの体は、いわゆる「燃える体」に生まれ変わるのです。
「燃える体」になれば、同じものを食べたとしても、太りにくくなります。結果的に血糖値が安定した体になれるのです。
■「燃える体」のための食事のコツ
代謝の高い、「燃える体」のための食事のコツを3つお伝えします。
<1>美腸で代謝アップ
「血糖値を下げるのに腸?」と思うかもしれません。でも、燃える体を作るためには、なによりもまず腸内環境を整えることがとても大切なのです。
腸が整っている「美腸」の人は、消化吸収がスムーズで代謝もよく、食べたものがスピーディーによく燃えます。腸内環境が悪化している汚腸の状態だと、代謝が鈍り、太りやすくなります。そして、血糖値の上昇にもつながっていくのです。
美腸のポイントは、善玉菌を含む発酵食品と、善玉菌の好物である食物繊維をしっかり食べること。
じつは、うってつけの食べものがあります。それが「みそ汁」です。日本人におなじみのみそ汁こそ、発酵食品に含まれる善玉菌と、そのエサとなる食物繊維を一度にとることができる食べものなのです。
みそ汁に、食物繊維が豊富な野菜やワカメなどの海藻を入れて飲めば、腸内環境を一度に整えてくれます。
発酵食品には「動物性」のものと「植物性」のものがありますが、一般的に、日本人の体に合いやすいのは、みそなどの植物性のものといわれています。
<2>燃えるための「燃料」をしっかりとる
糖質オフダイエットで糖質をゼロにしてしまうということは、新聞紙などの着火剤なしにいきなり薪に火をつけるようなもの。これではスムーズに代謝をすすめることができません。
極端な糖質制限ダイエットは、糖の代謝を抑制し、逆に太りやすい体にしてしまうのです。
もちろん、糖質ばかりの食事はバランスがよくありません。でも「燃える体」になるためには、着火剤として「適量の炭水化物」を食べる必要があるのです。
<3>ビタミン、ミネラルが代謝を促進
代謝には「消化酵素」と「代謝酵素」という2つの酵素が関わっています。
ミネラルは、ビタミンとともに「補酵素」として、これらの酵素の働きをサポートするのです。ですから、せっかくとり入れた栄養を体のなかで最大限使うためには、ミネラルのサポートが、なくてはならないのです。
なかでも「マグネシウム」には、代謝を高めて脂肪燃焼を促進する性質があります。マグネシウムをしっかりとれば、体の代謝力をアップすることができるのです。
マグネシウムが多く含まれるのは、あおさ、わかめ、ひじきなどの海藻類。
そのほかにも、さくらえびやしらすなどの魚介類やアーモンド、カシューナッツなどのナッツ類、小豆、納豆、枝豆などの豆類にも多く含まれています。
食材を賢く選ぶ“食選力”で、あなたの代謝力を上げていきましょう。
『血糖値は食べて下げる寝て下げる』(アスコム)
著者:糖尿病専門医 田中俊一/管理栄養士 浅野まみこ
田中俊一
医学博士。横浜市立大学大学院医学研究科客員教授、医療法人みなとみらい理事長。早稲田大学理工学部数学科を経て横浜市立大学医学部卒業後、1997年に金沢内科クリニック(現医療法人みなとみらい)を設立、その後、ニューヨーク市立大学 Mt.Sinai School of Medicine,assistant professor、国際医療福祉大学教授、横浜市立大学教授を経て、現職。毎月8000名の生活習慣病の治療に睡眠から取り組む、睡眠と糖尿病のスペシャリスト。日本テレビ系「世界一受けたい授業」「ヒルナンデス! 」など、メディア出演も多数。
文/庄司真紀