虫歯や歯周病を予防するために欠かせないのが、毎日のていねいな歯磨き。でも、汚れをしっかり取ろうとして、歯ブラシの毛先がつぶれるぐらい、ゴシゴシと力強く磨いたり、たっぷりの水で、何回も口の中をすすぐなんてことをしていませんか? それでは、歯磨きの効果が半減しているかも!? 正しい歯磨きのポイントについて、歯学博士・クラジ歯科医院院長の倉治ななえ先生に教えていただきました。
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毛が細く、やわらかい歯ブラシでやさしく磨く
「歯ブラシの毛先がつぶれるぐらい強い力を入れて磨くと、歯の根元の部分がすり減り、歯茎が下がってしまいます。
歯ブラシは、毛が細くてやわらかく、密集しているタイプを選びましょう。
歯や歯茎を傷つけずに、やさしく汚れを取ることができます」(倉治先生)
フッ素入りの歯磨剤を使い、二次虫歯を防ぐ
「大人に多く見られる虫歯が、子どもの頃に治療した歯にできる二次虫歯です。
唾液の中には虫歯をつくる力の強いミュータンス菌がいて、治療で入れた詰め物と歯の隙間に入り込み、二次虫歯をつくります。
フッ素は虫歯菌の働きを弱め、歯質を強くします。
フッ素入り歯磨剤を使って唾液の中にフッ素を潜ませ、二次虫歯を防ぎましょう」
“直角”と“45度”に2回磨く
「虫歯をつくるミュータンス菌は、酸素があるところが好きで、歯の周りや唾液の中に住んでいます。
一方、歯周病菌は、酸素が少ない場所を好みます。
みなさんは、“歯周ポケット”という言葉を聞いたことはありませんか。
歯周ポケットとは、歯と歯肉の間の歯肉溝が4mm以上に進行した深い隙間のことです。
ここが深くなるほど酸素が行き届きにくくなるので、歯周病菌が生きやすくなります。
そのため、次の磨き方のステップのように、歯の周りだけではなく歯周ポケットの中まで掃除しましょう。
STEP1 歯ブラシに、フッ素入り歯磨剤を2cm程度つける
15歳以上の場合、つける歯磨剤の量は2cm程度が目安です。
STEP2 歯に対して歯ブラシを“垂直”にして磨く
1本につき20回ほど、歯の並びにそって磨きます。
STEP3 歯に対して歯ブラシを“45度”に傾けて磨く
歯と歯肉の間の歯周ポケットに毛先を入りこませ、さらに1本1本磨きます。
STEP4 フロスで歯間のプラークを取る
歯ブラシでは歯間の汚れを取りきれません。仕上げにフロスを使いましょう。
STEP5 少量の水で1回すすぐ
水の量は、10ml程度が目安。少量の水ですすぐと、口内に歯磨剤のフッ素が留まりやすくなります。
さらに、1日に1回は舌ブラシで舌を掃除すると菌を落とせ、口臭予防にもなります。
舌の根元のほうに歯周病菌が住んでいるので、奥まで掃除して。
また、外食後などすぐに歯磨きができないときは、キシリトール入りのガムやタブレットをとりましょう。
キシリトールには、口内の虫歯菌を減らして歯質を強くする働きがあります。
また、ガムをかむとだ液が出やすくなるので、食事をして酸性に傾いた口の中を中和できます」
日々のちょっとした心がけで、健康でキレイな歯を保つことができます。
教えていただいたポイントを参考に、ていねいな歯磨きを心がけてみて!
取材・文/掛川ゆり