花粉症の治療の基本は、アレルギー症状を改善する内服薬+点鼻薬ですが、そのほかの治療について、アレルギー専門医で花粉症にくわしいながくら耳鼻咽喉科アレルギークリニック院長の永倉仁史先生に伺いました。
Contents 目次
花粉症のレーザー手術はあり?なし?
花粉症の治療には、レーザー手術もあります。鼻の粘膜を焼き固めて、アレルギー反応が起こる“場所”そのものをなくしてしまおうという方法です。
「症状は消えますが、アレルギー症状を根本的に治すものではありません。粘膜が再生されれば、翌年にはまた症状が出てきます」(永倉先生)
その術後にも、リスクがあるといいます。
「鼻の粘膜は粘液と繊毛という細かい毛で保護されていますが、何度も手術をくり返すことで、かえって粘膜がダメージを受けてしまいます。鼻水が固まりやすくなり、鼻づまりがかえってひどくなるというリスクもあります」
日帰り手術が可能で、術後はアレルギー症状が消えてスッキリするため、くり返し受ける人もいるようですが、「長い目でみれば積極的に受けるものではない」と永倉先生は言います。
「それでも、お子さんが受験シーズンで、その年限りで受けたいという場合もあるでしょうから、レーザー手術を受ける場合は、かかりつけ医とよく相談しましょう。術後は粘膜が腫れて痛み、そこに花粉症が重なると、症状が強くなってしまいまので、手術を受けるなら、12月頃までに」と永倉先生はアドバイスします。
民間療法のアレは効く? 効かない?
市販の食品などにも花粉症を改善するといわれるものがあります。どうせ毎日食べるものなら、そうした食品を積極的に取り入れたいという人もいることでしょう。
さて、その効果は?
●ヨーグルト・乳酸菌飲料、乳酸菌サプリ
乳酸菌は、腸内の免疫バランスを改善して、アレルギー反応を起こしにくくするとして、ヨーグルトや乳酸菌飲料が人気を集めています。
「花粉症の時期に、乳酸菌で症状が改善したかどうか調べる実験では、『効果があった』とする人も多くいます。しかし、同じ実験で、薬理効果のない“プラセボ”と呼ばれる薬でも、同程度の人が効果を感じています。当院の患者さんでも、乳酸菌サプリが効いたとする方もいましたが、実際の効き目はその人しだいといえます」(永倉先生)
●甜茶
甘みのある中国茶で、抗アレルギー作用があるとされ、花粉のシーズンにはドラッグストアでもよく見かけます。
「症状を改善する効果をたしかめる実験では、あきらかに効果があるといえるまでの結果は出ていないです」(永倉先生)
自分で症状が改善すると思えるものなら、「基本治療は内服薬等で行い、その補助として使いたい」と永倉先生はアドバイスします。
取材・文/海老根祐子