花粉が舞う季節は、症状がやわらぐような対策も必要です。日常で気をつけたいことについて、アレルギー専門医で花粉症にくわしい、ながくら耳鼻咽喉科アレルギークリニック院長の永倉仁史先生に伺いました。
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花粉症を悪化させる「乾燥性鼻炎」に注意
花粉が飛び始めるのは2月中旬。空気が乾燥する季節です。この乾燥が花粉症には「大敵」と永倉先生は言います。
「空気が乾燥すると、鼻の中も乾きやすくなり、“乾燥性鼻炎”が引き起こされることがあり、注意が必要です。鼻の粘膜が傷み、刺激に対する過敏性が高くなる疾患で、花粉症がひどくなる一因になります。また、風邪やインフルエンザなどの感染症にもかかりやすくなってしまいます。感染症によって粘膜がダメージを受けたところに花粉症を発症すると、粘膜はダブルパンチを受けて、症状が倍増することも。室内は、適度な加湿が必要です」
快適に過ごせる室内の湿度は50%程度が目安。冬場は、加湿器を利用するなど湿度管理にも気をつけたいですね。ただし、加湿のやりすぎは、ダニやカビなどが繁殖する原因もなります。ダニやカビにアレルギーのある人は注意しましょう。
「外出時の乾燥対策には、保湿効果のあるワセリンを活用するのもおすすめです。鼻の入口に綿棒などでワセリンを塗っておくと、鼻の中が乾きにくくなります。花粉がワセリンに不着することで、鼻への侵入も防げます」(永倉先生)
また、就寝中に鼻がつまって口呼吸になってしまう人は、マスクをして寝るのもおすすめです。呼気によって適度な湿った空気が吸えることで、鼻炎の症状が悪化しにくくなります。
花粉症のつらい症状に効く3つのセルフケア
症状がつらいときには、応急処置を試してみましょう。
●鼻づまり⇒ホットタオルで蒸気を吸い込む
「ホットタオルの蒸気を吸い込むことで、鼻のとおりがよくなります。ミントなどのアロマオイルを1~2滴たらすとより効果的です」(永倉先生)
蒸しタオルは、電子レンジを使うと簡単です。きつく絞ったタオルを600wで1分間温めればOK。やけどに気をつけましょう。
●鼻のむずむず⇒生理食塩水で鼻うがい
「鼻の中をスッキリさせたいときは、鼻うがいをしてもいいでしょう。鼻から水を入れて、そのまま出す方法がやりやすいです。水道水は塩素が刺激になるのでNG。必ず生理食塩水を使います」(永倉先生)
●目のかゆみ⇒冷たいタオルを目の上にのせる
「かゆみは冷やすとラクになります。水で濡らし、軽く絞ったタオルを使うのが簡単です。オフィスなどではメイクが目に入らないように注意します」(永倉先生)
紹介した対策を参考に、花粉の季節を乗り切って!
花粉情報を毎日チェック!
花粉情報も毎日チェックしましょう。
「一日のうちで花粉量が増えるのは、正午前後。気温の上昇とともに、スギ林から花粉が舞い上がり、それが数時間かけて住宅地や都市部へ到達します。さらに、日没後は、上空に舞いあがった花粉が気温の低下とともに地面に落ちてきます。そのため、地上付近の花粉量が多くなります」(永倉先生)
会社のランチタイムや帰宅時間に重なる人は、花粉対策を忘れずに。
また、花粉が飛びやすい気象条件があります。
●晴天で、気温が高い
●気温が高い日が続いている
●空気が乾燥し、風が強い
●前日に雨が降り、気温が高くなっている
不要不急の用事がなければ、花粉が飛びやすい条件の日には、外出を控えるのも花粉対策といえます。
取材・文/海老根祐子