体を支えて毎日酷使される足。歩行のたびに足指を使うものの、足指をケアすることはあまりないのでは。「足に関心がないのは、健康に関心がないのと同じです」と話すのは、外反母趾・浮き指研究家で笠原接骨院院長・カサハラフットケア整体院院長の笠原巖(いわお)先生。足の疲れは、腰痛や肩こりなど慢性的な不調につながるそうです。自宅やオフィスで簡単にできる「足指ストレッチ」で、体の不調を改善しませんか。
Contents 目次
成人女性の8割が足に問題あり!?
成人女性の約80%、男性や小・中・高校生の約60%に、「外反母趾」「浮き指」「扁平足」がみられると話す笠原先生。外反母趾は、親指が小指側に15度以上曲がった状態、浮き指は、親指を押したときに90度以上反った状態、扁平足は足裏のアーチがなくなった状態をいいます。
「足指が踏ん張れない状態を放置しておくと、重心がかかとにかたより、足裏が不安定になります。足の痛みやタコ、巻き爪などのトラブルとともに体がゆがみ、姿勢の悪化を引き起こすのです。また、足裏のクッション作用が低下するので、ひざ・腰・首などゆがみの大きいところに、かかとからの突き上げがくり返されて痛みをもたらすことに…。さらに、足指がしっかり踏ん張れないことで、ふくらはぎや太もも、お尻が、足裏の不安定を補おうとして余計な筋肉を使い、むくみやだるさ、下半身太りを招いていてしまうのです」(笠原先生)
美姿勢と体の不調改善をもたらす「足指ストレッチ」
足指をこまめにほぐすと、かかとにかたよっていた重心が正常になり、足裏が安定。しっかり踏ん張れるようになると、正しい歩き方、美しい姿勢につながります。
「さらに、足裏から全身が重力とのバランスで効率よく保たれるので、ゆがみがなくなり、関節や神経の圧迫もよくなります。原因のはっきりしない足、ひざ、腰、首などの痛みや不調などの未病、ひとつずつ消えてくるのです」(笠原先生)
足指ストレッチ「グーパーリハビリ運動」
「踏ん張る力が低下した足は指の可動域が悪いため、手を使って指の付け根から動かすことがポイント! テレビを見ながらなど、毎日片足5分位を目安に行いましょう」(笠原先生)
親指の付け根から深く握り、足裏に向かって曲げる「グー」の動きをします(写真1)。反対の手は甲をしっかり持ち、足首が動かないようにします。内側に曲げて、戻す動きを繰り返します。
慣れてきたら、親指を指の付け根から左右にグルグル回す「パー」の運動で、親指を中心に可動域を広げます(写真2)。体を支える一番大きな力となる親指を中心に行うことで、他の指も連動します。
※足に痛みがあるときは行わず、痛みが取れてから行いましょう。
足指ストレッチ「足裏爪刺激」(あしうらつめしげき)
「裸足で土の上を歩く感覚を取り戻す、足裏爪刺激。足指がしっかり踏ん張れるように刺激し、反射を呼び起こします。少し痛いくらい刺激するのが目安です」(笠原先生)
両手の親指の爪を立てて、足裏全体を刺激しましょう(写真3)。
さらに、自分で足裏のバランスを整え、ほぐした足指をいい状態で維持するために笠原先生がオススメするのは「足裏バランステーピング法」。足の甲をテーピングで巻くことで「支点」と「作用点」を押圧し、ゆるんだ足裏のアーチをサポートします。さらに親指と小指を広げることで、残りの3本も自然と開き、踏ん張れるように促します。伸縮性のテープを用いて引っ張るのは半分程度です。足の横幅をサポートするのがポイントです(写真4)。
「何回か練習は必要ですが、うまく貼れるようになると自分に足に合わせた矯正が行えます。カサハラ公式サイトでも巻き方を紹介しているほか、「足健(あしけん)講座」で自分でできるテーピング指導も行っているので参考にしてみてください。」(笠原先生)
テーピングが面倒という方は、先生が開発した履くだけで足裏のバランスを整えられるグッズもあるとか。気になる方はぜひ試してみてはいかがでしょうか?
忘れがちな足のケア。足指をしっかりほぐして体の不調と上手にサヨナラしたいですね。
文/田中瑠子