昔に比べて「寝つきがよくない」「朝の目覚めが悪い」など、最近、睡眠の質が落ちていると感じることはありませんか? 睡眠不足が続くと、脳や体へのダメージが蓄積され、病気のリスクが高まるとも言われています。そうならないためにも、良質な睡眠を手に入れるためにすべきことを、コンディショニング・トレーナーの桑原弘樹先生に教えていただききました。
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睡眠の質を上げる3つのポイント
勝負の世界で生きているアスリートは、私たちの何倍も強いストレスにさらされる生活を送っています。そのため、睡眠に悩みをもつ人も多いのだとか。
「寝不足で力が発揮できない…なんてことにならないために、アスリートはどのように対処していると思いますか?
実は誰でもできる簡単な心がけを行うだけで、睡眠の質はグンとアップするのです。そのひとつが、睡眠を浅くする要因をなるべく行わないこと。私はそれをNG集と呼んでいます」(桑原先生)
NG集とは、寝る直前に控えた方がよい行為を集めたもの。
例えば、
- 緑茶やコーヒーといったカフェインを含む飲みものを飲む
- パソコンやスマホを操作する
- 熱いシャワーを浴びる
といったこと。
これらはすべて、『元気になる』『目が覚める』『脳を覚醒する』行為なのです。みなさんも、無意識のうちに行っていませんか?
もちろん、NG集をまったく行わないのが理想ですが、それがストレスとなってしまっては本末転倒。
まずは自分が行っているNG習慣を書き出すことから始めてみましょう。
そして、その中からガマンできそうな項目を3つ選び、控えるよう心がけてみてください。
「NG集は夜寝る前にNGなだけであって、むしろ朝はGOOD集になります。朝、目覚めが悪いときは、カフェインをとったり、熱いシャワーを浴びてみてください」
そして、もうひとつ心がけたいのは寝室の環境。そのためには、
- 適切な室温をキープする(寒い部屋で温かい布団の中で眠るのがベスト)
- 自分に合ったまくらを使う(ほかの人にとってよいものが、自分にも合うとは限らない)
- 寝るときは部屋を明るくしない
- 寝室は清潔にしておく(シーツは小まめに洗濯する、物を散らかさない)
ということに気をつける必要があります。
桑原先生曰く、忙しいアスリートも寝室だけはキレイにしているという人が多いのだそう。
最後にもうひとつ心がけたいのは、眠り始めの「成長ホルモン」を増やすこと。
「『成長ホルモン』は、寝ている間に体の機能を回復してくれる重要なホルモンです。
ただし残念なことに、いくら長時間眠ったところで、眠り始めにしか分泌されません。アスリートに絶大な人気の『エキストラアミノアシッド』はお試しの価値アリです」
寝つきをよくするためのコツ
では、布団に入っても、なかなか寝つけない…という人はどうしたらよいのでしょう?
「人間は体温が下がると眠くなるという性質を持っています。
寝る前に、今から体温を下げろと言われてもなかなか難しいと思いますが、体温を上げることは簡単です。
そこでおすすめなのが、ホットミルクを飲んだあと、ぬるめのお湯で半身浴をすること。
温かい飲みもので体の内側を温め、さらに半身浴で体の外側を温めておくと、布団に入るころには体温が下がり、いつもの体温に戻ります。つまり眠気が誘発されやすくなるのです」
牛乳が苦手という人は、代わりにノンカフェインのお茶を飲んでも構いません。
ですが牛乳には「トリプトファン」というアミノ酸が含まれており、これはリラックス系の神経伝達物質の材料になります。
「トリプトファン」は脳内で「セロトニン」という物質へと変化した後、さらに「メラトニン」という睡眠ホルモンへと変化します。
この「メラトニン」には眠りをサポートする働きがあるため、その量が多いほどよく眠れるようになるのです。
そしてもうひとつ大切なのは、入眠儀式(ルーティン)。
「そもそも眠るという行為は、無防備な状態。私たち人間も含め動物には、本能として眠ることは怖いことという情報がインプットされています。
そこで脳に、眠ることは日常の行動の延長線上だと思わせることが大切なのです。寝る前に必ず行うルーティンがあると、眠りに入りやすくなりますよ」
「寝ても寝ても眠い…」「なかなか寝つけない」など睡眠でお悩みの人は、アスリートも実践する睡眠法をとりいれて、良質な睡眠を手に入れてみませんか?