スギ花粉が飛ぶ季節になりました。花粉症は、くしゃみ、鼻水などの鼻炎症状だけではく、目がかゆい、痛い、ゴロゴロするなど、目に強い症状が現れる人もいることでしょう。目の花粉症対策について、目のアレルギーに詳しい、みさき眼科クリニック院長の石岡みさき先生に伺いました。
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目の花粉症は、アレルギー性結膜炎。症状はドライアイと紛らわしい
まず、症状についてみていきましょう。
●どんな症状?
“目の花粉症”は、季節性アレルギー性結膜炎のことです。
「代表的な症状は、目のかゆみ。アレルギー物質が涙で流され、鼻側にある“涙点”から鼻へと排出されるため、目頭だけにかゆみを感じることがあります。
かゆみだけではなく、目が痛い、ゴロゴロする、目が重い、充血、目やに、涙目、目が乾くとった症状が出ることもあり、ドライアイと区別がつきにくいケースもあります」(石岡先生)
●検査でアレルギーかどうか判別
気になる症状がアレルギーによるものかどうかは、血液検査(IgE抗体検査)やアレルウォッチという検査で鑑別します。アレルウォッチは、下まぶたに検査紙をはさんで涙を採取し、アレルギー性結膜炎かどうかを判定する検査です。アレルゲンは特定できないので、もっと詳しいことを知りたいなら、血液検査を行います。
「しかし、目だけに症状が出る場合、血液検査でも、はっきり陽性と出ないことがあり、花粉の時期だけに症状があれば、花粉症と判断しています」(石岡先生)
点鼻薬で目の症状も治まる!?
では、目の花粉症では、どのように治療するのでしょうか。
●どんな治療があるの?
治療は、点眼薬、点鼻薬、内服薬を症状によって、組み合わせていきます。
「目には、点眼薬を使います。抗ヒスタミン剤の入った『パタノール』『アレジオン』などです。症状がひどい場合、ステロイド点眼薬を用いることがありますが、副作用として眼圧が上がり、緑内障のリスクを高めるため、医師の指導のもとで使います。
鼻の症状がある場合、点鼻薬を加えます。点鼻薬で、鼻の粘膜へのアレルギー反応を抑えると、目の粘膜にも作用して、目の症状も治まるという報告もあります。点鼻薬で症状が治まらないようなら、『アレジオン』などの内服薬をプラスします」(石岡先生)
花粉症という診断がつけば、眼科、耳鼻科、内科などで点眼薬、点鼻薬、内服薬をすべて処方してもらえるので、いくつも病院を回る必要はありません。
●市販の点眼薬でもOK?
症状が軽い場合、まずは市販の点眼薬で様子を見てもOKです。
「薬局で売られている一般的なアレルギー用の点眼薬には、一世代前の抗ヒスタミン剤が入っています。『ザジテン』には処方薬と同じ成分が入っていますが、目にしみると言われており、苦手な人もいるようです。市販薬で効果がないと感じたら、眼科で点眼薬を処方してもらうといいでしょう」(石岡先生)
●点眼薬を使うときの注意
「使う回数を守って」と石岡先生は注意を促します。「点眼薬には塩化ベンザルコニウムという防腐剤が入っていることがあります。使いすぎると、塩化ベンザルコニウムが原因で目の表面が傷ついてしまうことも。また、ステロイド点眼薬も、指定された回数以上を使うと、副作用のリスクが上がります。指定された回数以上は使わないようにしましょう」(石岡先生)
目の花粉症も、「花粉が飛び始める前から抗アレルギー薬を内服する初期療法が効果的」と石岡先生は言います。今シーズンは間に合わなかった人は、来シーズンにトライしてみましょう。
取材・文/海老根祐子