3月4月は環境の変化が著しい時期であったり、仕事がとくに忙しかったり、と精神的にも落ち着かないですね。そんなとき、薬膳的にぜひ口にしたい食材が紫蘇とたまねぎなのだそう。国際中医師・岡尾知子さんにそれぞれの食材の効能とじょうずなとり方、レシピを教えていただきました。
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春は「肝」の働きが活発化
三寒四温。3月になり、ポカポカと春らしい日が増えてきました。新生活を迎える人もいて気持ちがウキウキする時季ですが、じつは3月は自殺が最も多い月だということをご存じですか? 「受験、卒業、就職などで生活が変わるから」と思うかもしれませんが、この傾向は日本だけではないとのこと。不思議ですね…。
春にメンタルを傷めてしまう理由は、中医学的に考えると納得できます。中医学では、春は五臓の「肝」の働きが旺盛になる季節。肝は肝臓の肝ですが、それと同時に気の巡り、つまりメンタルに深くかかわる臓腑とされています。春になると、肝が急激に活発になるため、イライラ、モヤモヤが募ってしまうのです。みなさんも心当たりはありませんか?
それを防ぐには、気の滞りをパーッと発散させることがいちばん! でも、まだまだ寒い3月。身も心も縮こまっていますから、なかなかそれがかないません。最近、ちょっとしたことにイライラしたり、ネガティブな気持ちになったりするとしたら、それは気の流れが失調しているからなのかもしれません。
発散させて巡らせる最強ペア
そんな今の季節には、何を食べればいいのでしょう。おすすめは紫蘇とたまねぎです。
薬膳では、紫蘇は、発散させる作用のある食材。風邪をひいたときにもすすめますが、爽やかないい香りは、鬱々とした気を発散させるのにも有効です。ほかにも、消化機能を整えたり、魚や蟹の毒を消したりと、さまざまな効果があるとされます。新しい研究では、紫蘇にはアレルギー症状を緩和する物質が含まれることが判明。花粉症の人の中には、紫蘇のジュースやお茶を飲む人も多く、今の時期の不調に心強い存在といえるでしょう。
たまねぎは、気の巡りを促す食材。停滞した気の流れを助けてくれ、ストレスやストレスによる消化機能の低下に有効とされます。また、たまねぎの辛味成分である硫化アリルは、血液をサラサラにする作用が。寒さで縮こまっていた体の気と血の巡りを助ける食材として、積極的にとりたいですね。
紫蘇とたまねぎは、五味に分類すると、どちらも辛味がある食材。辛い味は体を温め、発散を促す性質があります。春とはいえ寒さが残るこの時期には、体を温める意味でもうれしい食材ですね。
何かとストレスを感じやすいこの時期は、忙しくしすぎず、時間と気持ちに余裕をもって過ごすことが大切。予定がいっぱいの日も、少しでいいのでホッとひと息つく時間をもちましょう。リラックスには、紫蘇と同様に香りのいいジャスミンティーを飲んだり、柑橘類の香りをとり入れたりするのもおすすめ! 香りのパワーと気巡り食材でこまめに緊張を取り除き、毎日をスッキリ気分でお過ごしください。
紫蘇とたまねぎを使ったおすすめレシピ
トロトロたまねぎのポトフ
1人分239kcal
材料(2人分)
たまねぎ 2個
セロリ 1本
ベーコン(ブロック) 80g
コンソメキューブ 1個
ローリエ 1枚
プチトマト 6個
塩・こしょう 少々
イタリアンパセリ 少々
作り方
(1)たまねぎは上下を切り落とし皮をむく。セロリは葉を切り分け、茎は大きめに切り、葉の部分はタコ糸でしばっておく。ベーコンは4等分に切る。
(2)鍋にたまねぎ、セロリ、ベーコンを入れ、かぶるくらいの水(分量外)とコンソメ、ローリエ、しばったセロリを入れて火にかける。沸騰するまでは強火、沸騰したら火を弱め、アクをとりながら20分コトコト煮る。
(3)(2)のセロリの葉の部分のみを取り出し、ヘタをとったプチトマトを加えてさらに10分煮たら、塩・こしょうで味を調える。
(4)器に盛り、イタリアンパセリを添える。
薬味たっぷりごちそう茶漬け
1人分385kcal
材料(2人分)
紫蘇 2枚
みょうが 1個
万能ねぎ 1.5本
三つ葉 少々
市販の漬けもの(しば漬けなど)適宜
ごはん 大盛り2膳分
しらす 50g
白ごま、わさび 各適宜
緑茶 適量
作り方
(1)大葉、みょうがは千切りに、万能ねぎは小口切り、三つ葉、漬けもの類は細かく切る。
(2)大ぶりの茶碗にごはんを盛り、(1)の薬味と残りの材料をのせ、お茶をかけていただく。
たまねぎとキャベツの香りステーキ
1人分215kcal
材料(2人分)
たまねぎ 1個
キャベツ 1/4個
にんにく 1片
バター 10g
サラダ油 大さじ2
しょうゆ 大さじ1~2
黒こしょう(粗びき) 少々
パセリ 少々
作り方
(1)たまねぎは上下を切り落としてから皮をむき4等分の輪切りにして、バラバラにならないようにつまようじを指して固定する。キャベツは芯を残したまま縦に4等分する。にんにくは繊維に対して直角にスライスする。
(2)大きめのフライパンにサラダ油(大さじ1/2)を熱し、たまねぎを入れ中火で5~6分、返してふたをして弱火で5~6分焼き、皿に取り出す。サラダ油(大さじ1/2)を追加し、キャベツを入れて、強火で1~2分、裏返してふたをして中火で1~2分焼き皿に取り出す。
(3)(2)で使ったフライパンに、サラダ油(大さじ1)、バターとにんにくを入れて、香りが出たらしょうゆを加えソースをつくる。(2)のキャベツとたまねぎをフライパンに戻し、ソースとあえる。
(4)皿に盛りつけたら、こしょう、パセリを散らす。
写真/安井真喜子