生理前になると気分が落ち込む、イライラする、食欲が止まらない…などの心や体の変化。これらは女性ホルモン、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」が関係しているといいます。約28日の周期でめぐってくる心や体の変化のバランスが乱れそうなとき、ツボ押しをとり入れるのがおすすめです。
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女性はホルモンの影響でバイオリズムが崩れやすい
肌の調子もよく、髪つやもいい。気持ちも前向きで明るい気分だったのに、うってかわって生理前になると、なんだか調子がいまひとつ。むくみやすかったり、ちょっとしたことで落ち込んだり、イライラして人にあたってしまうなんてことはないでしょうか。個人差こそあれ、女性の体は美容面や体調、メンタル面など1か月のうちでアップダウンがあるはず。
これには2つの女性ホルモン、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」が関係しています。どちらも妊娠・出産に大きくかかわるホルモンですが、女性の体や心はこの影響を大きくうけています。
エストロゲンやプロゲステロンは妊娠・出産にはかかせないホルモン
ではこのホルモン、どういった働きをしているのでしょうか?
エストロゲン(卵胞ホルモン)は女性らしさの象徴ともいえるホルモン。丸みのあるボディラインをつくったり、肌にハリを出したりいきいきとした雰囲気をつくり出します。また、卵胞を育てたり、子宮内膜を厚くするなど妊娠、出産にはかかせないホルモンです。
ほかにも自律神経や感情の働きを整え、落ち込みを防ぎ前向きな気分にさせてくれるなど重要な働きをしています。一方プロゲステロン(黄体ホルモン)は、排卵後、生理が始まるまで高温期を安定させる大切な働きをしています。(妊娠した場合はこの高温期が持続)。このホルモンが活発になると体温が高くなるので、皮脂分泌が活発になり、人によっては肌トラブルを感じたり、乳腺にハリを感じる人もいるでしょう。食欲を増進させるので、体重が増えやすい時期でもあります。またメンタル面では落ち込みやすくなったり、精神的にも不安定になる人も。
約28日の周期でめぐってくる心や体の変化は、
①生理期、②エストロゲンの分泌が増える卵胞期、そのあとにくる排卵。そして、③プロゲステロンの分泌が増える黄体期の3つに大きく分かれます。
ホルモンバランスによるアップダウンは年齢や個人差こそあれ、ある程度は仕方のないこと。バランスの崩れが起きやすい時期を知っておき、ツボ押しで補ってみませんか? ツボ押しは親指の腹か人さし指で気持ちいい程度に押してください。押すときは息を吐き、吸うときにツボから指をゆっくり離すを3~5回程度くり返します。
~生理期のツボ押し~ 生理痛を緩和するツボ押しで不調を少しでもラクにする
東洋医学的にみるとこの時期は、月経によって体から血液が奪われるため「血虚」という状態になりやすくエネルギーが不足気味になりがちです。生理の調整をしてくれる代表的なツボは、「血海」。「血海」は、経血の排出をスムースにするツボとしても知られています。
生理時はなるべく血を作る食材、赤味やレバー、あさり、かつお、ひじきなどを積極的に摂りましょう。睡眠不足も血を奪うので、夜更かしはほどほどにし、ムリをしすぎずのんびり過ごすのがいちばんです。
生理の初日や二日目ぐらいまでは不調な人が多いですよね。それにはプロゲステロンとの関係があります。このホルモンは排卵後から次の生理にかけて多く分泌され、妊娠していなければ生理が始まるころには低下します。高温期を保つ役割があるプロゲステロンですが、生理の少し前から分泌が減り体温を下げるので冷えを感じてしまうのです。
冷えがあると、血行が悪化し生理痛を増幅させてしまうのでお腹まわりや足まわりは温めてください。生理痛には「中極」「帰来」がおすすめ。
血海(けっかい)
ツボの場所
ひざのお皿の内側から、指3本上にあがったところ。経血の排出の流れをスムーズにする。
中極(ちゅうきょく)
ツボの場所
おへそから指5本分下。恥骨から親指1本分上のところ。
帰来(きらい)
ツボの場所
中極から左右に指3本分触れたところ。中極、帰来ともに生理痛の緩和や生理不順に役立つ。優しく押しても、痛みを感じるようならやめておきましょう。
~生理後から卵胞期、排卵までのツボ押し~ 骨盤まわりの血流をよくしてさらに女ホル力全開に!
排卵までは、エストロゲンの分泌が活発になります。肌ツヤもよくメンタルも前向きで明るくなるので、1か月のうちでいちばん心身ともに調子がよいはず。女性として魅力的にみえるときでもあります。人間のエネルギーの源である「気」や体をめぐる「血」が充実しているので、それを整えてあげることでさらに女ホル力アップ! とくに骨盤まわりや子宮周辺の気血のめぐりを良くする「八りょう穴」「気海」などのツボを刺激してあげましょう。
血行を促すビタミンEを含んだ食品や鳥肉、牛ヒレ肉、鮭など良質なたんぱく質をとることもおすすめです。生理後から、排卵までは代謝もよいので、ダイエットをはじめるにも最適、ちょっとハードめな運動をしてもOKです。
八りょう穴(はちりょうけつ)
ツボの場所
お尻の中心にある仙骨という平らな骨の中心線から、左右4つのくぼみが八りょう穴。子宮の神経支配に関連している大事なツボで、骨盤内の血行を促進できる。自律神経とも深いかかわりが。ツボ押しでなくてもこの部分を骨盤のあたりに温かさを感じるまで手の平でさすればOK。
気海(きかい)
ツボの場所
おへその指2本分下。全身の血流がよくなる。お腹まわりの気が滞っている人は痛みを感じることもあるので、強く押しすぎないように注意。
陽池(ようち)
ツボの場所
手の甲側で手首の横じわの中央。血行がよくなる。お灸もおすすめ。
~黄体期 排卵から生理前までのツボ押し~ PMSがおこりやすいこの時期は、イライラをツボ押しでおさえよう
排卵後から生理がはじまるまでは、プロゲステロンの働きが活発になります。このホルモンは妊娠しやすく、また維持できるように体温を高めたり子宮内膜を厚くふかふかにします。ただ、このときホルモンバランスの変化で情叙が不安定になりPMSに悩む人も。
月経後のイライラや倦怠感は、東洋医学では血と関係が深い「肝」にトラブルがあるためとも考えます。「気」「血」のめぐりがあまりよくないと、イライラしやすくなったりするのです。そんなアンバランスさを整えてくれるのが婦人科系の特効穴「三陰交」。ここを刺激することでPMSやこの後くる生理痛が和らぐという人もいます。
ただし、妊娠の可能性があるときは、三陰交を刺激することはやめておきましょう。この時期、足がむくみやすい人は、ベビーオイルなどを使って、足を軽くマッサージをするのもOKです。くわえて、イライラやもやもやがある人は「労宮」もおすすめ。「労宮」を押しながらゆっくり深呼吸をすることで、気持ちを落ち着かせることができます。
排卵後は体がエネルギーをためこもうとするので食欲がわきます。いつもより食べ過ぎてしまうのは生理現象のようなものなので、ムリにおさえこもうとせず、食べる内容を気遣って。たとえば、甘いものが食べたいなら黒砂糖やメープルシロップを使ったものを食べる。フルーツやナッツで代用するなど工夫してみましょう。
三陰交(さんいんこう)
ツボの場所
内くるぶしの骨から指4本分上の位置。骨のうしろ側で少しへこんでいるところ。婦人科全般に効く万能ツボ。
労宮(ろうきゅう)
ツボの場所
手の平側に手の中指を曲げたとき、指の先端があたるところ。緊張を緩和させることができる。
大衝(たいしょう)
ツボの場所
足の親指と人さし指の間をなぞっていくと指がとまり、押すと痛いところ。精神的不安やストレスをときほぐしてくれる。ちょっとしたことでイライラしやすい人にもおすすめ。
自分のホルモンサイクルをしって、ぜひ毎日の生活にツボ押しをプラスしてみてはいかがでしょう。なお、生理トラブルがある人は、病院の医師に相談することも忘れずに。
イラスト/湯沢知子