まずは、片頭痛の症状かどうかをチェック！

日頃から頭痛に悩まされている人は、以下にあてはまる項目があるかどうか、チェックしてみましょう。

こんな症状をCheck！
□頭の片側あるいは両側に、ズキズキンという強い痛みが発作的に起こる。
□頭痛は4時間から2～3日続くこともある。
□吐き気・嘔吐を伴うことがある。
□頭痛の時は光や音をわずらわしく感じる。
□頭痛の前に、目の前にキラキラが見えたり、生あくび、イライラ、肩こり、食欲増進などの体調変化がある。
□頭痛のときは、体を動かすと痛みがひどくなる。
□頭痛が起こると、じっとしているしかなく、会社に行けないなど日常生活に支障が出る。

いかがでしたか。ひとつでも当てはまる項目があれば、あなたの頭痛は、「片頭痛」かもしれません。

片頭痛の主な症状はズキンズキンとした痛み

では、片頭痛の特徴をくわしくみていきましょう。症状はどのようなものでしょうか。
「片頭痛は、頭の片側あるいは両側に、脈打つようにズキンズキンとした強い痛みが起こり、体を動かすと痛みがひどくなります。くり返す痛みに脳が敏感になり、ちょっとした刺激でも頭痛を感じるようになることもあります。

頭痛に伴って、吐き気、おう吐がみられたり、音や光、臭いが気になります。頭痛の前に、数分～数十分、ギザギザした光が見えるといった“前兆”がある人もいます。頭痛は4～72時間ほど続き、月に1～2回、多いときで週に2回ほどくり返します」（五十嵐先生）

片頭痛の原因は、はっきりとはわかっていませんが、痛みを感じるメカニズムとして、近年有力視されているのが、痛みを感じる神経“三叉神経”の関与です。
「三叉神経は脳の血管の周りや硬膜にある神経で、何らかの“刺激”が伝わると、CGRPなどの神経伝達物質を放出。それによって血管が拡張して血管周囲に炎症が起こり、さらに三叉神経を刺激。その興奮が痛みとして脳に伝わることで頭痛が起こる、と考えられています」（五十嵐先生）

片頭痛の誘発因子＝スイッチとなる“刺激”は、さまざまです。
「主な誘発因子は、ストレス、肩こり、月経、寝不足・寝過ぎ、空腹、人混み、まぶしい光、低気圧などです。ワイン、チョコレート、チーズといった食べ物も誘発因子としてよく挙げられていますが、片頭痛持ちの人すべてにあてはまるわけではないので、あまり神経質になる必要はありません」（五十嵐先生）

また、遺伝的な要素と環境的な要素も影響するそうです。
「肉親に片頭痛のある人には起こりやすいといわれています。一卵性双生児の場合、一人が片頭痛持ちであれば、もう一人もそうなる可能性が高いという報告があります。一方で、夫婦のどちらかが片頭痛持ちだと、パートナーも片頭痛持ちになる確率も高くなるデータもあり、環境も影響するようです」（五十嵐先生）

片頭痛はイベントの日に出やすい

一般的に、片頭痛が起こりやすいのは、「生活パターンが変わるとき。つまり、イベントの日に出やすい」と五十嵐先生は話します。

「旅行が最たる例です。早起きをする、日差しの中を歩く、初めての場所で緊張するなど、“刺激”がいくつも重なるため、片頭痛が起こりやすくなるのです。ハワイ旅行の間、ずっと頭が痛かったという患者さんもいます。また、早起きをしてお弁当を作る、炎天下で応援するといった子どもの運動会やスポーツの試合、年末年始なども出やすいといえます」（五十嵐先生）

また、緊張から解き放たれ、リラックスしているときに出やすいのも片頭痛の特徴。「緊張とリラックスの落差が一因です」（五十嵐先生）。週末に片頭痛を訴える人も多く、“週末頭痛”とも呼ばれています。

取材・文／海老根祐子