健康診断や献血などで行われる血液検査。「1年に1回だし・・・」「数字の見方がよくわからない」など、細かい検査項目まではあまり気にしない人が多いけれど、実はこの数値をひも解くと、あなたの体の状態が丸わかりに!
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自覚症状があまりない病気のリスクもわかる
「血液の主な役割は、各組織に栄養や酸素を運び、老廃物を排出すること。これは、血液の細胞成分である赤血球が担っています。また、白血球は体内に侵入した異物と戦い、病気から体を守る免疫力の要です」(東京慈恵会医科大学・和田高士先生)
そのため、現在の体の状態や、どんな病気のリスクが潜んでいるかを知るには、血液検査が有効。
「貧血や糖尿病など、自覚症状があまりない病気もわかります。悪化する前に、自分の検診結果の内容をしっかり見直して、グレーな数値があれば、早めに改善しましょう」
血液を調べるとなにがわかる?
血液の細胞成分と、血液に溶け込んだ物質を調べれば、血液の状態はもちろん、腎臓、肝臓、すい臓など臓器の異常も判明!
血液の細胞成分を調べると・・・
細胞成分の数や機能に異常がないかわかる
血液を構成する赤血球や白血球、血小板の数や血液に占める割合を調べるのが血液一般検査。貧血かどうか、感染症や白血病、血栓ができやすいかなどのリスクがわかります。
溶け込んでいる物質を調べると・・・
肝臓や腎臓の機能に異常がないかわかる
血液の液体成分に溶け込んでいる糖や脂質などの物質を調べるのが血液生科学検査。糖尿病や脂質異常のリスク、肝臓や腎臓機能の異常など、さまざまなことがわかります。
今回は、ダイエットにも密接に関係する2種類の項目をチェック!
赤血球でわかる【貧血】
貧血とは文字通り、血液の成分が貧弱ということ。これは血液中のヘモグロビン量を調べればわかるそう。
貧血にもいろいろ種類がありますが、8割以上を占めるのは鉄欠乏性貧血。鉄は肉や魚などに多く含まれているため、食事制限のダイエットでこれらをあまり食べていない人は、鉄が不足しがち。貧血になると、体内に酸素が行き届かず代謝が落ちたり、疲れやすくなって運動効率もダウン。
主な貧血のタイプをチェック!
貧血には、赤血球の数が減ってしまうもの、赤血球の数は正常でも機能が低下してしまうもの、赤血球の合成に問題があるものなど、さまざまな種類があります。
- 鉄欠乏性貧血:鉄不足によるヘモグロビンの減少
- 溶血性貧血:赤血球の寿命が短く数が減少
- 巨赤芽球性貧血:ビタミンB12や葉酸不足で赤血球合成に支障
鉄欠乏性貧血の改善法
- 肉を食べて吸収のよい鉄をとる
- ビタミンCを一緒に摂って
- サプリメントも活用
野菜に含まれる非ヘム鉄より、動物性食品に含まれるヘム鉄のほうが吸収力が高いため、肉や魚をしっかり食べて。ビタミンCは鉄の吸収を助けるため、肉や魚にレモンや大根おろしを添えるとより効果的。
血中脂質でわかる【コレステロールや中性脂肪の異常】
コレステロールや中性脂肪など、血液中の脂質量を調べることで、血管の詰まりやすさや動脈硬化のリスクがわかります。気をつけたいのはLDLコレステロールとHDLコレステロール、中性脂肪の3項目。
この3つのうちどれかが異常な値を示す状態を脂質異常症と呼び、動脈硬化の原因に。脂質異常症の原因には遺伝のほか、食べ過ぎや飲酒、運動不足や肥満などが原因の場合も多いため、生活習慣に注意が必要。
血中脂質の状態をチェック!
- LDLコレステロール(悪玉):140㎎/dl以上だと要注意
- HDLコレステロール(善玉):40㎎/dl未満だと要注意
- 中性脂肪:150㎎/dl以上だと要注意
悪玉のLDLコレステロールが多い場合、善玉のHDLコレステロールが少ない場合、また中性脂肪が多い場合の、いずれか1つにでも該当すれば脂質異常症と診断されます。
血中脂質異常の改善法
脂質や糖質の過剰摂取を抑える
コレステロールは脂質や糖質からも合成できるため、卵などコレステロールの多い食品を避けるだけでなく、脂質や糖質のとり過ぎも控えることが大切。コレステロールの排出を促す食物繊維は、積極的にとって。
適度な運動で善玉コレステロールを増やす
血液中の余分なコレステロールを回収する善玉コレステロールは、運動の効果で増加。特に有酸素運動は、善玉コレステロール値を上昇させる効果が高くみられるので、ウォーキングなどを毎日30分以上行って。
数値を見るだけで、あなたの体の状態がわかる血液。採血は痛いけど、健康的にダイエットするためにも、ぜひ自分の体と向き合ってみて!
監修/和田高士、取材・文/宝田明子