かゆみ、痛み、おりものの異常など、デリケートゾーンの悩みは、なかなか人には相談しづらいもの。なかでも、“かゆみ”はガマンするのもむずかしく、対処法に困ってしまいますよね。都内のクリニックなどで診療にあたる一方、メディアでも活躍する産婦人科医の丸田佳奈先生に、気になるデリケートゾーンのかゆみについて伺いました。
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<カンジダ膣症> デリケートゾーンのかゆみはストレスも原因に!?
女性のデリケートゾーンのかゆみで多くみられるのは、カンジダ膣症によるものです。
どんな病気? 原因は?
カンジダ菌という真菌(カビの一種)が、膣内で増殖することが原因です。かゆみは強く、膣内にもムズムズ感があり、熱っぽい感じがします。また、おりものは白っぽく、量が多くなり、カッテージチーズ状のかたまりが見られることもあります。
「カンジダ菌は、もともと膣内にいる菌で、ふだんは膣内の環境を良好に保つ“デーデルライン桿菌”という常在菌によって増殖が抑えられています。しかし、風邪、疲れ、ストレスなどによって免疫力が低下したり、抗生剤の服用などでデーデルライン桿菌が減少すると、環境のバランスが崩れ、カンジダ菌が増殖。カンジダ膣症を発症しやすくなります。
カンジダ菌は、皮膚などにも存在して、それがセックスを通して膣内に入って、発症することもありますが、膣内の環境のバランスが崩れることで発症するほうが多く、セックス未経験者でも発症します」(丸田先生)
どんな治療をするの?
「抗真菌薬の膣錠、外陰部のかゆみは軟膏またはクリームで治療します」(丸田先生)
膣錠は、自宅でも決められた日数分を使い切ります。
「体のコンディションがよくなり、デーデルライン桿菌が増えてきて、膣内がふたたびバランスのとれた状態になれば、自然治癒することもあります。ただ、かゆみが強い場合は、自然治癒を待つのはつらいかもしれません。婦人科で治療を受けたほうが、ラクになるし、治りも早いです」(丸田先生)
ビデで膣内を洗浄したり、風邪などで病院からもらった抗生剤を自己判断で服用するのはせっかく増えてきたデーデルライン桿菌まで洗い流したり、殺菌してしまう可能性もあるのでNGです。
カンジダ膣症の発症は、体調にも左右されやすいので、日頃からストレスや疲れをためないように、体調を管理することも予防になります。
市販の治療薬を使ってもいい?
「カンジダ膣症と婦人科で診断され、再発したときに限って、市販の抗真菌薬の膣錠、軟膏を使うことができます。『カンジダかも』といって来られる患者さんの中には、細菌性膣症やかぶれというケースもみられます。こうした症状では、抗真菌薬は効きません。かゆみがあるからといって、カンジダ膣症だと自己判断して、市販の治療薬を使わないようにしましょう」(丸田先生)
<細菌性膣症>大腸菌などの雑菌が繁殖することでも、かゆみが起こる
細菌性膣症でも、デリケートゾーンのかゆみがみられます。
どんな病気? 原因は?
「膣内には環境を良好に保つ“デーデルライン桿菌”という常在菌がいますが、この正常細菌とは異なる細菌が過剰に繁殖することで起こります。ひどくなると、おりものが臭うこともありますが、気にならないことがほとんどです」(丸田先生)
どんな治療をするの?
「抗生剤の膣錠挿入または内服で治療しますが、放っておいても自然治癒することも多く、軽症であれば薬を出さないこともあります」(丸田先生)
デリケートゾーンのかゆみといっても原因はさまざま。気になる症状があるときは、婦人科へかかりましょう。