慢性化している腰痛は原因不明とされることが多く、じつはふだんの習慣に原因がある場合があります。一見、腰痛とは関係がないように思える習慣でも、「腰痛負債」になっている可能性があるのです。腰痛意識して変えていくことによって腰への悪影響を抑えましょう。今回は、日本腰痛研究開発機構の『あなたの腰痛が治らないのは治し方を間違えているから』(アスコム)から、特に腰痛を招きやすい生活習慣ついてお伝えします。
Contents 目次
腰痛を招く生活習慣
生活習慣によって密かに蓄積していく腰のダメージは、いわば「負債」とでもいうべきものです。日本腰痛研究開発機構では、これを「腰痛負債」と表現しています。
重力に逆らって二足歩行をしている私たち人類は、加齢によって徐々にこの「腰痛負債」を背負っていっているわけですが、生活習慣によっては、一気に負債がふくらみ、 重大な問題を抱えることにもなります。 一時的に痛みがひいても何度もくり返し腰が痛くなってしまう方は、「腰痛負債」をためていないか、自分の生活習慣を見直してみてください。
負債1 食生活・・・肥満は腰の大きな負担
肥満は腰痛を招く要因の一つだと考えられています。
立っている間も座っている間も、腰は絶えず、上半身の体重を支え続けています。
どの程度の負荷がかかっているかというと、体重70kgの人の場合、もっとも負荷がかかる椎間板にはあお向けの状態で30kg、立てば70kg、イスに座ると100kgもの負荷がかかるとされています。
肥満の人が必ず腰痛になるとはいえませんが、肥満であるということは腰痛のリスクのひとつであると考えられます。
負債2 運動習慣・・・動かさないことが大きなリスク
腰痛の予防や改善において、運動は基本的にプラスの効果があると考えられています。
腰痛対策をうたった体操やストレッチなど、世の中にはたくさんの方法があふれていますが、少なくともしっかりと医者が監修しているものは何かしらの効果はあるはずです。
慢性的な腰痛の場合は、安静にすることがむしろマイナスになることもあります。それは身体的な面はもちろんのこと、運動をできないことが心理社会的な面で悪影響を及ぼす可能性もあるからです。
負債3 喫煙習慣・・・タバコが腰を破壊する
喫煙の習慣がある人は、禁煙が腰痛改善につながる可能性があります。喫煙は血管を収縮させます。椎間板の周囲にある毛細血管も収縮するため、栄養が行き渡らずに椎間板の変性を招き、腰痛につながるといわれているのです。
負債4 睡眠習慣・・・寝返りをうてないと腰に負荷がかかる
睡眠時に注意すべきなのは、きちんと寝返りをうてる状態にすること。人は寝返りをうつことで、体の一部に負荷がかかり続けることを回避しています。
横になっているときにも腰には負担がかかっています。朝起きたときに腰の痛みや重さを感じたことのある人も多いのではないでしょうか。睡眠中の姿勢や、睡眠時の環境が悪いと、さらに大きな負荷がかかることになります。
これらは長年かけて徐々に積み重なるもので、腰痛につながっていると実感することはあまりないでしょう。しかし、原因不明の腰痛が慢性化しているなら、自分の生活習慣を一度見直してみてください。
文/庄司真紀
日本腰痛研究開発機構著『あなたの腰痛が治らないのは治し方を間違えているから』(アスコム)