仕事がいつもデスクワークだという人の中には、毎日の生活で座っている時間が長すぎると感じている人も多いはず。座っている生活が長いと、体を壊してしまうことがわかってきました。座っている時間を1日30分間、軽い運動に切り換えてみるとどうでしょう。すると、美容ばかりではなく、病気にもなりづらく、しかも寿命まで延びると発表されたのです。
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時間をもっと健康的に!
最近、座ったままの生活が、漠然と「健康に悪そう」というばかりではなく、本当に病気につながることが証明され、注目されています。
日本だとそれほど言われていないかもしれませんが、海外に目を向けると、そうした傾向ははっきりしています。
例えば、米国ハーバード大学では、座りがちの生活は、肥満ばかりではなくさまざまな病気の危険を高めてしまうと注意喚起しています。例えば、糖尿病、心臓病、メタボリック症候群などです。米国がん協会(ACS)も、あらゆるがんの危険が高まると警告しているほどです。座る時間が長いことが、大きな問題と見なされるようになっているのです。仕事中に立って仕事するスタイルが出てきているのもこのためです。
そんな中で、米国がん協会などの研究グループが、座っている時間を運動に置き換えた場合にどんな健康上の効果があるかを発表しました。
同協会が1992年に開始した大規模ながん研究の対象者から、研究開始時に健康で、座っている時間や運動時間が判明している約9万3000人(男性約3万8000人、女性約5万5000人)のデータを分析したものです。
不活発な人で効果が大きい
研究グループは、14年以上の追跡期間の中で、1日30分間の座っている時間を中程度以上の運動に切り替えた場合に寿命にどのような影響が出てくるかを計算。その結果、最も活動的ではなかった人(中程度以上の運動をする時間が1日17分以下の人)では、座っている時間を1日30分間、運動する時間に切り替えると早く亡くなる確率が低下することがわかりました。その危険性の低下の程度を計算したところ、軽い運動に置き換えると死亡リスクが14%減り、中程度以上の運動に置き換えると45%減るという結果です。
もともと運動習慣のある人であっても、座っている時間を1日30分間増やすだけで効果は見られることがわかりました。
研究グループによると、今回のデータから、座っている時間を運動する時間に切り替えることで、寿命が延びそうだと推定しています。
ふだんの生活で、なかなか運動する時間をとれないという人も多いかもしれませんが、やはり意識しておくことは大切だと言えそうです。
<参考文献>
The dangers of sitting
https://www.health.harvard.edu/pain/the-dangers-of-sitting
Sitting Time Linked to Higher Risk of Death from All Causes
https://www.cancer.org/latest-news/sitting-time-linked-to-higher-risk-of-death-from-all-causes.html
Rees-Punia E et al. Mortality Risk Reductions for Replacing Sedentary Time With Physical Activities. Am J Prev Med. 2019;56:736-741. doi: 10.1016/j.amepre.2018.12.006. Epub 2019 Mar 21.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30905483